がん治療とブログ~肺腺がんの原因・喫煙・オプジーボとの関係は?
中村獅童さんは、2017年5月に行った人間ドッグにて肺腺がんが発覚しました。
「この状態で見つかったのが奇跡だ」と言われるほど初期のがんで「今の状態で手術をすれば完治する」ということから、2カ月間手術・治療に専念しました。
そして秋には復活を遂げ、お仕事に復帰したのです。
自覚症状はなかった肺腺がん
中村獅童さんは、肺腺がんについての自覚症状は全くなく、もちろん痛みもありませんでした。
人間ドッグにて発見された肺がんは、リンパ節に転移のないステージ1aの状態でした。
肺腺がんは進行すると転移する可能性が高くなりますが、中村獅童さんのようにステージ1aの状態で治療すれば9割は治ると言われています。
中村獅童さんは、がんであることを告白した時の文章は以下の通りです。
「毎年、定期的に受けている人間ドックの中で初期の肺腺癌であることが分かりました。
今見つかったのが奇跡的と言われる程の早期発見で、この状況ですぐに手術をすれば完治するとの担当医師からのお言葉でした。
病に打ち克ち、必ず元気になって今まで以上に良い舞台がつとめられますよう、より一層精進いたし、また皆様にお目にかかりたいと思っております。」
仕事への熱意とともに、生きることへの気迫が感じられる文章です。
実はがんが発覚した時、中村獅童さんの奥様の妊娠発覚から3日後でした。
仕事のために、生まれてくるお子さんのために、まだ生きねばならないと誓った中村獅童さんは、手術にも抗がん剤治療にも意欲的に取り組みました。
中村獅童さんの闘病生活は、自分自身と向き合い、真の自分を発見し再認識する時間になりました。
中村獅童さんがかかった肺腺がんとは?
肺腺がんとは、肺がんの中でももっとも多いがんで、肺がんの半数は肺腺がんであると言われています。
野際陽子さんも、肺腺がんを患って亡くなられました。
肺腺がんは、発症してすぐの早期の状態では症状が出にくいため、中村獅童さんのように人間ドッグや検診などでないと発見することはできません。
がんが進行するにつれて、肺がん患者さんに共通してみられる長期間の空咳、血痰、胸の痛みなどが見られるようになってきます。
また、肺の末梢部分でがんが大きくなる病気なので、胸膜に影響があり、肺に水が溜まった状態であるということです。
肺がんの推定患者数は、全国で12万人いると言われています。
肺がんにかかる人は40代後半から増え、年齢に比例して発症率も上がります。
肺がんは喫煙者に多いイメージですが、肺腺がんは非喫煙者にも多く見られるがんです。
肺の奥は、細かく枝分かれしているのですが、肺腺がんはその奥にできるのです。
肺腺がんは初期症状が見られないことが多く、がんが進行につれて胸痛、咳、痰などの呼吸器症状が見られるようになります。
しかし、「これは肺腺がんの特有の症状です」というわかりやすい症状はなく、肺とはあまり関係がなさそうな頭痛やめまいなどの症状がみられます。
これは肺腺がんが脳へ転移したことによる症状なのです。
肺腺がんは、中村獅童さんのように人間ドッグや検診で見つかることが多いです。
また、他の病気で医療機関に行きレントゲン撮影をした際、肺に異常な影が見つかった場合、「肺がんかもしれない」と疑われます。
そして、CT検査、喀痰細胞診などの検査をしてから、病変の有無や場所を調べます。
肺腺がんの原因とは?
中村獅童さんがかかったことでその名が知れ渡ることになった肺腺がんですが、肺腺がんにかかる原因は特定されていません。
肺がんは、家系的に遺伝するような発がんの原因となる遺伝子変異は見つかっていないのが現状ですが、発がん物質の解毒機構に関わる遺伝子について研究が進んでいますが、まだまだ初期の段階です。
肺腺がんと喫煙
肺腺がんは、喫煙者だけでなく非喫煙者でも発生しやすいと言われています。
非喫煙者でも肺がんになるのかと驚いた人も多いのではないでしょうか。
しかし、肺腺がんは、非喫煙者より喫煙者の方ががんの発症率は高くなります。
さらに、肺腺がんは受動喫煙の影響も強く受けます。
自分がタバコを吸わなくても、パートナーが喫煙者の場合は、非喫煙者でも肺腺がんの発症率は高くなるので気をつけましょう。
肺腺がんとオプジーボ
2018年10月に京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)氏が、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
本庶氏は、画期的ながん免疫チェックポイント治療薬と言われる「オプジーボ」の開発に大きく貢献しました。
免疫チェックポイント阻害剤は、ここ2〜3年で注目されてきているお薬で、多くの製薬会社が免疫チェックポイント阻害薬の開発を進めています。
そもそも、がんは細胞のコピーミスから起こると言われており、異常タンパク質を作り続けています。
またがん細胞は、免疫細胞ががん細胞を攻撃しないように、巧みに攻撃を逃れようとするのです。
がん細胞は、PD-L1やCTLA4などの免疫チェックポイント分子を使って、免疫細胞からの攻撃をストップさせてしまうのです。
そこを阻害し、免疫細胞が正しくがん細胞を攻撃できるようにするために開発されたものが「食い止めてしいるものを阻害しよう」免疫チェックポイント阻害剤です。
「夢のがん治療薬」と謳われたオプジーボは、2018年11月から値下げされることになっており、今後は肺腺がんの治療にもオプジーボが大きく貢献するのではと言われています。