オプジーボなど乳がん・卵巣がんへの免疫チェックポイント阻害薬
日本では乳がんと卵巣がんの罹患率はどんどん増え続けており、死亡率も増加しています。
しかし、近年注目されている免疫チェックポイント阻害薬によって、乳がんと卵巣がんの治療にも選択肢が広がりました。
免疫チェックポイントとは何か? また、乳がん&卵巣がんに効果的な免疫チェックポイント阻害薬についてご説明します。
目次
女性がかかるがんとして多い乳がんと卵巣がんとは?
乳がん
乳がんは、乳房に出来る悪性の腫瘍です。多くの場合は乳管から発生します。
近年多くの著名人の乳がん告白があり、乳がんはよく知られる疾患になりました。
生涯で乳がんを発症する女性は11人に1人と言われており、乳がんで亡くなる人も年々増えています。
卵巣がん
卵巣がんは、卵巣の表面や卵巣の中にある様々な細胞から発生する悪性の腫瘍です。
日本における卵巣がんの罹患率は、1985年から増加傾向にあります。
近年では年間に約10,000人の女性が卵巣がんに罹患していて、卵巣がんで亡くなる人も年々増えています。
免疫チェックポイントとは
がん治療の選択肢としての免疫療法は、これまで細胞の免疫を高めていくということに焦点を当てていました。
免疫は非常に賢く、外部からのウイルスや細菌、異物を攻撃するように作用します。
免疫がバランスよく働いているときは問題ないのですが、稀に免疫のなかの外部攻撃役とも言えるT細胞が暴走し、健康な細胞まで攻撃してしまうことがあります。
(リウマチや膠原病などの自己免疫性の病気は、免疫の暴走によって起こります)
この免疫の暴走と事故への攻撃を防ぐために、免疫にはもともとブレーキをかける作用が備わっています。
しかし、がん細胞はこの仕組みを悪利用することがわかりました。
がん細胞自体が免疫の働きにブレーキをかけて、免疫からがん細胞が攻撃されないようにアプローチをかけていくのです。
このように免疫とがん細胞は、日々騙し合いのようなことをしながら戦っているのです。
がんができると、患者さんの免疫力が下がっていくのは、がん細胞が免疫チェックポイントを利用して、免疫にブレーキをかけることで免疫力が落ちていくからです。
この免疫がかけるブレーキのことを「免疫チェックポイント」と言い、がん細胞自体が免疫チェックポイントでブレーキをかけることを阻止するための薬として、「免疫チェックポイント阻害薬」が使われています。
免疫チェックポイント阻害薬とは
免疫チェックポイント阻害薬の種類によって適用は異なります。
- 抗PD-1抗体(2種類)
- 抗CTLA-4抗体(1種類)
- 抗PD-L1抗体(1種類)
ターゲットは進行がん(ステージⅢ以降の深めのがん)に対して使用されます。
乳がん・卵巣がんに対して使われる免疫チェックポイント阻害薬
日本で抗PD-1抗体として使われている免疫チェックポイント阻害薬は、ニボルバブ(オプシーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)です。
ニボルマブ(オプジーボ)
2014年に小野薬品工業から発売が開始されたオプジーボ。
日本では、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫で承認されており、頭頚部がんや胃がんでも承認を申請中。
卵巣がんでの臨床試験も実施中です。
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
2017年にアメリカのメルク社から2国内に発売されました。
日本では、メラノーマ、非小細胞肺がん(PD-L1陽性)で承認されている免疫チェックポイント阻害薬です。
承認申請中なのはホジキンリンパ腫です。また、以下のがんに関する臨床実験も行われています。
- 膀胱がん
- 乳がん
- 胃がん
- 頭頚部がん
- 多発性骨肉腫
- 食道がん
- 肝がん
- 腎細胞がん
など
キイトルーダは抗PD-1抗体ですので、免疫系に働きかける作用はオプジーボと同じですが、効用を発揮するがんの種類やステージが異なり、使用方法も変わってきます。
免疫細胞療法との併用
免疫チェックポイント阻害薬は、進行がんの治療では「免疫細胞療法」と併用して使われることもあります。
たとえば免疫チェックポイント阻害薬(第一選択は主にPD-1抗体)を使用して、その後2種類の免疫細胞療法(DCハイブリッド療法とBAK療法)を実施します。
※「免疫細胞療法」とは、患者さんの血液中の免疫細胞を取り出し、培養・強化して活性化し、免疫力を高めて再び患者さんの体内に戻すという療法です。がんを治療しようとする方法が、免疫細胞療法です。
免疫チェックポイント阻害薬を使った状態で、増殖し活性化された免疫細胞を体内に送り込むということは、がんに対する殺傷能力がかなり高くなることになります。
まとめ
がんの最新治療として、乳がん・卵巣がんに効果が期待できる免疫チェックポイント阻害薬についてご紹介しました。
乳がん・卵巣がんについては、日々研究が進むとともに臨床実験が行われています。
現在世界中で、免疫チェックポイントの研究が行われており、この先のがんの治療法は治らないがんから治るがんへと大きく変化していくでしょう。