小細胞肺がん
目次
小細胞肺がんとは
肺にできる悪性腫瘍(がん)は、そのがんを構成する細胞の大きさで非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類されています。
肺がん全体のうち、非小細胞肺がんが約80%、小細胞肺がんは約20%程度と割合自体は少ないです。
非小細胞肺がんは複数の種類の総称ですが、小細胞がんはその病気の進行の速さと病気の見つけにくさのため、特別に分類されています。
小細胞癌はがん細胞の大きさが小さく進行が早いため、腫瘍が小さくとも見つかった時にはリンパ節転移が大きくなっていたり、他の臓器へ転移してしまっていることが多いです。
小細胞肺がんはその進行具合によって、以下の2種類に分かれます。
- 限局型(Limited Disease:LD どちらか片方の肺だけに発生してとどまっている状態)
- 進展型(Extended Disease:ED LDを越えてしまった状態)
小細胞がんが見つかった時には、約60~70%はEDの状態になってしまっており、LDにとどまるのは30~40%にしか過ぎません。
ただ、臨床病期(Stage)がⅠ期の状態であれば、5年生存率は50~70%と良好なため、早期発見が望まれる病気です。
小細胞肺がんの症状
肺がん自体ではそれほど強い症状が出ないため、健康診断や人間ドックの画像診断でたまたま見つかることがあります。
症状があるとすれば、徐々にひどくなる咳や、痰に血が混じる(血痰)ことがあります。
小細胞肺がんの原因
小細胞肺がんに限らず全ての肺がんは、有害物質を吸ってしまうことによる環境要因と、もともとの遺伝子に変異がある遺伝子異常の組み合わせが原因といわれています。
肺がんの発症を促進する原因として最も重要な環境要因は「喫煙」です。
「喫煙」で発生する煙に含まれる有害物質で有名なものは「ニコチン」や「タール」ですが、それ以外にも一酸化炭素、アセトアルデヒド、シアン化水素など数百種類もの有害物質が含まれています。
これらの有害物質に、もともとの遺伝子異常が組み合わさると、肺がんを発症するといわれています。
また、古い建物や工場で使用されていたアスベスト、ディーゼル車の排ガス、PM2.5による大気汚染も発がん性物質を含んでおり、小細胞肺がんを発生させる原因として考えられています。
小細胞肺がんが悪化すると・・・
小細胞肺がんと診断されたときには、すでにリンパ節転移や他の臓器へ転移してしまっていることが多いです。
そのため、小細胞肺がんによる肺の症状・・・たとえば息が吸いづらいといった症状や、がんによる炎症で胸の中に水がたまってしまうことによる息苦しさを強く感じます。
その他、小細胞肺がんは脳や肝臓など全身に転移します。転移した臓器が障害を受けることにより生じる症状が出ることがあります。
小細胞肺がんの治療
小細胞肺がんは、見つかった時の進行具合(限局型か進展型か)によって、治療方針が異なります。
限局型で臨床病期がStageⅠの場合のみ、外科手術後に化学療法を行いますが、その他の状態の場合は既にリンパ節転移や他臓器転移を来していることが多いため、手術は適応にならず抗がん剤と放射線治療の併用療法が選択されます。
小細胞肺がんは抗がん剤と放射線に感受性があり、効きやすいとされており、前述のLDの場合は化学療法の奏効率は80~90%、EDの場合約70%と見込まれています。
限局型(LD)小細胞肺がんの場合
手術の可能性があるⅠ期以外は全例、抗がん剤と放射線を組み合わせた治療を行います。 複数の治療を組み合わせた結果、約20~25%の方が治癒しうると見込まれています。
進展型(ED)小細胞肺がんの場合
進展型と診断された場合には病気の範囲が広くなりすぎているため、放射線療法は適応とならず、全身化学療法を選択することになります。
2019年に免疫チェックポイント阻害剤と言われる、従来の抗がん剤治療とは違った効き目をする薬剤が誕生し、小細胞肺がんの標準治療となりました。
ただし、この免疫チェックポイント阻害剤は独特の副作用が出ることがあり、使用に慣れた医療機関での治療が望まれます。
小細胞肺がんのセカンドオピニオン
小細胞肺がんに対する治療方法は、限局型か進展型かによって制限されてしまいます。
病期(ステージ)によって、5年生存率にも大きく差が出てしまうため、早期発見・早期治療が重要です。
また、免疫チェックポイント阻害剤のような新しい薬剤を用いた治療を行う場合は、副作用の管理にも長けた医療機関で治療を受けることが望まれます。
小細胞肺がんは進行が早いため、いち早く最適な治療法を選ぶことが薦められます。
主治医から提案された治療方針に少しでも迷いがあるのであれば、積極的に「セカンドオピニオン」を活用し、複数の医師から診察を受けることも重要です。