がん治療とブログ~子宮頸がんのステージと抗がん剤治療について
がんの発症から治療までを経験され、現在もドラマーとしてご活躍されている小林香織さんのブログについてご紹介します。
小林香織さん(女性ドラマー)ブログ『KAO-RHYTHM』
女性ドラマーとして活躍している小林香織さんは、2011年7月に子宮頚癌であることを告白。
その後広汎子宮全摘出し、リンパ節切除手術、その後5カ月の抗癌剤治療を経て、2012年3月よりお仕事に復帰しています。
小林さんは、不正出血の自覚症状があったことから、自治体の子宮頸がん検診を受診しました。
そこで異変が見つかり、がん専門の病院で検査してもらったところ、小林さんの腫瘍は子宮頸部にとどまるもので、腫瘍の大きさが3㎝大のⅠB1期でした。
子宮頸がんの場合、進行の度合によって病期が細かく分類されます。
子宮頸がんのステージ
Ⅰ期
がんが子宮頸部のみに認められ、他に広がっていない状態
ⅠA期
組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが5㎜以内、縦軸方向広がりが7㎜を超えていない
ⅠA1期
組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが3㎜以内、縦軸方向広がりが7㎜を超えない状態
ⅠA2期
組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが3㎜を超えているが5㎜以内であり、広がりが7㎜を超えていない状態
ⅠB期
臨床的に明らかな病変が子宮頸部に限局するもの、また臨床的に明らかではないがⅠA期を超えている状態
ⅠB1期
病変が4㎝以内
ⅠB2期
病変が4㎝を超えている状態
Ⅱ期
がんが子宮頸部を越えて広がっている状態だが、骨盤壁または膣壁の下3分の1には達していない
ⅡA期
がんが膣壁に広がっている状態だが、子宮頸部の周囲の組織には広がっていない
ⅡA1期
病変が4㎝以内の状態
ⅡA2期
病変が4㎝を超えている
ⅡA3期
がんが膣壁に広がっているが、骨盤壁まで達していない状態
Ⅲ期
がんは骨盤壁まで達している状態で、がんと骨盤壁との間にがんでない部分を持たない、または膣壁の浸潤が下方部3分の1に達している
ⅢA期
がんの膣壁への広がりは下方部分の3分の1に達している状態だが、子宮頸部の周囲の組織への広がりは骨盤壁にまでは達していない
ⅢB期
がんの子宮頸部の周囲の組織への広がりが骨盤壁にまで達している状態、または腎臓と膀胱をつなぐ尿管ががんでつぶされ、水腎症の状態になっている場合や、腎臓が無機能になった状態
Ⅳ期
がんが小骨盤腔を越えて広がるか、膀胱・直腸の粘膜に広がっている状態
ⅣA期
膀胱や直腸の粘膜へがんが広がっている状態
ⅣB期
小骨盤腔を越えて、がんの転移がある状態
通常、子宮頸がんはステージがⅠA期であれば、妊娠を強く希望する場合など円錐切除術が適応されることもあり、小林さんも最初の病院では円錐切除術で行く予定でした。
しかし、ⅠB期に入ると子宮の周囲も大きく切除する広汎子宮全摘出術となり、さらに骨盤リンパ節郭清をする必要も出てきますので、子宮全摘手術ということになってしまうのです。
小林さんは「絶対に子どもが欲しい」というわけではなかったため、命を優先して子宮全摘手術と骨盤リンパ節郭清を受けることになりました。
手術後、切除したリンパ節の病理検査の結果は、50個採取したリンパ節のうち2個が陽性でした。
2個とはいえ、すでに骨盤リンパ節への転移が見られたということは、すでにリンパ節を通して全身にがん細胞が回ってしまっている可能性があることから抗がん剤治療も行われました。
つらい抗がん剤治療
抗がん剤治療は副作用も強いため、病院への行き帰りも大変だったという小林さん。
想像もしていなかった吐き気や倦怠感に耐えながら、5クール5カ月間の抗がん剤治療を終えました。
つらい副作用にも耐えて治療に臨んだのは、仕事への思い、熱意が強かったからでした。
12歳でドラムを始めた小林さんは、2004年にはブロードウェイミュージカル日本版『CABARET』に演奏出演し、宇都宮隆さんプロデュースのU_WAVEなど多くの場で活躍していたため、がんの治療により仕事を休むことをとても心配していました。
小林さんのようにクリエイティブな人は、がん治療により現場から離れることにとてもストレスを感じます。
しかし、その音楽への強い思いががん治療を支え、つらい抗がん剤治療にも耐えることが出来て、翌年には復帰を遂げたのでしょう。
小林さんがブログで伝えてくれたこと
小林さんは、がん発症当時のことをブログで「がんが見つかってしまいました」と書かれており、ご自身の病状を説明されて、治療に前向きに進む様子が綴られています。
そして、性交渉の経験がある女性なら誰でも子宮頸がんになる可能性があることや、がん検診を受けることの重要性を訴えられています。
がん検診でがんが見つかった小林さんからの「がん検診に行ってください」の言葉は、とても強く説得力があります。
そして、がんへの恐怖を取り去ってくれるかのように、ご自身の闘病についても正直に綴られているブログですので、治療経過も素直に綴って行くという宣言をされています。
現在日本では2人に1人はがんにかかる時代と言われており、がんはとても身近な病気になりました。
しかし、今ではがんは不治の病ではなく、早期発見・早期治療において根治を目指せる病気になっています。
がん治療を経験した小林さんは、現在がん保険のインタビューや「早期発見で救える命がある」ということを訴える埼玉県のがん検診推進プロジェクトのポスターに登場するなど、がんへの啓発活動にも積極的に参加されています。
まとめ
小林さんのブログや啓発活動を通してのインタビューに書かれている病状や治療法などは、がん患者さん全ての人に当てはまることではありません。
しかし、小林さんがどんな思いで治療に向かわれていたのか、つらい思いをどのようにして乗り越えたのかなど感情のシェアをしてくれていることは、がん患者さんやそのご家族だけでなく、多くの人の心に響くでしょう。