血液がんとは?初期症状や治療法などわかりやすく解説

「血液がん」という名前を聞いたことがあっても、どのような病気かイメージしづらい人もいるでしょう。血液や骨髄でつくられる細胞に起こる異常が起こる病気で、体に現れる変化は人によってさまざまです。年齢や性別を問わず起こりうるからこそ、正しく知っておくことが今後の生活に役立ちます。基礎知識から治療法まで、順を追って解説します。
目次
血液がんとは

血液がんは、血液や骨髄、リンパ系組織で細胞ががん化して起こる病気の総称です。主な種類は白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫で、三大血液がんと呼ばれます。
がん化した細胞が異常に増えることで、酸素を運ぶ働きや免疫などの本来の機能が妨げられるのが特徴です。血液は全身を巡るため、不調の現れ方は多岐にわたります。
近年は新しい治療薬の研究が進み、患者さんの体調に合わせた選択肢が増え、良好な状態を維持しやすくなっています。
血液がんの主な種類と原因

血液のがんとひと口にいっても、その種類はさまざまで、発症しやすい年齢や体に現れるサインにも違いが見られます。代表的な種類を取り上げ、特徴をひとつずつ解説します。
白血病
白血病は、血液細胞の元となる細胞が骨髄の中でがん化し、異常に増えることで発症する病気です。がん細胞の増える速さによって急性と慢性に分けられ、さらに、がん化する細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分類されます。
原因は完全には解明されていませんが、染色体の変化や過去に受けた治療の影響などが関係すると考えられています。発症する年齢層は幅広く、子供から高齢者まで見られますが、慢性骨髄性白血病は40歳代以降に多く見られるのが一般的です。
主な症状としては、血液が十分に作られなくなることで貧血やだるさ、動悸などがあらわれます。また、細菌などと戦う力が弱まって熱が出やすくなったり、鼻血や歯ぐきからの出血、ぶつけた覚えのない青あざが目立つようになったりするのも特徴的なサインです。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気です。発症の原因は明らかになっていないことが多いですが、一部のウイルス感染や免疫の状態がかかわっていると考えられています。成人で多く見られる血液のがんであり、若年層から高齢層まで幅広い年齢で発症する可能性があります。
代表的な症状は、首やわきの下、足の付け根といった場所に、痛みのない腫れやしこりが現れることです。また、原因不明の発熱、多量の寝汗、急激な体重減少といった全身症状が見られることもあります。リンパ節やリンパ管などのリンパ組織は全身に広がっているため、さまざまな臓器に症状が出る場合もあります。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は、体を守る抗体をつくる形質細胞ががん化し、骨髄で増える病気です。発症の原因は明らかになっていませんが、年齢を重ねるごとに発症しやすくなる傾向があります。40歳未満での発症はまれで、主に高齢者に多く見られる疾患です。
がん細胞が骨を壊す働きを強めるため、背中や腰の痛み、骨折しやすくなるといった症状が特徴です。また、がん細胞が作る異常なタンパク質の影響で、だるさや喉の渇き、腎臓の働きの低下を招くこともあります。日常生活の中で、これまでになかった骨の痛みや体調の変化を感じるのが発見のきっかけになることもあります。
血液がんの初期症状

血液がんには複数の種類があり、体に現れる症状もそれぞれ異なります。普段は気にとめないような体の変化が、大切なサインとなっていることもあるのです。種類ごとに現れやすい症状を順にわかりやすく解説します。
白血病の初期症状
急性の場合は、貧血の影響で動悸や息切れ、全身のだるさといった症状が急に現れることがよくあります。また、正常な白血球が減ることで風邪のような症状が長引いたり、感染症にかかりやすくなったりするのも特徴です。
ほかにも、血を止める働きをする血小板が不足するため、鼻血や歯ぐきからの出血、ぶつけた覚えのない青あざが見られることもあります。一方で、慢性の場合は初期の自覚症状がほとんどなく、健康診断の血液検査で白血球の増加などを偶然指摘されるケースも多いです。
悪性リンパ腫の初期症状
代表的なサインは、首の周りやわきの下、足の付け根といったリンパ節がある場所に、腫れやしこりが現れることです。しこりは多くの場合で痛みを伴わないのが特徴で、触ることで異変に気づけます。
病状が全身に広がると、原因がはっきりしない発熱や、暑くないのに大量の寝汗をかくといった変化が起こることもあります。特別な理由がないのに短期間で体重が減る場合も注意が必要です。健康診断で偶然発見されることもあります。
多発性骨髄腫の初期症状
病気の初期にはほとんど自覚症状がなく、健康診断の血液検査や尿検査で数値を指摘されたり、風邪などの感染症が長引いたりすることで発見されることが増えています。かなり進行すると、骨がもろくなり、背中や腰の痛み、軽い衝撃での骨折などが現れる場合があります。
また、血液中の成分バランスが変わることで、強い喉の渇きや吐き気、便秘といった体調の変化を感じることもあります。赤血球が減ることで、息切れや動悸、だるさといった貧血のような症状が現れることも特徴です。
受診を検討するべき症状
血液がん全般において、早めの受診が望ましいサインがあります。 まず、首やわきの下にしこりや腫れがあり、数週間経っても消えない場合は、専門医への相談をおすすめします。原因不明の熱が続く、あるいは着替えが必要なほどの激しい寝汗をかく、短期間で体重が大きく減るといった変化も大切な目安です。
また、急なだるさや息切れ、止まりにくい鼻血、覚えのない青あざなども体調を確認するポイントになります。自覚症状がなくても、健康診断で血液や尿の数値を指摘された際は、放置せずに受診することが大切です。
血液がんの生存率と完治の可能性

血液がんと診断された場合、気になるのが生存率や完治の可能性です。血液がんの生存率を左右するポイントや、完治を目指せるかどうかについて、順を追って解説します。
種類ごとの生存率
血液がんの生存率は、がんの種類によって異なります。
統計によると、白血病の5年生存率は約50.5%です。白血病には、進行が速いタイプやゆっくり進むタイプがあり、がん細胞の遺伝的特徴によっても見通しが異なります。悪性リンパ腫の5年生存率は約67.5%となっており、血液がんの種類の中では比較的良好といえます。
病型によって数年単位で穏やかに進むものから、早期の治療が必要なものまでさまざまです。多発性骨髄腫の5年生存率は約53.9%ですが、近年は新しい治療の登場により、以前と比べて生存期間が延びています。
生存率を左右する要因
生存率を左右する要因には、いくつかあります。まず、診断時の年齢や体力といった身体の状態は、治療を円滑に進められるかを左右する大きな要因です。また、がん細胞に見られる遺伝子の特徴なども、経過を予測するための大切な材料となります。
さらに、最初におこなった治療への反応の良さも、将来の見通しを立てる際の重要なポイントです。加えて、糖尿病や心臓の病気といった持病の有無や感染症などの合併症も、治療の継続や生存率に影響を与える要因として挙げられます。
血液がんが完治する可能性
血液がんは、種類によって完治を目標にできる病気です。白血病は、抗がん剤治療や造血幹細胞の移植を組み合わせることで、病気が完全に治る状態を目指せます。悪性リンパ腫も、適切な治療計画を立てて進めることで、完治を目指せる血液がんのひとつです。
多発性骨髄腫は、完治を目指すことが難しいとされていますが、新しい薬剤による治療で症状を抑えながら、長期間にわたって付き合っていける病気になっています。また、近年の分子標的薬や新しい免疫療法の進歩により、従来は治療の選択肢が限られていた場合でも、完治への道が広がっています。
血液がんの検査方法

血液がんの検査は、病気を正しく診断し、治療方針を考えるためにも欠かせないものです。血液を調べる検査や、体の内部を確認する検査など、いくつかの方法があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
血液検査
血液検査は、全身の健康状態を確認するために最初におこなわれる基本的な検査です。血液に含まれる赤血球や白血球、血小板などの数を測定し、体の中で血液を造る機能がどのように働いているかを詳しく調べます。
また、肝臓や腎臓の働きを確認するとともに、がんの種類によっては目印となる特定のタンパク質が出ているかどうかも調べます。血液検査の結果は、診断の補助だけでなく、治療を開始した後の経過を把握したり、薬剤の効果を判断したりするための大切な指標です。
骨髄検査
骨髄検査は、血液が造られる場所である骨髄の状態を直接確認する検査です。一般的には腰の骨に細い針を刺して、骨の中にある骨髄液や組織の一部を採取します。取り出した組織を顕微鏡で観察し、異常な細胞が混ざっていないか、血液を造る機能が保たれているかを詳しく調べます。
また、がん細胞の特徴や染色体の変化を調べることで、病気の種類を特定することができます。骨髄検査で得られる情報は、一人ひとりに適した治療計画を立てたり、今後の見通しを確認したりする際にも役立ちます。
リンパ節生検
リンパ節生検は、腫れているリンパ節などの組織を一部、あるいは全部取り出して詳しく調べる検査です。採取した組織を顕微鏡で観察することで、がん化した細胞の種類や性質を特定し、診断を確定させるためにおこなわれます。
リンパ組織に変化が現れる病気においては、正確な診断を下すために欠かせない手順です。また、取り出した組織を用いて染色体や遺伝子の詳しい解析をおこなうこともあります。解析結果は、今後の経過を予測したり、より適した治療方法を選択したりするための重要な判断材料として役立てられます。
画像検査
画像検査は、体の内部の状態を映し出して、病気の広がりや変化を確認するためにおこなわれます。レントゲンやCT検査では、X線を使って体の断面を画像化し、病気のある部分の大きさや場所を詳細に把握します。磁気を利用するMRI検査は、放射線を使わずにさまざまな角度から内部の状態を確認できることが特徴です。
また、特殊な薬剤を注射して撮影するPET検査は、細胞の活動状態からがんの広がりを調べたり、治療の効果を確認したりする際に役立ちます。画像検査を組み合わせることで、全身の状態を総合的に把握します。
血液がんの標準治療

血液がんの治療は、医療の進歩とともに大きく広がってきました。長年おこなわれてきた方法に加え、新しい仕組みを持つ治療も登場しています。以下より代表的な治療方法を解説します。
化学療法
化学療法は、細胞障害性抗がん剤を使って、全身に広がったがん細胞の増殖を抑える治療法です。点滴や飲み薬として投与され、血液の流れに乗って全身の細胞に働きかけます。病気の種類に合わせて数種類の薬剤を組み合わせる多剤併用療法がおこなわれることが多く、より効率的にがん細胞を減らす工夫がなされています。
治療の大きな目標は、検査でがんが確認できない「寛解」という状態を目指すことです。最近では通院で継続できる治療も増えており、生活スタイルに合わせた選択肢が広がっています。
分子標的薬
分子標的薬は、がん細胞だけが持つ特定の目印を狙い撃ちするタイプのお薬です。従来の抗がん剤とは異なり、正常な細胞への影響を抑えながら、がんの増殖にかかわる特定の物質の働きをピンポイントで妨げます。
飲み薬として続けられるものもあり、白血病や多発性骨髄腫など、多くの血液がんで取り入れられている標準的な治療のひとつです。がん細胞が持つ遺伝子の特徴に合わせて薬剤を選ぶことで、一人ひとりの病状に合った治療をおこなえます。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、血液のおおもとになる造血幹細胞を移植し、正常な血液をつくる働きを取り戻す治療です。通常の化学療法や分子標的薬では効果が得にくい場合に検討されます。
まず強力な薬でがん細胞を減らし、その後に健康な細胞を注入して移植をおこないます。移植された細胞の免疫の力により、体内に残るがん細胞を攻撃する効果が得られるのも特色です。自分の細胞をあらかじめ保存して使う自家移植と、ドナーから提供を受ける同種移植の2種類があります。
移植後は、感染症やGVHD(移植した細胞が体を攻撃してしまう症状)などの合併症が起こることがあるため、経過を見ながら継続的なケアをおこないます。
CAR-T細胞療法
CAR-T細胞療法は、自分の免疫細胞を取り出し、がん細胞を攻撃できるように遺伝子を改良してから、再び体内に戻す治療法です。特定の目印を持つがん細胞を狙うように調整された免疫細胞が、体内でがん細胞を見つけて攻撃します。
化学療法や造血幹細胞移植などの標準的な治療で効果が十分に得られなかった場合や、再発した際の選択肢のひとつです。悪性リンパ腫に加え、一部の白血病や多発性骨髄腫にも保険適用されています。
CAR-T細胞療法は、専用の施設での細胞加工が必要なため、認定を受けた特定の病院で計画的におこなわれる治療法です。
まとめ

血液がんは、血液や骨髄でつくられる細胞ががん化して起こる病気の総称で、代表的な種類として白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫が挙げられます。がんの種類によって現れやすい症状は異なりますが、しこりや発熱、だるさなど普段と違う変化に気づくことが早期発見への第一歩です。
治療法も幅広く登場しており、化学療法や分子標的薬に加え、造血幹細胞移植やCAR-T細胞療法といった選択肢により、白血病や悪性リンパ腫では完治を目指すことも可能になっています。気になる症状や健康診断での指摘があれば、早めに医療機関を受診し、専門医に相談してみましょう。

