がん治療用語集:セカンド・オピニオンとサード・オピニオン
がん治療をはじめとして、「セカンド・オピニオン」という言葉に注目が集まっています。
セカンド・オピニオンとは、主治医以外の医師から意見・診断をもらうことを指します。
そこでセカンド・オピニオンや、それにまつわる「サード・オピニオン」「ドクターショッピング」「インフォームド・コンセント」についてご説明します。
セカンド・オピニオンとは?
セカンド・オピニオンは、直訳すると「第二の意見」となり、日本では主に医療の分野において、主治医以外の専門医の意見をもらうことができる制度です。
もともとはアメリカで始まったサービスで、日本では1990年頃から導入され始めています。
主治医以外の医師から、その治療法が適切か、他の方法はあるかなどを聞くことで、より納得して治療を受けることができるのです。
たとえば、主治医からがんの診断を受けて「このガンは、手術しか方法がありません」と診断された場合、様々な理由で手術ができない状況もあるかもしれません。
「どうしても家庭の事情で入院ができない状況なのだけど、本当に手術するしか方法がないのか」
「主治医以外の別の医師からの意見も聞いてみたい」
と思った時、主治医以外の医師から診断を仰ぐことができるのが、セカンド・オピニオンのシステムです。
セカンド・オピニオンは、主治医に内緒で受けるものではなく「セカンド・オピニオンで受診する」ということを伝えて「診療情報提供書」という書類を作成してもらう必要があります。
セカンド・オピニオンへは、これまでの経過や検査結果を提供して受診するようになります。
「主治医との関係が悪くなるかもしれない」と不安に思って「セカンド・オピニオンを受診したいけれど言いだせない」という方も多いようです。
しかし、患者さんにも治療の選択権利がありますので、基本的には医師の機嫌を心配する必要はありません。
ただし現実問題として、医療現場の世界は上下関係やしがらみがややこしいことや、セカドオピニオンを正しく理解していない医師、プライドの高い医師がいることも事実です。
「セカンド・オピニオンを受診したい」と希望した患者さんに対して、急に冷たくなったり転院を勧めたりする場合もあるかもしれません。
そのような医師からの治療を受けるよりも、あっさり転院したほうが良いこともあります。
特にがん治療は、患者さんと医師や医療スタッフは長い付き合いになりますので、誠実な医師と治療に臨むためにも、公正な判断が出来る医師であるかという見極めは重要です。
セカンド・オピニオンと転院は別物
セカンド・オピニオンと医師を変える転院を同じものだと考えていらっしゃる人も多いですが、全く別物です。
「医師を変えたい」という場合が、転院・転医となります。
もちろん、セカンド・オピニオンを受けたのち、セカンド・オピニオンの医療機関が医療機器や施設面で患者さんに適していた場合は、結果的に転院となるケースもあります。
サード・オピニオンとは?
主治医の意見だけでなく、セカンド・オピニオンを受けることは、がんの治療や精神科の医療でもよくあることです。
セカンド・オピニオンだけでなく、また別の医療機関で医師の意見を聞くこともできます。これがサード・オピニオンです。
医療の研究は日々進んでおり、治療方法も1つだけではなく多くの選択肢から選べるようになっています。
患者さんが、自分に適した治療方法を選択していくためには、多くの意見や情報を知る権利もあるのです。
セカンド・オピニオンは全額自己負担
セカンド・オピニオンは健康保険適用外になるので、費用は全額自己負担になります。
セカンド・オピニオンを受ける際は聞きたいことを明確にして、時間内で満足がいく質問ができるようにしておきましょう。
ドクターショッピングとは?
患者さんが医師の診断に不満を持って、自分の求める診断名や治療方法を提示されるまで医療機関を巡り歩くことを「ドクターショッピング」と言います。
消費者が自分の求める理想の商品を求め、あちこちの店舗を探し回る様子に似ていることから、ドクターショッピングと呼ばれています。
たとえば、がんなど病名が確定した後に医師の診断名を受け入れられず、患者さんが病院を渡り歩くこともあります。
しかし、別の医療機関に行けば、また1から検査をし直すことになり、医療費の無駄遣いになってしまうことや、治療の遅れに繋がる可能性もあります。
インフォームド・コンセントとは?
「インフォームド・コンセント」とは、従来の“お医者さんにお任せの医療”ではなく、患者さん側と医療スタッフが共通理解し合意している、という意味合いがあります。
- 患者さんや家族が病状や治療方針について十分に理解している
- 医療スタッフも患者さんが自分の病状や医師の説明内容をどのように受け止めたか理解していること
- 患者さんの意向を理解していること
- 今後、どのような治療方法を選択するか
インフォームド・コンセントは、ただ単に患者さんへ病状を告げて、患者さんから治療や手術に際しての同意書をとることではありません。
治療中はもちろん日常の場面においても、患者さん側と医療スタッフはよく話し合い、どのような治療やケアを行うか決定する必要があります。
患者さんとその家族、医療スタッフ、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど、関係者全員がお互いに情報を共有して皆で合意することがインフォームド・コンセントです。