手術・抗がん剤治療を受けられない高齢者のための放射線治療

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手術・抗がん剤治療を受けられない高齢者のための放射線治療

「私はもう年だから、がんの治療はしたくない」

こんなことをおっしゃる高齢者の方が多くいます。もう先が短くないのだから、辛いことはしたくない、という気持ちから出るのでしょう。
しかし、がんの治療というのは必ずしも辛く苦しいものではありません。これからお話することを知っておいていただければ、きっと「治療してみようかな」という気持ちになると思います。

今回は、高齢者とがん治療についてのお話です。

高齢者

高齢者って何歳から?

高齢者とよく耳にしますが、正確には何歳の方のことを指すかご存知ですか?
60歳か、それとも65歳か。
最近の60代は若いですからね、もしかしたら70代以上でしょうか?

調べてみると、「高齢者」の定義は色々あることが分かります。例えば国際連合(いわゆる国連)では、高齢者は60歳以上と定義されている一方、WHOと呼ばれる世界保健機関では65歳以上と定義しています。
日本の医療に関する法律では以下のように区分しています。

  • 前期高齢者:65~74歳
  • 後期高齢者:75歳~

そう言えば、後期高齢者医療制度が出たときに、「後期高齢者」という呼び方に対する批判が集まりましたね。
当時、長寿医療制度という名前に変えて、イメージを良くしようとしていたようですが、今やすっかり「後期高齢者」という言葉が定着してしまいました。
内閣府がまとめている平成28年版高齢社会白書によると、現在の高齢者人口は3,392万人で、高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は26.7%に達しています。

よく「日本は高齢化社会だ」と耳にしますが、これは、高齢化社会の定義です。

  • 高齢化社会(ageing society)…高齢化率が7~14%
  • 高齢社会(aged society)…高齢化率が14~21%
  • 超高齢化社会(super aged society)…高齢化率が21%~

なんと、日本はすでに超高齢化社会に!

75歳以上のいわゆる後期高齢者だけの統計をとっても、人口は1,641万人で、その割合は12.9%です。
後期高齢者だけを見ても、高齢化社会がいかに進んでいるかが分かりますね。

手術・抗がん剤治療を受けられるのは何歳まで?

人間には、二つの年齢があります。実年齢(暦年齢)と、体力的な年齢です。人の加齢・高齢化には、大きな個人差がありますね。
実年齢が同じ二人でも、体力的な年齢が全然違うというのはよくあることです。がんの場合、実年齢ではなく、主にこの体力的な年齢によって治療法を決めることが少なくありません。

手術

手術治療においてはそれが顕著ですね。

患者さんには当然、治療法を選ぶ権利があります。手術を選ぶかどうかは自由です。ですが、逆に、手術も患者さんを選ぶのです。

一般的に、80歳以上の場合、よほどの体力がなければ手術は見送られるものです。
実年齢からの判断がないとは言いませんが、それ以上に加齢による体力的年齢に不安があるからです。

もちろん、80歳以上での手術があり得ないわけではありません。手術が行われるとすれば、その患者さんに手術に耐えられる体力的な年齢が認められ、手術をする大義が認められた場合です。
一昔前まで、50代や60代と言えば、かなりの老人がイメージされましたが、今や50~60代は決して高齢者とは言えない時代になってきましたね。

しかし「若い」と思われるこの年齢層の方でも、体力的年齢によっては「手術は無理ですね」と言われてしまうケースがあります。
一見体力があるように見えても、心臓や肺の機能に問題があったり、何らかの病気を持っていたりするせいで手術が受けられないこともあります。

抗がん剤治療の事情も似たようなもので、抗がん剤に耐えられる方しか受けられません。やはり患者をさんを選ぶのです。

抗がん剤治療

若い患者さんにとっても、抗がん剤治療というのはとても辛いものです。高齢であればなおさら。なかなか耐えられるものではありません。
スタートに踏み切ったものの、耐えられずに途中で治療を放棄するケースが実に多いのです。

長生きする方が増えれば、それだけがんになる患者さんは増えていきます。
しかし、それと同時に、手術や抗がん剤治療を受けられない方も増えていっているのです。

今後の対策について、がん医療に携わるすべての人間が考えなければならない時期が来ていると思います。

放射線治療こそ高齢者のがんの救世主

がんの画像診断技術が躍進し、早期発見で助かるケースが増えてきました。多くの患者さんが救われています。
しかし、手術と抗がん剤治療に頼り過ぎている現状はこのままでいいのか……。

現実を直視すると、心もとない実感をぬぐい切れません。
このまま超高齢化社会が進んでいく中で、治療を望むにもかかわらず「手術も無理、抗がん剤も無理」という状況に置かれる方は増えることが予想されるからです。

抗がん剤治療も手術もできない人はあきらめるしかないのか……?

患者

そんなことはありません。
手術も抗がん剤治療もできない患者さんでも救ってくれるのが「高度放射線治療」です。
日本では長年二番手三番手の扱いを受けてきた治療法ですが、アメリカなどでは主流の治療法です。

「放射線治療は年齢に関係なく治療できる」

厚生労働省の研究でも、こう報告されています。この報告は、「高齢者のがん治療のあり方に関する研究」での結論です。

超高齢化社会を迎えている日本で、がんに放射線をピンポイント照射する高度放射線治療は最適のがん治療法です。

がんに強く患者さんに優しい治療法です。

まとめ

高齢者が増え、がんになる人が増え、体に大きな負荷がかかる手術や抗がん剤治療を受けられない人が増えています。
そんな日本で、患者を選ばない放射線治療は、間違いなくこれから広がりを見せていくでしょう。
一人でも多くの患者さんが、納得できる形でがん治療と向かい合っていけることを祈っています。

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