「リ・ステージング」に必要なセカンド・オピニオンと画像診断
がんの治療において、治療の進め方を決める際に、画像診断からがんの広がりや進行の程度、症状などから総合的に判断し、ステージ(病期)を診断します。
がんがどのくらいの大きさになっているか、周辺のリンパ節や別の臓器へ転移していないかなどから判断して、0~IV期の5つのステージに分類します。
0期に近いほどがんは小さく、IV期に近いほどがんが広がっています。
がんのステージを再判断することをリ・ステージング(re-staging)といい、リ・ステージングの診断も画像診断が行われます。
そこで、がんのリ・ステージングについて、セカンド・オピニオンについてご紹介します。
目次
セカンド・オピニオンのシステム
最近では、がんの診断は本人に伝えるのが普通であり、例え末期がんであっても本人に直接告知されます。
しかし多くの人は、がんと診断を受けても、なかなか受け入れられない状態にあり、動揺している中で治療方針などを伝えられます。
もちろん医師の診断と治療方針に納得できないこともあるでしょう。
そんな時、主治医以外の意見を聞くことができるのが、「セカンド・オピニオン」というシステムです。
がんの治療において、治療方針は医師が決めるのではなく、患者さんが情報を得た上で同意しなければ治療は進められないという「インフォーム・ドコンセント」が優先されます。
患者さんは、医師が提案した治療方針に納得しなければ、セカンド・オピニオンを受けることになります。
セカンド・オピニオンは、直訳すると「第二の意見」で、日本で主に医療の分野において、主治医以外の専門医の意見を聞いてみる時に使います。
がんの分野では、セカンド・オピニオンはよく活用されています。
セカンド・オピニオンは、主治医から「診療情報提供書」という書類を作成してもらい、今までの検査結果を提供して持って他の専門医の意見を聞く制度です。
主治医に内緒で行くものではなく、セカンド・オピニオン先の病院または医師の予約は、主治医に取ってもらいます。
セカンド・オピニオンは自費診療になります
知らない人も多いかもしれませんが、セカンド・オピニオンは、日本では保険適用外の自費診療になります。
せっかく時間とお金をかけて行くのですから、セカンド・オピニオンを受けるのであれば、専門分野に詳しいベテランの医師を選ぶようにしましょう。
必要ならばサード・オピニオンも利用しましょう
日本はまだまだ「お医者様」という医者が患者より上だという概念が根付いている人も多く「セカンド・オピニオンを受けるなんて主治医の気分を害してしまうかもしれない」と思う人も多くいます。
医者側にも、セカンド・オピニオンと言われたら難色を示す人もいるのは事実です。しかし、治療は患者さんが納得して選ぶ選択肢でなければなりません。
セカンド・オピニオンで納得できなければ、サード・オピニオンへと進んでも良いので、患者さんがしっかり診断と治療に納得することが重要です。
しかし、セカンド・オピニオン、サード・オピニオンを受けたからといって、必ずしも納得でえきる答えが返ってくるとは限りません。
これはセカンド・オピニオンの意見によって迷うデメリットにも感じますが、患者さんがどこで診断を受け入れ、納得して治療に臨めるかという選択肢が広がることも患者さんにとってはメリットです。
セカンド・オピニオンにおける乳がんのリ・ステージング
たとえば乳がんの診断では、主にマンモグラフィ、トモシンセシス、PEM、ABVSと言った画像検査が行われます。
1つの画像検査だけでがんの病状を診断することはありませんので、いくつかの画像検査を組み合わせながら総合的に診断していきます。
乳がんのリ・ステージングでは、セカンド・オピニオンで主治医の病院にない画像診断機器がある場合、より正確な画像診断を受けることができるというメリットがあります。
マンモグラフィ
最も有名な乳がん検査とも言えるマンモグラフィは、乳房を板でつぶすように挟んで撮影するX線装置(レントゲン装置)です。
トモシンセシス
トモシンセシスは、マンモグラフィの3D版と呼ばれている検査で、CTのものと同じような断層画像を撮影して組み合わせて、立体(2D)として検査部位をとらえることが可能です。
PEM
乳腺専用に開発されたPET検査で、がんに目印をつけることができる薬を体内に入れて撮影することで、がんを視覚化してあぶり出すことができる検査になります。
乳腺超音波検査(エコー)
超音波検査は通称エコーと呼ばれ、乳がん以外の病気にも使われる身近な検査です。妊婦さんも安心して受けられます。
ABVS
ABVSは最新の乳房超音波検査装置で、従来の超音波装置では医師が手動で動かしていたプローブが自動化され、一気に何百枚もの画像を撮影可能です。
まとめ
がんの診断に間違いがあってはいけないので、診断に際しては一つの方法に頼り過ぎないことが重要です。
がんの検査は複数の検査を組み合わせて、より正確な診断を行う必要があります。
しかし、全ての病院に最新のトモシンセシスなどの画像診断機器が揃っているわけではありません。
現在の診断に不安のある方や、家族歴などからがんの心配があるという人は、セカンド・オピニオンで画像診断に力を入れている医療機関を選ぶことをおすすめします。