セカンドオピニオンとは?費用や注意点など徹底解説
大きな病気であると診断されてしまった時、私たちは大きな選択を迫られます。
主治医の診断を本当に信じて治療を継続するのか?もしくは別の治療法を検討した方が良いのか?その病気において素人同然の患者にとっては非常に難しい問題です。
そうした悩みをサポートしてくれるのがセカンドオピニオンと呼ばれている制度です。しかしながら、まだまだセカンドオピニオンについては世間に正しく知られていないのが現状です。
そこで今回はセカンドオピニオンについて分かりやすく解説してまいります。
「セカンドオピニオンの費用はどのくらい?」
「セカンドオピニオンを受ける時の注意点は?」
「セカンドオニオンを受けて現在の病院とトラブルにならない?」
などセカンドオピニオンを受診しようと考えた際に知っておくべきポイントを分かりやすく解説してまいります。
セカンドオピニオンについては、ご自身が病気になる場合もそうですが、ご家族や大切な方が病気になってしまった場合にも必ず知っておくと良い情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
セカンドオピニオンとは?
セカンドオピニオンとは、「second(セカンド)/ 第2の」「opinion(オピニオン)/ 意見」で、「第2の意見をきく」ことを指しています。
つまり、「患者や患者家族が納得のいく治療を選択できるように、違う医療機関の医師に相談して意見を聞いてみること」です。
例えば、主治医より病状・治療方針などの説明を受けたとしても、知識・情報がなければ治療方針の決断は難しいこともあるでしょう。
しかし、セカンドオピニオンを受けることで、主治医とは違う医者の意見・情報・治療方針などさまざまな情報を得ることができます。
そのため、より納得のいく治療方針を決める手助けをしてくれるのです。
ただし、セカンドオピニオンは健康保険適用外であるため、費用は全額自己負担です。
セカンドオピニオンは受ける意味ない?
セカンドオピニオンを受ける意味は大いにあるといえるでしょう。その理由は、病状や治療方針などについて、主治医の意見だけでは不安や疑問を解決できないことがあるからです。
例えば、がんや心臓の病気など、命に関わる病気であれば主治医の意見だけでは迷ってしまうこともあるでしょう。
そのような時にセカンドオピニオンを受けることで、主治医とは別の角度から病状・治療法について話を聞くことができ、自分が納得のいく治療を見つけるきっかけとなります。
また、セカンドオピニオンを受ける具体的な理由は以下のようなものもあります。
- 診断された病気について、主治医以外の医師にも聞きたい
- 他の治療方法はないか知りたい
- 主治医の治療方針に納得いっていない
- 治療方法を複数から選べずに迷っている
- 主治医以外の医師にも同じ病気の前例がないか聞きたい
このように病気についての不安や疑問を解消する上でセカンドオピニオンという制度は非常に有効なのです。
ただしセカンドオピニオンは、必ずしも受ける必要があるものではありません。患者やご家族が満足した治療を受けるための権利なので、上記のような悩みがある方は解決する手段の一つであると認識しておくとよいでしょう。
相談内容によってはセカンドオピニオン対象外
セカンドオピニオンを受ける具体的な理由をお伝えしましたが、相談内容によっては対象外となってしまいます。
対象外となる具体的な内容は以下の通りです。
- 主治医から承諾を得ていない
- 裁判や医療訴訟について
- 医療ミスについて
- 医療費について
- 医療給付について
このような相談はセカンドオピニオンの対象外となるケースが多いです。
また、内科などの比較的治りやすい病気は対象外ではありませんが、費用が全額自己負担となるセカンドオピニオンには向いていないといえます。
セカンドオピニオンの費用はどのくらい?
セカンドオピニオンの費用は診察・治療などの医療行為ではなく、自由診療扱いとなるので全額自己負担となります。
費用の目安としては、時間にもよりますが10,000円〜30,000円程度です。
ただし、医療機関によって費用・時間が異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。
また、セカンドオピニオンを受ける際は、「検査データや画像データを含めた紹介状(情報診療提供書)」が必要となります。
紹介状の費用は5,000円程度ですが、保険適応となるため3割負担の方の費用は1,500円となります。
セカンドオピニオンの費用は医療費控除の対象
セカンドオピニオンにかかる費用や交通費などは、医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、1世帯あたり1年間に合計10万円以上の医療費を支払った場合において、控除が受けられる制度です。(保険金などを受け取った場合には、その金額を差し引いた上での金額です)
セカンドオピニオンメリット・デメリット
セカンドオピニオンにも受けるメリット・デメリットがあります。それぞれ2つずつあるので以下で紹介します。
メリット①:治療の選択肢が広がる
セカンドオピニオンを受けることで、治療の選択肢が広がる可能性があります。理由は、医師によって治療法が異なる場合があるからです。
同じ病気であっても治療法は常に同じではありません。例えば、がん治療においては外科手術や放射線療法、化学療法、免疫療法などが4大治療法とされています。
それぞれにアプローチや技術力が異なるわけですから、どこの病院で受けても同じ結果ではないということを、ぜひ知っておいてください。
また、医学は日々進歩しているため、新しい治療法も増えています。
そのため、セカンドオピニオンを受けることで治療の選択肢や医療知識が広がり、自分やご家族が納得できる治療法が見つかる可能性があるのです。
メリット②:主治医と同じ意見でも納得して治療が受けられる
セカンドオピニオンを受けたからといって、必ずしも違う治療法を提案されるとは限りません。
主治医もセカンドオピニオンの医師でも、あなたに本当に合っていると考える治療法を提案するため、2人の医師の意見が同じ場合はあなたに適した治療法と考えてもいいでしょう。
また、改めて説明を受けることで理解が深まったり、納得できたりすることもあります。
セカンドオピニオンでは、必ずしも違う治療法を提案されるとは限りませんが、意見を聞くことで、納得して治療を受けることができるでしょう。
デメリット①:セカンドピニオンを受けるまでに時間がかかる
セカンドオピニオンを受けるまで時間がかかるのはデメリットになります。その理由は、治療開始までに時間がかかってしまい、病気が進行してしまう可能性があるからです。
セカンドオピニオンを受けるためには、以下のような手順が必要です。
- セカンドオピニオンを受ける医療機関を決定
- 主治医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介所などを準備してもらう
- セカンドオピニオンを受ける医療機関へ連絡し、日程を決める
- セカンドオピニオンを受ける
- 主治医にセカンドオピニオンの結果を伝える
最善の治療を受けるためにセカンドオピニオンを受けますが、時間がかかってしまうと病気によっては進行する可能性があります。
病気の進行状況なども踏まえて、セカンドオピニオンを受けるかの判断が必要です。
デメリット②:費用がかかる
セカンドオピニオンのデメリットとして、費用がかかることも挙げられます。
理由は、全額自己負担だからです。
セカンドオピニオンは検査や治療などが行われないため、自由診療扱いとなります。
そのため、公的医療保険が適用されず、全額自己負担となってしまいます。
また、セカンドオピニオンの費用の相場は、10,000円〜30,000円と高額です。
医療費控除の対象となりますが、費用の負担は大きいでしょう。
セカンドオピニオンを受ける時の注意点
セカンドオピニオンを受ける際、いくつか注意点があるので紹介します。
主治医の意見や治療方針をきちんと理解しておく
セカンドオピニオンを受けても、主治医の意見を理解していなければ混乱を招く結果となります。
なぜなら、セカンドオピニオンでの意見も理解できない可能性が高いからです。
例えば、主治医から病状や治療方針について説明されたが、専門用語などがわからず理解が曖昧のままセカンドオピニオンを受けたとしましょう。
主治医の意見も理解できていない状態なのでセカンドオピニオンを受けても、混乱してしまう可能性が高いでしょう。
そのため、主治医と話す段階から、ご家族など信頼できる方と一緒に話を聞き、メモなどをとって理解を深めることが重要です。
セカンドオピニオンを受けることを主治医に伝える
セカンドオピニオンを受ける際は、必ず主治医に伝えましょう。
なぜならセカンドオピニオンでは、検査結果や画像データだけでなく、これまでにかかった病気などのさまざまな情報を含めた主治医の意見(ファーストオピニオン)をもとに治療方法などを検討するからです。
実際に「セカンドオピニオンについて主治医に言いにくい」という方が多くいらっしゃいます。
しかし、必要な情報が不足していたり、誤った情報をもとに相談していたりする恐れがあります。
そのようなことがあると、適切な治療法を検討できない可能性が高いでしょう。
近年、セカンドオピニオンは当たり前となってきており、主治医に否定されることはほとんどありませんので安心してください。
まずは主治医へ相談してから受けるようにしましょう。
セカンドオピニオンを受ける前に費用を調べておく
セカンドオピニオンを受ける医療機関の費用は事前に確認しておきましょう。
自由診療であるため保険適用外となります。そのためクリニックによって費用は異なるため事前に把握して納得した上で受診するようにしましょう。
セカンドオピニオンを受けた後は自分で治療方針の決定をする
セカンドオピニオンを受けた後は、自分で治療方針を決定しなければなりません。なぜなら、治療を受けるのはあなただからです。
例えば、特に主治医とセカンドオピニオンで意見が異なる場合は「どの治療法を受けるか」「どこの医療機関で治療するか」などを考える必要があります。
まずは結果を主治医へ報告し、主治医・ご家族などの信頼できる人と相談した後、最終的にはご自身で治療方針を決める必要があります。
ただしセカンドオピニオンは他のクリニックへ転院することを前提にしたものでは一切ありませんので、その点はご注意ください。
セカンドオピニオンを受ける時に準備する物
セカンドオピニオンでは、受診する前に準備するものがあります。
「自分で準備するもの」と「主治医が準備するもの」があるので、それぞれ不足がないように確認しましょう。
【自分で準備するもの】
- セカンドオピニオン申込書(医療機関によって異なります)
- 代理相談の場合は、同意書
- 未成年の場合は続柄が確認できるもの(健康保険証など)
- 健康保険証
- お薬手帳
- 費用
※費用とは、セカンドオピニオンを受ける費用とは別に現在の主治医及びクリニックに支払う「紹介所(診療情報提供書)」の費用も必要です。
【主治医が準備するもの】
- 情報診療提供書(紹介状)
- 検査データや画像などの必要書類
セカンドオピニオンに対するよくある質問
セカンドオピニオンに関してよくある質問にお答えします。
セカンドオピニオンの費用が実費なのはなぜ?
セカンドオピニオンは治療ではなく「相談」なので、費用は全額負担となります。
保険適応となる場合は、検査や治療などの医療行為が行われます。
しかし、セカンドオピニオンは通常医療行為は行われませんので、保険適用外となります。
セカンドオピニオンを受けることを主治医に内緒するのはダメ?
セカンドオピニオンを受けるのであれば、きちんと主治医へ伝えましょう。
「言い出しにくい」と思う方も多いかと思います。
しかし、かえって主治医との信頼関係を損なう結果になりかねません。
また、セカンドオピニオンを受けた時も主治医からの情報がないため、必要な情報が不足していたり、誤った情報を伝えてしまう恐れもあります。
あなたにとって必要な情報をお伝えできない可能性があるので、必ず主治医へ伝えておきましょう。
セカンドオピニオンに必要な「紹介状」の費用は?
紹介状(診療情報提供書)の費用は5,000円程度です。
また、紹介状は保険適用ですので、3割負担の方は1,500円程度となります。
セカンドオピニオンは紹介状なしでも受けられる?
セカンドオピニオンは、主治医に相談した後に紹介状を持って受けるのが一般的です。
主治医に伝えず紹介状がなくても他の病院に受診することはできます。
しかし、改めて診察や検査などを受ける必要があり、セカンドオピニオンよりも時間や費用がかかってしまう場合があります。
そのため、適切なセカンドオピニオンを受けるためには、主治医へ相談して紹介状を書いてもらうことが望ましいでしょう。
まとめ
医療の世界は日々進化しており、日本国内においても医療格差が問題になっています。それほど医療の世界においては診断する医師や執刀する医師によって結果が異なってしまうのが実情です。
どこの病院で診ても同じ治療法、同じレベルの医療が受けられる訳では残念ながらないのです。だからこそ、正しい知識や最新情報などをしっかり踏まえながら後悔のない選択をすることが人生をより豊かにしてくれるといえるのです。
前向きに治療と向き合い、生きていくための一つの選択肢であるセカンドオピニオンをぜひ活用してみてください。