3大がん治療の副作用とは?~「手術」「抗がん剤」「放射線治療」
がんの治療といえば、主に「手術」「抗がん剤」「放射線治療」という3つの柱を中心に考えて行きます。
まず、がんの治療をする際に気になるのは「副作用があるかどうか」ということではないでしょうか?
「がん治療は副作用がきつい」と思っている人が多いかもしれませんが、実は大きく誤解されている部分でもあります。
そこで、がん治療の副作用にご説明いたします。
目次
がんの手術における副作用とは?
がんの手術とは、がんそのものを取り除く局所療法です。
現在がんの治療において優先されているのは、やはり外科手術になります。
がんの手術においては、副作用というより後遺症の症状が出ることがあります。
後遺症としては病状によって異なりますが、体の痛み、しびれ、疲れやすさなどが出る場合があります。
これは術後、日数が経つにつれて、後遺症も軽減されていきます。
術後は生活習慣に気をつけながら、徐々に通常の生活に戻していきましょう。
- 飲酒・喫煙は控える、できれば禁煙を
- 体重管理には気をつける
- 暴飲暴食をしない
- 塩分を控えめにする
- 動物性タンパク質の過剰摂取は控える
生活習慣、食生活を整えていけば、手術の後遺症から早く回復するでしょう。
抗がん剤の治療とは
抗がん剤は、がん細胞が体内で増加するのを抑制し、がん細胞の成長を遅らせたり、転移や再発を防ぐ目的で使用されます。
小さながんではあるものの、転移しているかもしれない箇所の治療するためにも使用されています。
手術治療は、がん細胞に対して局所的な治療をすることができますが、抗がん剤は、体内のより広い範囲に治療の効果が現れることが期待できるので、転移の疑いがある時に使用します。
血液・リンパのがんのように、広範囲に治療をしなければならない時にも使われます。
抗がん剤の副作用
抗がん剤の副作用は、がんの治療法の中でも副作用が大きいものです。
しかも急性の副作用も出やすいため、患者さんの生活の質を考えながらどのように治療を進めて行くかが非常に重要になります。
抗がん剤の副作用で代表的なものとして、以下が挙げられます。
- アレルギー反応
- 貧血
- 発熱
- 嘔吐
- 脱毛
- 皮膚の角化
- 食欲減退
- 痩せる
- 口内炎
- 疲れやすさやだるさ
- 下痢
- 便秘
- 手足のしびれ
- めまい
抗がん剤治療の最中に、副作用の症状が出た場合は、すぐに看護士さんに伝えて下さい。
副作用はどんな時に発生するのか?
副作用の発生は、使用する抗がん剤の量と期間によって違ってきます。
一時的に抵抗力が落ちることも・・・
抗がん剤治療によって骨髄の機能が障害を受けた場合、白血球や赤血球、血小板などが減少する骨髄抑制が起こり、細菌や真菌(カビ)に対する抵抗力が弱くなる場合があります。
抵抗力が弱くなると、感染症を起こしやすくなるため、膀胱炎や尿の濁り、下痢、発熱などが起こる場合もあります。
妊娠の予定がある人は主治医に相談
抗がん剤の種類によっては、生殖の機能に影響が出ることもありますので、妊娠の予定がある人は主治医に相談して下さい。
副作用を抑える薬も処方される
副作用の中でも嘔吐は、多くの場合医師から吐き気止めの薬が処方されますので、指示通りに服薬しましょう。
無理をしないことが大切
抗がん剤治療の際は副作用がきつく出る場合もありますので、抗がん剤治療中は無理をしないことも鉄則です。調子が悪いときは、十分な休息を取るように心がけましょう。
副作用があっても、抗がん剤が必要な時もある
抗がん剤治療の副作用がきついからといって、必ずしも抗がん剤治療を避けたほうがよいというわけではありません。
全身に症状が出ているがん患者さんは、抗がん剤の治療により治療の予後が良い人も多くいますので、抗がん剤もがんの治療法として重要な役割を持っているのです。
放射線治療は副作用が少ない
がん治療において放射線治療も、抗がん剤ほど強い副作用ではありませんが、限定的な副作用の症状はあります。
放射線をピンポイント照射で使用することで、がん細胞を狙い撃ちすることができるので、周辺の臓器への影響は最小限になっているのですが、ダメージを全く与えないというわけではありません。
消化管へ照射すれば下痢・嘔吐の症状が出たり、頭部へ照射すれば頭皮の肌荒れや部分的に脱毛したりするなど、ピンポイントで照射した箇所にピンポイントで副作用が起こることがあります。
しかし、放射線治療は副作用の面で大きな誤解を持たれています。
放射線治療はテレビドラマなどで見るようなつらい副作用は出にくい
がんの三大治療の中でも重要な放射線治療は、テレビドラマや映画の影響もあり「がんの治療=どんどん体力がなくなり痩せて行く、とてもつらい副作用」と思い込んでいる人も多く、大きく誤解されています。
基本的につらい副作用は、抗がん剤で起こることが多いのですが、世の中のイメージとしては、放射線治療の副作用と抗がん剤の副作用を混同している人が非常に多いようです。
放射線治療はピンポイント照射のため、ピンポイントの副作用はあっても、命を削って行くようなつらい副作用が出ることは基本的にありません。
このように、がん治療において誤解されている部分が多くあります。
がんとがん治療に対して正しい知識を得ることは、がん治療においてはとても重要なことなのです。