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がんは放射線治療で治る時代に

今回は「がんは放射線治療で治る時代に」として、佐藤先生に貴重なお話をお伺いしました。

佐藤俊彦先生

佐藤俊彦
医療法人 DIC
宇都宮セントラルクリニック 理事

—今回のテーマは「がんは放射線治療で治る時代に」ということで、佐藤先生が進めている放射線治療についてお話を聞かせていただきます。佐藤先生、2024年もよろしくお願いいたします!

どうぞ、よろしくお願いします。
今回は新年最初の回ということで、改めて最新の放射線治療と保険適応についてお話ししたいと思います。

—ありがとうございます。それでは今回もよろしくお願いいたします。

 

がんは放射線治療の時代へ

 

こちらは日本放射線腫瘍学会の出している一般の方向けのパンフレットです。
ここには「がんは放射線治療の時代へ」と書かれてあります。ここの最後のページに免疫放射線についての解説が分かりやすく書かれています。

 

免疫放射線についての解説

 

ここでは、がんは放射線で遺伝子を切断しますと書かれてありますが、併せて放射線をあてることによって免疫が活性化して、がんを攻撃してくれると解説されています。
多くの患者様が、放射線をあてるとがんが治るのが放射線治療だと思われていますし、実際に多くの病院ではそうした方針で治療されています。
しかし、免疫放射線治療では体内の免疫機能を活性化させることでがん細胞を攻撃することがわかっており、その機能を使って治療を行うようになってきています。


そして当院では、放射線治療といっても複数の種類の放射線をあてることで最適な治療をおこなっていますが、日本の保険制度では複数の種類の放射線を治療に使うことは認められていません。
例えばトモセラピーとサイバーナイフという機械がありますが、これらを同時に使うことは標準治療では考えられていません。

トモセラピーとサイバーナイフ

 

それがどのような問題があるのか解説したいと思います。
まずトモセラピーいうのは元々、CTの技術を応用して開発されたもので、CTで画像をとりながら放射線を回転照射します。そのため頭の先から足の先まで何箇所病変があっても照射することができるのが大きな特徴です。トモセラピーは、強度変調放射線治療という放射線をさまざまな角度から少しずつ回転しながら照射することによって、腫瘍部分に限定してあてることが可能になります。


例えば以下の画像のように頭頸部のがんでは、従来機では腫瘍以外の健康な細胞や、ここでは重要臓器の唾液腺までもあたってしまいますが、トモセラピーを利用すると唾液腺へダメージを与えることなく治療が可能になるわけです。
こうした動かない臓器に対しては、トモセラピーは大きなアドバンテージがあります。
 
頭頸部癌に対するIMRTところが動く臓器のがんの場合、例えば肺がん・肝臓がん・膵臓がんのように呼吸性移動のある部位の場合、トモセラピーは弱くて、こちらのサイバーナイフが唯一の呼吸追尾型のシステムになります。
呼吸追尾というのはどういうことかというと、ここにあるロボットアームから照射するのですが、患者が着用しているベストの動きを把握して照射することが可能になります。

サイバーナイフの呼吸追尾型

 

 

実際の症例ですが、肺がんの患者様でさらに縦隔リンパ節への転移が見られました。
この場合は、肺がんにはサイバーナイフ(60Gyを3回)を使い、縦隔リンパ節にはトモセラピー(50Gyを25回)を照射しました。

肺がんで縦隔リンパ節への転移がある症例
これらをコンビネーションで使うというのが保険適用ではできないのです。
そして、トモセラピーとサイバーナイフの両方を持っている施設は全国で4カ所程度しかないというのも日本の現状です。


そして、よくセカンドオピニオンなどでいらっしゃる患者様で多いのが、放射線をかけた後に再発しましたと、そうすると主治医から「放射線をかけたところに、また放射線をかけるというのは出来ませんよ」と言われるそうです。
しかし実際のところ、ピンポイントで腫瘍にあてることができれば、追加照射できることもあります。

以下の人は、肺がんで再発して肝臓に転移が見つかった方です。

肺がんが再発し肝臓に転移が見つかった症例

放射線をあてた箇所に再度あてる場合には慎重に行う必要があるので、トモセラピーで10回照射(30Gy)とマイルドに回数をかけて実施しました。そして肝転移に対しては呼吸性移動量が多いので。サイバーナイフで3回(54Gy)を実施しました。
ここでもトモセラピーとサイバーナイフのコンビネーションが非常に有効でした。

3ヶ月後のPET

これが丁度3ヶ月後のPETですが、肝臓の転移も肺の再発部分もきれいに消えていますね。
実際の治療の現場では、こうした単純な1箇所だけの腫瘍ではなく、転移や再発などが起こった場合どのように最適な治療を行うかは、その施設や治療方針によって大きく異なるわけです。


また、放射線でがん細胞を攻撃するという従来の放射線治療ではなく、低線量の放射線をあてて免疫を活性化させすることによってがん細胞を攻撃するアプスコバル効果を利用した「免疫放射線治療」について世界中で多くの論文が発表されています。


以下の画像は、50代で肝臓がんと仙骨に転移のあった当院の患者様ですが、8Gyを1回だけ照射しました。
 
肝臓がんと仙骨に転移があった症例


その結果、半年経過した2022年6月には腫瘍が全て無くなりましたね。

半年後の状態


そして1年7ヶ月経った後も再発していません。

1年7ヶ月後の状態
こうしたアプスコバル効果を狙って免疫を活性化させることでがんを治せることは、私のメルマガをご覧の方にはぜひ知っておいてもらいたいと思います。


冒頭の資料にあった通り、放射線はがんの遺伝子を切断するだけの治療法だという考えが一般的ですが、放射線で免疫を活性化させることでがんを攻撃するという免疫放射線治療というものをぜひ知っておいてください。


日本には保険適用される標準治療でしか治療をしないという医療機関も多くあります。
標準治療で寛解するがんもありますが、全てのがんにとって最適な治療法というものはありませんので、正しく最先端の医療知識を得ることは決して損にはならないと思います。


正しい知識をもとにして後悔のない治療を選んでいただきたいと考えておりますし、多くの人に標準治療では治らないがんに対する最新の治療法や症例をお伝えできればと思います。
今年も可能な限り情報発信を続けてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

 

—先生ありがとうございます。私も家族ががんになった時に何度も佐藤先生のセカンドオピニオンを受診させて頂いております。最新の治療法を知ることで後悔しない治療を選択できると実感しています。また次回もよろしくお願いいたします。

聞き手

赤澤宣幸

赤澤宣幸:富士ゼロックス(株)、(株)船井総合研究所で経営コンサルティングの経験を積み重ねた後、独立。経営戦略から業務改革・集客マーケティングまでトータルに支援。個人事業主から東証1部上場企業まで幅広くコンサルティングを行い、1,800社以上の支援実績を持つ。現在も全国に多くのクライアント企業をかかえ、非常に高い成果の出せる実践的な経営コンサルタントとして活躍中。明治大学「WEBマーケティング実践講座」講師。

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