がん治療における副作用について解説
がんの三大治療法とは、「手術療法」「抗がん剤療法」「放射線治療」の3つを言います。
日本では「手術ファースト」の考え方が強く広がっており「がんの治療は手術が最善」と思い込んでいる人が結構多いですよね。
しかし、手術療法は体にメスを入れることになるため、高齢者や体力的に厳しい人などは手術に耐えられない可能性があります。
そこで、がんの治療において、放射線治療と抗がん剤治療の大きな違いはなんでしょうか?
「がん」とは?
私たちの体は細胞から出来ています。
がんは、正常の細胞から発生した異常な細胞のかたまりです。
「がん」は私たちの体内にある、ほぼすべての細胞で発生する可能性があります。
正常な細胞は、体や周囲の状態に応じて、自らが増えることをやめたりします。
怪我をしたときに、皮膚の細胞は一気に増殖して傷口を塞ごうとしますが、傷が治れば増殖を停止します。
しかしがん細胞は、体からの命令を無視してどんどん増殖していきます。
細胞には臓器や組織など、怪我やトラブルが起きた時、必要に応じて増殖・分裂し、新たな細胞を作っていきます。
また、老化や傷ついてしまった細胞は死滅し、新たな細胞へと入れ替わります。
がん細胞が勝手に増えることで、周囲の組織が壊れたり、本来がんのかたまりがあるはずがない組織で増殖したりします。
こうやってがんは転移していきます。
正常な細胞では、まずこのようなことにならないので、がん細胞は異常な活動をすることになります。
また、体内で細胞分裂が正常に機能しなくなり、新たな細胞が必要とされないときに細胞が作られる場合があったり、細胞が異常になって死滅すべきときに生き延びるようになったりする場合もあります。
異常な細胞は、際限なく細胞分裂を繰り返して「腫瘍」になる可能性があるのです。これががん発生の過程です。
抗がん剤治療
抗がん剤治療は、「抗がん剤」という薬を使ってがん細胞の活発な活動を抑える治療法です。
体内の広範囲のがん細胞を一気に狙えるので、転移して全身に広がっているがんにも適しており、広い範囲に治療が必要な人や、手術後の転移・再発を防ぐために使われる治療法です。
抗がん剤の副作用
抗がん剤は全身に作用する薬である分、副作用もあります
抗がん剤治療の代表的な副作用は、脱毛、おう吐、痩せ、手足の震え、倦怠感などです。
がんの三大治療法の中でも、抗がん剤治療は特に急性の副作用が激しい治療法になるため、患者さんの生活の質であるQOLと、治療の進め方、効き目のバランスが非常に取りにくい治療法でもあるのです。
しかし、「抗がん剤治療は悪」というわけではなく、全身性のがん、転移が全身の及んだがんなどには、抗がん剤が使われることもあります。
つらい副作用を乗り越えたからこそ治療が成功するケースもあるのです。
放射線治療
放射線治療は、X線やγ(ガンマ)線といったような放射線を使ってがん細胞を減らしていく治療法になります。
最近耳にするようになった「陽子線治療」や「重粒子線治療」も放射線治療なのです。
放射線は体外からも体内からも当てることが可能です。
がんが発生した部位やがんの状態や照射の目的によって切り替えながら対応していきます。
放射線治療は、手術と同じように局所を治療することができる治療法です。
初期の小さながんであれば根治も目指せますし、全身転移が見られる状態でも、痛みの症状を和らげることができます。
体にメスを入れないので、高齢者や体力に自信のない患者さんにもおすすめできる治療法です。
放射線治療の副作用
放射線治療には、基本的に命を削っていくような副作用はありません。
しかし、放射線治療に副作用はないのかと言うと、それも違います。
放射線治療は、ピンポイント照射でがん細胞を狙い撃ちすることができるのですが、その周辺の臓器に全然ダメージを与えないわけではありません。
消化管への照射だと下痢や吐き気、食欲不振など、頭部への照射では、頭皮の荒れや脱毛が生じる可能性があります。
しかし、基本的には抗がん剤よりも放射線治療のほうがずっと副作用は少なく、患者さんの負担も少ないです。
放射線治療は体に負担なくがんの治療ができる
がんの三大治療法の中でも、放射線治療は体を切らずに、抗がん剤の副作用に苦しむことなく治すことができます。
もちろん、他に有効な治療法がないような進行がんにも放射線治療は使われています。
放射線治療と抗がん剤治療には「副作用」があるかどうかですが、これは患者さんにとってはとても大きな差になります。
がん治療について調べている人であれば「抗がん剤は副作用がきつい」という話に行き着くと思いますが、これは事実です。
副作用があまりにもつらくて、抗がん剤治療を途中で辞めてしまう人も多くいるのです。
抗がん剤の副作用としてよく知られる脱毛症状ですが、細胞分裂が活発な頭皮の毛根細胞も抗がん剤の影響を受けて起こる副作用です。
同様に細胞分裂が活発な爪も障害を受けやすくなります。
抗がん剤は、深刻な副作用を起こす可能性もあります。
骨髄幹細胞に抗がん剤の影響が及んだ場合、白血球や血小板が減少し、出血が止まらなくなったり、免疫力が極端に落ちたりしてしまう可能性もあるのです。
しかし放射線治療(特に高度放射線治療)では、治療もピンポイント照射でありピンポイントの治療になるので、急性の副作用が全身に現れることはありません。
抗がん剤と放射線治療を比べてみた場合、効果と副作用のバランスの面から考えてみても、放射線治療のほうが体に負担なく有益であると感じます。
まとめ
がんの治療で、手術が必ずベストであるわけではありません。
一方で放射線治療は、体をメスで切り開くこともなく、体内の臓器を守りながら治療することができる方法です。
内臓の全摘などの手術療法に比べると体への負担は圧倒的に少なく済みますし、色々な理由で手術を受けることができない人にもおすすめできる治療法なのです。