早期発見のがん治療でセカンド・オピニオンが大切な理由とは?
がんは早期に発見することに越したことはありません。
早期に発見できれば、治療の選択肢は広がり、治療はより簡単になり、再発の危険性も減少します。
ですが、早期発見すればそれだけでいいのかと言えば、答えはノーです。私が、早期発見と同じ位大切だと思っているのが、セカンド・オピニオンです。
セカンド・オピニオンとは何なのか、セカンド・オピニオンを受けることにどのようなメリットがあるのか、今回はそんなお話です。
セカンド・オピニオンって何?
セカンドオピニオンは、直訳すると「第二の意見」です。日本で主に医療の分野において、主治医以外の専門医の意見を仰ぐことを指す言葉です。
と言っても、ただ他の医者の意見を聞きに行くのではなく、きちんと主治医に「診療情報提供書」という書類を作成してもらい、今までの検査結果を提供して受診するのが正式な形です。
決して、主治医に内緒で行くものではありませんよ。
しかし、どうも日本では、主治医への義理からか、セカンド・オピニオンの習慣が広がりません。
私は、これを大変残念に思っています。
本来であれば、医者の方から「受けてみてはいかがですか?」と患者さんにすすめても良いほど、セカンド・オピニオンは、患者さんにとってメリットが多いシステムです。
現に欧米では主治医からセカンド・オピニオンをすすめられることは珍しいことではありません。
にもかかわらず、セカンド・オピニオンを申し出られて不機嫌になるような医者がいるとすれば、その医者は信頼すべきでないですね。
セカンド・オピニオンは、主治医の決断を疑うためのものではありません。患者さんが納得して、自身にとって最高の治療を行うためのものなのです。
早期発見とセカンドオピニオンの組み合わせ
早期発見されたがんの治療法と言えば、何でしょうか。
多くの日本人が最初に思い浮かべるのが「手術」だと思います。
小さな患部をサクッと切り取ってしまえば、それで解決!というイメージですね。
手術ファーストの考え方を持つ医師であれば、そう結論付けるのは目に見えています。
ですが、がんの治療法は手術一つではありません。
早期発見のがんであれば、放射線治療も十分検討材料に入ってしかるべき治療法です。
臓器を切り取ることなく、ピンポイントでがん細胞を攻撃できる放射線治療は、ある面においては手術をもしのぎます。
どのような治療法が最適なのか、医師は自分の得意分野と経験に基づいて診断と助言を行います。
そこで役に立つのがセカンドオピニオンです。
早期発見であっても、「がん」という診断は、患者さんとその周囲を疑問や戸惑いでいっぱいにします。
「主治医の診断が間違っているんじゃないか」、という根本的な問題はもちろん、「本当に手術が必要なのか」、「他に治療法はないのか」、「これと似たケースを得意としている医者はいないのか」などなど、考えは尽きないはずです。
セカンド・オピニオンは、これらの疑問を解決する手助けをしてくれます。セカンド・オピニオンで納得できなければサード・オピニオンを仰ぐこともできます。
一つの治療法にとらわれ過ぎず、ぜひセカンド・オピニオンを受けて治療の選択肢を広げて欲しいと思います。
私がすすめるのは放射線治療
医師は、自分の経験と得意分野に応じて治療法の選択肢を提供すると、前述しました。そのために日々腕を磨いて、日々勉強を重ねているのですから、当然と言えば当然ですね。
ですが、だからこそ専門外の治療についても見識を広げるべきだと思っています。
自分の専門分野を磨きつつ、他の業界ではどのような治療成果が上がっているのか、どのようなメリットがもたらされているのか、より知る努力を怠ってはいけないはずなのです。
たとえば、早期発見のがんに「放射線治療」をすすめる医者がいたとしましょう。体への負担が最小限で、手術と同じようにがんを根治することができる放射線治療は、理想的ながん治療だと考えています。
放射線治療を良いと思っているからこそ、手術や抗がん剤といった、他のがん治療についての勉強を欠かしません。
他の治療法のメリット、デメリットをきちんと知っているからこそ、自信を持って放射線治療をすすめられるのです。
その医師は、患者さんの症例に「手術」や「抗がん剤」がベストだと判断すれば、自分の専門である「放射線治療」を差し置いてでもそれをすすめるでしょう。
これこそ、私が理想とする医師の姿です。がん治療にかかわるすべての医師がこうあるべきだと思っています。
まとめ
セカンド・オピニオンを受けるのは患者さんの権利です。日本の医療業界では、残念ながら難色を示す医者も少なくないと耳にします。
ですが、がん治療は医師のために行うものではありません。あくまでも主役は患者さんであるべきです。
がんと診断を受けたら、自分の意思を持って納得して治療を受けるために、ぜひセカンド・オピニオン、そして必要と思えばサード・オピニオンを受けて欲しいと思います。