高齢化社会におけるがん放射線治療・トモセラピーのIMRTとは?

がん治療のセカンドオピニオンNIDCのサイトメニュー

68

高齢化社会におけるがん放射線治療・トモセラピーのIMRTとは?

トモセラピーはサイバーナイフと並んで放射線治療の最前線に立つ放射線治療装置です。

高齢化が進み、副作用が少なくて、がん治療に高い効果を発揮する放射線治療は注目を集めています。
そんななか、トモセラピーの担う役割も大きくなっています。今回は、トモセラピーについて掘り下げていきましょう。

トモセラピー

トモセラピーとサイバーナイフ

サイバーナイフ

トモセラピーとサイバーナイフはともに最新鋭の放射線治療機器です。導入する病院も着実に増えており、今後の広い活躍が期待されています。
二つの装置はどちらもX線をピンポイント照射するものですが、仕組みや役割は異なります。

サイバーナイフは、定位放射線治療と呼ばれる治療を施すための装置で、トモセラピーはIMRT(強度変調照射)の専用装置です。
定位放射線治療は、身体の周囲、様々な方向から放射線を照射して、がんをピンポイントで狙う治療法です。

より詳しくはこちらの記事にまとめてあるので、ご覧ください。
サイバーナイフとトモセラピーで最高のがん放射線治療を

ではトモセラピーに使われるIMRTにはどのような特徴があるのか見てみましょう。

IMRTって何?

従来の放射線治療では、がんにだけ放射線を照射することが難しかったため、副作用が問題になっていました。

それは、従来の放射線治療では、がんを含む平面に均等な線量を照射することしかできなかったためです。
どうしても照射部分には正常細胞も照含まれました。
当時の技術では副作用が起きることが分かっていても、正常細胞に放射線が当たるのを避ける術はなかったのです。

ビーム照射のイメージ

一方、今回取り上げているトモセラピーで行われる照射法、IMRTは副作用が少ないことで知られています。
その特徴は、1本1本の放射線ビームの中に、線量の高い部分と低い部分を作れるということ。

この特徴のおかげで腫瘍部分にのみ放射線を当てることができ、正常細胞へのダメージは最小限に抑えられ、結果副作用が少なくなっているのです。

IMRTを行える放射線治療装置・トモセラピーは特に実用性の高い装置です。

最後に、実用性の高いトモセラピーのなかでも、特に優秀な機種「Radixact(X7モデル)」についてみてみましょう。

ついに「Radixact(X7モデル)」が国内発設置

トモセラピーは、アメリカで2003年に臨床導入され、日本では2005年に1号機が導入されました。
2017年現在、世界中で5000台以上、日本国内では60台近くが導入されています。

Radixacctは、現在一般的に使われている機種に比べて様々な面で時間短縮がなされています。

具体例を挙げると

  • 照射のためのX線スキャンスピードが2倍
  • 撮影~処理~照射にかかる時間が最大2分(25%以上)短縮
  • 治療平均時間が13分→10分弱と3分以上短縮

どれも短縮時間自体は数分で小さく思えるかもしれませんが、実際に治療を受ける患者さんにとっては、治療時間は短いほうがありがたいものです。

がん放射線治療は日本でも普及するか

放射線治療、特にIMRTはそもそも患者さんへの負担が小さい治療法ですが、Radixacctの利用でさらに負担は小さくなります。
効果が高く、時間も短縮してくれるこの最新機種は、患者さんにとってメリットが大きいものになっています。

放射線治療に積極的な施設から順に、今後も日本国内で導入事例が増えていくのは間違いなさそうです。

まとめ

超高齢化社会に突入し、高齢のがん患者さんが増えているなか、放射線治療の重要性は日増しに強くなっています。
そんな世の中の求めに応じてか、放射線治療装置の精度や副作用の少なさは、ここ最近著しく上昇してきました。

次々と最新機種が発表され、よりよい照射法も開発されています。
欧米でそうあるように、日本でも「がんになったらまず放射線治療」そんな日が来ることを願っています。

高齢化社会一覧へ