がんのステージによって使い分けられるサイバーナイフとトモセラピー
がん治療の放射線治療において、放射線治療は多くの人に選ばれるようになってきました。
放射線治療で使用される最新の医療機器である「サイバーナイフ」と「トモセラピー」は、どちらもピンポイント照射が出来る高度放射線治療装置です。
サイバーナイフは定位放射線治療装置と呼ばれるタイプの放射線治療装置。
トモセラピーは強度変調放射線治療と画像誘導放射線治療を併せて持っていて、放射線治療装置とCTが一体となった最新の放射線治療装置です。
サイバーナイフとトモセラピーは、どちらもアキュレイ社の登録商法です。
また、サイバーナイフとトモセラピーは、がんの症状やステージによって使い分けられます。
そこで、がんのステージについてもご説明しましょう。
がんのステージとは
がんには進行度に応じて、5つの段階に分類されています。
ステージ別に分類され、がんがどれくらい進行しているのかという進行度合を意味しています。
- ステージ0(がんが上皮細胞内に止まった状態でリンパ節には転移していない)
- ステージⅠ
- ステージⅡ
- ステージⅢ
- ステージⅣ
がんのステージは、ステージ0期からⅣ期まで5段階あり、ステージⅣがもっとも進行している状態になります。
ステージの判定は、がんの大きさ、リンパ節への転移の有無、他の臓器への転移が有無という3つの要素を組み合わせて考えられて、それぞれのステージに必要な治療が行われます。
サイバーナイフとは
サイバーナイフは、これまでの放射線治療装置とは違い、自由自在な方向から放射線を放射することができるロボットアームを搭載した放射線治療装置です。
サイバーナイフの動体追尾システム
放射線治療を受けるときは「動かないでくださいね」と言われます。
それは狙ったがん細胞に対して、より確実に放射線を照射するためです。
しかしサイバーナイフには、放射線治療の際に患者さんが少しでも動くと、患者さんの動きに合わせて照射位置を調整することができる「動体追尾システム」が搭載されています。
患者さんの微妙な動きに合わせて、位置決めと位置を修正しながら放射線照射を行うことができるというのは、サイバーナイフの大きなメリットです。
ですから、放射線治療の際に患者さんが動いた場合の修正はもちろん、私たちは呼吸をするので肺が動くように、人間の意思で動きを止められない臓器の動きや反応にも対応できるようになっています。
もちろん自由に動いて良いということではないので、固定してからの治療になりますが、ひと昔前のきつく固定してからの放射線治療は不要になりました。
早期がんにはサイバーナイフが向いている
早期のがんには、サイバーナイフの治療が適しています。
放射線によるがん細胞の死滅には、照射した線量に関係しており、照射する線量が多ければ多いほど、がんを効率的に死滅させることができます。
サイバーナイフが最も生かされるのは、遠隔転移のない6cm以下の小さな早期がん治療においてです。
ピンポイント照射を得意としているサイバーナイフは、短期治療を可能にしています。
たとえば、3cm以下の初期の小さながんであれば、1回の治療で消失させることも可能です。
複数回の照射をする場合も、4~5回の照射で治療は終わります。
治療期間が短いと、患者さんがより早く日常生活に戻ることができるので、QOL向上に役立ちます。
早期がんのうちに、がん細胞だけにピンポイントで放射線を照射できれば、ほとんどのがんを完治させることも可能です。
しかも、がん細胞にピンポイントで照射することができれば、副作用はほぼゼロでしょう。
トモセラピーとは
トモセラピーでは、毎回の放射線治療の照射前にCT撮影をして、照射位置の修正を行います。
従来の放射線治療では、患者さんの体にペンでマーキングをして照射位置の目印としていましたが、トモセラピーではCTが一体となっているので、その都度撮影して修正できるようになっているのです。
トモセラピーは、より高い精度でがんだけを狙って放射線を照射することが可能です。
トモセラピーは進行がんに強い
トモセラピーは、ステージⅢ以降の深く進んだがんに適した治療法です。
進行がんの場合、基本的に分割照射で治療が進められます。
がんの症状によって定められた許容線量は違ってきますので、線量や回数はがんの種類や患者さんの状態を精査した上で決定していきます。
トモセラピーは、鋭い1本のビームを照射するサイバーナイフとは異なり、照射されたビームの中で線量に強弱をつけながら、多数の方向から多くのビームを発射して治療を行います。
毎回CTで撮影してから照射を行うので、複雑な形のがんにも正確に照射可能です。
またトモセラピーは、乳がん治療にも広く使われています。
以前のトモセラピーでは、乳がん治療の際トモセラピーで乳がんにしっかりと放射線を照射しようとすると、肺や心臓に不必要な低線量が照射されていて心配の声が上がっていました。
しかし、トモセラピーに心臓や肺への負担を最小限に抑えることができる固定多門照射モードが追加され、トモセラピーは乳がんも強い放射線治療装置となりました。
まとめ
サイバーナイフとトモセラピーは、がんの放射線治療において大注目を集めています。
どちらも非常に広い適応範囲を持つ最新鋭の放射線治療装置ですから、これからますます高い治療成果が期待されていくでしょう。