CPL(環状重合乳酸)とは?がん細胞を抑制する効果があるって本当?

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CPL(環状重合乳酸)とは?がん細胞を抑制する効果があるって本当?

CPL(環状重合乳酸)とは?がん細胞を抑制する効果があるって本当?

日本におけるがんの治療は、外科手術・放射線治療・抗がん剤治療の標準治療が中心としておこなわれています。しかし、これら3大治療といわれる治療だけでは、多発した転移などを治癒することは難しいのが現状です。また、抗がん剤による副作用の辛さから、治療を断念するケースも多くみられます。

近年では、標準治療のような副作用のリスクが少ない免疫療法など、新たながん治療による効果が報告がされています。そのひとつに、米国の医学誌やがん学会などで注目を集めている健康成分「CPL(環状重合乳酸)」が挙げられます。現在、CPLは機能性食品としても広く流通しており、取り扱いのある医療機関での処方以外でも比較的簡単に入手することができます。

本記事では、CPLとはどのようなものなのか、また、がん細胞を抑制する効果が本当にあるのか詳しく解説していきます。
がんの標準治療の副作用にお悩みの方や新たな治療方法を探している方、CPLに興味をおもちの方はぜひご一読ください。

CPL(環状重合乳酸)とは?

CPL(環状重合乳酸)とは?

CPLは「Cycle Poly Lactate」の略で、日本語では「環状重合乳酸」と呼ばれています。

乳酸というと、筋肉を使う運動の後などに体内に蓄積される疲労物質のイメージが強いのではないでしょうか。しかし、CPLと乳酸では分子の構造が大きく異なります。

乳酸は、新陳代謝などにより体内で生成される物質で、分子は一直線の鎖状につながっています。一方で、CPLは「環状重合乳酸」という名称のとおり、分子の端と端が環状、あるいは螺旋状につながっていることが特徴です。

また、CPLは人間の体内でごくわずかに合成されており、健康な生命活動において欠かすことのできない物質のひとつでもあります。そして、この環状で重なり合った特徴的な構造こそが、がん細胞を抑制する働きのポイントとなっています。

CPL研究の歴史

CPL研究の歴史

CPLは、1982年、長主陽一郎氏により偶然発見され、東海大学医学部・今西嘉男氏、星合病院・星合敏久氏らも加わり研究を重ねた結果、子宮がんの細胞培養液のなかに増殖を抑制する因子があることがわかりました。その翌年、1983年の日本組織培養学会では、CPLによるがん細胞の抑制やアポトーシス(細胞が自ら死滅すること)が示される内容の研究発表がされています。

さらに研究は続けられ、その結果、分子量が2、000以下という低分子の乳酸が発見されました。この発見をヒントに、機能性食品として開発されたのがCPL(環状重合乳酸)です。
その後、1989年に世界で初めて人工合成に成功したことで製品化が実現し、今日に至ります。

CPLのがん抑制効果について

CPLのがん抑制効果について

ここからは、CPLのがん抑制の効果について説明していきます。

CPLのがん抑制のメカニズム

人間の細胞は、常にエネルギーをつくりだすことで生命を維持しています。

食事などから摂取した食べ物は消化吸収されることでブドウ糖となり、細胞は酵素から力を得て、ブドウ糖からATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを生成します。このATPを生成するときに必要な酵素が、LDH(乳酸脱水素酵素)です。LDHが正しく働くことによりATPがつくり出され、人間の活動維持が可能になります。

一方で悪性の細胞は、LDHが変形したLDH-Kという酵素を持っています。
がん細胞はLDH-Kを利用してATPを生成しますが、CPLは、このLDH-Kに作用して酵素の働きを阻害することがわかっています。その結果、がん細胞は増殖時にATPをつくることができなくなり、アトポーシス(自滅)へと誘導されていくのです。

また、CPLは正常細胞のLDHにはまったく悪影響を及ぼしません。正常な細胞に対しては赤血球の酸素供給能力を高める効果があるため、エネルギー生成の機能がより活性化します。

以上のように、CPLはがん細胞のアポトーシスを誘導し、正常細胞の機能を活性化させて自然治癒力を高める効果があることがわかっています。

CPLに期待できるがんへの効果

CPLのがん抑制効果は、1998年に開催された日本癌治療学会での発表がきっかけで注目されはじめました。なぜなら、この学会において、「CPLにより末期がん患者の苦痛が緩和され、QOLが著しく改善した」という臨床例が発表されたからです。(※)

また、CPLを服用することにより、食欲や便通の改善・睡眠の質向上・呼吸の改善などの身体症状に加え、「やる気が出てきた」「体が軽くなった」など、闘病にあたっての意欲向上がみられたことも報告されています。

以上のことから、CPLにはがん細胞のアトポーシスを誘導するだけではなく、がん患者のQOL向上にも大きく貢献できる可能性があるといえます。

※ 長戸康和、高田繁生、鈴木志保子、中野まゆみ、山村雅一(1998年)「嫌気的解糖系抑制物質、環状ポリ乳酸(CPL)の抗腫瘍作用-(第1報)経口投与によるマウス発癌抑制の検討」『和漢医薬学雑誌』第15号、338-9頁

CPLの安全性と副作用

CPLは必要に応じて人間の体内で生成されている物質であり、健康維持物質の作用があると示唆されています。また、その致死量が特定できないほど安全であることも報告がされています。

CPLの経口投与による急性毒性試験においては、通常の投与量にではまったく安全であることがわかっています。具体的には、一度に120gを服用しても急性毒性などの恐れはないといわれています。

また、CPLは分子量が2,000以下の低分子化合物であることから、経口からの摂取後は腸管からすばやく吸収され、血流によって全身に行き届きます。3年~5年にかけてのCPL投与試験の結果からも、体質・食欲・睡眠欲・性欲などの変化や、充進・減退はみられませんでした。

CPLは、経口から手軽に摂取することができ、吸収効率がよく副作用もない安全な機能性食品だといえます。

CPLに期待できる健康維持効果

ここでは、CPLのがん細胞の抑制以外の効果について紹介していきます。

がん以外の疾患への効果

CPLには、がん細胞の抑制以外にも中性脂肪値やコレステロール値の是正・脳梗塞の予防に効果的であることや、糖尿病・慢性関節リウマチ・肝炎・子宮内膜症・アレルギー疾患など、治療が難しいとされる疾患の改善についても効果が示されたと報告されています。(※)

そのため、多くの疾患の予防や改善が可能な機能性食品として、その効果への期待が高まっています。

※ 長戸康和、高田繁生、鈴木志保子、中野まゆみ、山村雅一(1998年)「嫌気的解糖系抑制物質、環状ポリ乳酸(CPL)の抗腫瘍作用-(第1報)経口投与によるマウス発癌抑制の検討」『和漢医薬学雑誌』第15号、338-9頁

老化防止

人間の老化の原因のひとつとして「活性酸素」が挙げられます。CPLは活性酸素を抑制することが認められているため、老化防止にも有効であるとされています。

また、活性酸素は過剰に発生すると酸化ストレスを引き起こし、血管や臓器を傷つけて心筋梗塞や脳卒中、そのほかの内臓疾患の原因になると考えられています。これらの生活習慣病に対しても、CPLの活性酸素を抑制する働きによる予防・改善を期待することができます。

筋肉疲労の回復促進

運動などにより連続的に筋肉を動かすと、筋繊維が摩擦することにより微細な炎症が発生します。その際、活性酸素が生じることで筋肉疲労が引き起こされます。

そのため、CPLにより活性酸素の働きを抑制することで筋肉疲労の回復を促すことができます。また、CPLが肝機能・腎機能の働きを促進し、老廃物が効率的に体外に排出されることでも疲労回復が早まるでしょう。

CPLについてよくある質問

PLについてよくある質問

最後に、CPLについてよくある質問にお答えしていきます。

CPLと乳酸の違いは?

CPLと乳酸のいちばんの違いは、分子構造です。
乳酸の分子構造が鎖状の一直線であるのに対し、CPLは乳酸分子が環状(螺旋状)に結合しており、その特徴的な構造ががん細胞の抑制に作用しています。しかし、乳酸にはCPLのような抗腫瘍作用はありません。

通常の乳酸は、経口摂取すると90%以上が胃酸によって死滅してしまい、小腸で吸収されてアミノ酸へと変化します。一方、CPLは環状の分子構造をもつため胃酸にも強く、90%以上が小腸から直接吸収されます。このことも、CPLのがん細胞抑制効果に大きく影響していると考えられます。

味に関しては、乳酸はヨーグルトに似た酸味がありますが、CPLはごくわずかな苦みがあります。強い苦みではないため、経口摂取の場合はお茶や牛乳など、好みの飲み物と一緒に摂取するとよりでしょう。ただし、炭酸飲料は効果を妨げるため避けてください。

CPLはなぜ医薬品ではないのですか?

CPLはさまざまな作用を有しているため、一物一薬効(ひとつの薬物がひとつの効果として許可承認を受ける)という医薬品規定の枠にはめることができません。

そのため、特定の疾患や症状に使用を限定するよりも、自分の健康状態をコントロールするために必要に応じて摂取することのできる機能性食品であるほうが、さまざまな疾患にたいする汎用性や貢献度が高いと考えられます。

しかし、CPLの効果については数々の学会や医学誌でも方向されており、医薬品ではないから効果が弱いというわけではありません。

CPLとほかの健康食品を併用しても大丈夫ですか?

健康食品・機能性食品として販売されているものの多くは、体の免疫力の賦活や増強を目的として開発されています。そのため、特徴的な作用メカニズムを有するCPLとの併用が健康に支障をきたすことはありません。

CPLと組み合わせて摂取することにより効果が上がるといわれている成分としては、抗酸化作用物質や腸内環境改善物質があげられます。一方、食物繊維が多く含まれる製品は、CPLを吸着して体外へと排出させてしまう恐れがあります。もし、そのような製品を摂取したい場合は、時間帯をずらして服用するなどの工夫をする必要があります。

抗がん剤の投与中でもCPLは服用できますか?

抗がん剤の多くは、分裂速度の速い細胞(白血球・骨髄細胞・胃・腸・口腔の粘膜・毛嚢)に多大なダメージを与えます。抗がん剤治療をしながらCPLを服用しているケースでは、食欲の回復、吐き気・嘔吐の抑制、便通や倦怠感の改善など、副作用に対する効果が報告されており、QOLの維持にも役立つことがわかっています。

同様に、放射線治療による皮膚のピリピリとした痛みの軽減など、がん性疼痛の緩和にも期待ができます。

まとめ

がん細胞の抑制効果に期待されているCPL(環状重合乳酸)

本記事では、がん細胞の抑制効果に期待されているCPL(環状重合乳酸)について詳しく説明してきました。

日本におけるがん治療は、外科手術・放射線治療・抗がん剤治療の3大治療による標準治療が中心となっています。しかし、全身に転移したがんに対しては、標準治療だけで寛解を期待することは難しいでしょう。また、放射線治療や抗がん剤による副作用は患者のQOLを低下させるため、治療の継続さえも断念せざるをえないことがあります。

近年では、第4のがん治療方法として免疫療法や放射線免疫療法が注目を集めています。これらの治療方法はステージ4のがんに対する効果も報告されており、なによりも副作用が非常に少なく、QOLを維持したまま治療を続けることができることが大きなメリットです。

今回紹介してきたCPLは、がん細胞のATP(エネルギー)生成を阻害し、正常細胞の
エネルギー生成を促進するという働きがあります。この働きにより、がん細胞をアトポーシス(自滅)へと誘導するのがCPLのがん細胞抑制のメカニズムです

がんの発生には、遺伝子・代謝・免疫・エクソソームの異常が関わっています。CPLはこのなかの「代謝」にアプローチすることでがん細胞抑制に効果を発揮します。また、CPLは免疫療法と親和性が高いとも考えられているため、免疫療法や放射線療法と併用することで、さらなる効果が期待できます。

CPLは機能性食品ではありますが、効果に関する医学的エビデンスも発表されており、安全性が高いことも確認されています。また、摂取することによるQOLの改善も報告されているため、がんの転移がみられる方や標準治療に限界を感じている方にとって、治療をサポートする新たな選択肢のひとつとなるでしょう。

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