がんの早期発見・早期治療に必要な画像診断機器をご紹介します
c今では、がんは早期発見・早期治療で完治を目指せる時代になりました。
そのため、がん検診ではCT、MRI、PET、PEM、トモシンセシスなどの画像診断でより正確な画像診断が求められるようになっています。
なかにはあまり聞きなれない画像診断機器の名前も入っていますが、がんの診断やリ・ステージングでは、画像診断機器を複数使用することが一般的になっています。
それぞれの画像診断機器の特徴や必要性をご紹介していきます。
目次
がんの早期発見・早期治療の重要性
がんは大きく分けて以下の3種類に分けられます。
- 早期がん
- 進行がん
- 末期がん
近年、「早期発見」という言葉をよく耳にするようになりました。
早期がんというと、がん細胞が出来てすぐというイメージがしますが、必ずしもそうではありません。
がん細胞ががんとして発見されるまでは、細胞分裂を最低30回程度している状態です。
30回の分裂には、およそ10~15年かかると言われているため、早期がんとはいってもがん細胞が出来てからは10年以上かかっているのです。
できる限り、がんは早期の状態で見つけたいと思いますよね。
がん細胞が早期で小さければ小さいほど、体への負担が小さく治療することができますし、早期で発見された場合は9割が完治すると言われています。
早期発見を逃してしまったら、その後3年間でがん細胞は急速に増殖するため、全身に転移してしまう可能性があるのです。
5年生存率とは?
がんの治療の際、「5年生存率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
がん宣告を受けた患者さんが、5年後に生きている割合を数値化したものが5年生存率なのですが、がんを早期発見できた場合は5年生存率もアップするのです。
しかしがんの早期発見は、自覚症状だけでは厳しいものがあります。
それは定期的ながん検診を受けることによって、早期発見が可能になっています。
CTとMRIの違いは?
CT
CTとは「Computed Tomography」の略で、日本語では「コンピュータ断層撮影」と言います。
本来のCTと言うのは広い範囲の機器を指す言葉ですが、日本でCTと言って指されるのはX線を使ったCT装置のことです。
X線を使うので被ばくの影響があります。
X線といえば、レントゲン撮影も同じX線を使った画像撮影機器です。
ただ、レントゲンには脳、肝臓、すい臓、腎臓、副腎と言った臓器は写らないのですが、CTではこれらの臓器も断層像として撮影することが可能です。
MRI
MRIは「Magnetic Resonance Imaging」の略で、日本語では「核磁気共鳴画像法」と言います。
MRIはX線を使わずに核磁気共鳴という現象を使って、体内を撮影する画像診断機器です。
X線を使わないので被ばくの影響はありません。
MRIは、私たちの体内にある水分子の結合状態をコンピュータ解析して、臓器やがんを画像化します。
水分量の多い組織である脳や血管などの撮影や、子宮がん、卵巣がんなどの発見・診断時に威力を発揮します。
CTとMRIは、原理も全く異なりますので、どちらのほうが優れた画像診断ができるというわけではなく、患者さんの病状によって使い分けられています。
一般的には病院で検査を受ける場合、まずCTで検査をして、何か異常が見つかればMRIで詳しく検査をする、という流れがあります。
がん検査のPETとは?
PETとは「Positron Emission Tomography」の略で、日本語では「陽電子放射断層撮影」いう意味です。
がん細胞が、正常な細胞より多くのブドウ糖を必要とするという特徴を利用して、がん細胞に目印をつけて検査をする最新の画像診断機器です。
ブドウ糖とよく似た成分を体内に注入することにより、そこへがん細胞に集まり、PETの撮影で画像にしっかりとがん細胞を捉えることが可能なのです。
これまでの検査に比べてがんが明確に可視化されるため、がん全般の検査で活用されています。
PEM(ペム)とは?
PEMは、PETを乳がんに特化させた画像診断機器です。
通常のPETでも乳がんの検査自体は可能ですが、乳がんの発見率に若干の問題がありました。
PEMは乳がん専用に作られた機器で、乳がんが生じる乳房の部位に合わせて、PETよりも高感度のセンサーと精度の高いカメラを搭載しており、より小さながんも発見できるようになっています。
がん細胞そのものに印をつける方法で検査するため、乳腺が発達してマンモグラフィの検査が不向きな人にも適している検査方法です。
PEMは乳房の中身がシリコンパックの人にも有効な検査
PEMが乳がんの全摘手術の後の乳房再建をした人や、豊胸手術を受けている人が乳がん検査を受けるときも、有効な検査方法です。
乳房再建と豊胸手術は、マンモグラフィやMRIでの乳がん検査で病変を発見することは難しいのです。
また、シリコンパックは、マンモグラフィで圧迫すると破裂を招く恐れもあります。
PETやPEMは、マンモグラフィが受けられない人も受けることができて、精度も高いというメリットがあります。
マンモグラフィとトモシンセシス
マンモグラフィ
乳がんの検査と言えば「マンモグラフィ」というくらい、マンモグラフィは世の中に浸透した画像診断機器です。
マンモグラフィは、乳房を透明な板で圧迫して挟み撮影するX線撮影装置です。
乳房を圧迫してつぶすように挟むので、マンモグラフィを受けると「痛い」と言う人も少なくありません。
「マンモグラフィをするのが嫌だから、乳がん検診を避ける」なんて人もいるくらい、人によっては強い痛みを感じます。
マンモグラフィはいわゆるレントゲン装置なので、診断に用いる画像2D(平面)画像になります。
トモシンセシス
トモシンセシス(Tomosynthesis)はトモグラフィー(Tomography・断層)とシンセシス(Synthesis・合成)を合わせた造語で、最新の画像診断技術です。
立体的に検査部位を撮影することが出来るので「3Dのマンモグラフィ」として注目されています。
マンモグラフィでは、乳腺が発達した高濃度乳腺の患者さんの腫瘍が発見しづらいというデメリットがありました。
対して、トモシンセシスは角度を変えながら撮影することが可能なので、高濃度乳腺の患者さんでもより正確な画像診断が可能になっています。
まとめ
現在がん検診では、いろいろな角度からがんの診断やリ・ステージングができるように、複数の画像診断機器で撮影してより正確な診断を出すようにしています。
最新の画像診断機器が揃っている病院で検診を受けることも、がんの早期発見には重要なポイントです。