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【最新がん治療】「がん難民にならないために」がん治療はひとつではありません

最新がん治療 がん難民

皆さんは「がん難民」という言葉をご存じでしょうか?

「医師から受けたがん治療の説明や、提示された治療方針に不満がある」

「受診した医療機関で、心から納得できるがん治療を選択できなかった」

このような思いをお持ちの患者さんのことを総称するものです。

このページをご覧になっている人の中にもお気持ちを同じにする方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は充実したがん治療を受けることができずにがん難民にならないための情報をご紹介します。

がん難民とは?

日本医療政策機構では、がんの治療説明もしくは治療方針決定時のいずれかにおいて、不満や不納得を感じたがん患者を「がん難民」と定義しています。同機構の2006年の調査報告では、日本のがん患者の半数以上に相当する推計約68万人が「がん難民」といわれていました。

それから10年以上を経て、2018年に新たに診断されたがんは98万856例、2019年にがんで死亡した人は37万6425人(国立がん研究センター調べ)に上っており、今後もがん難民の数はますます増え続けることが予想されます。

標準治療ががん難民を作り出す

「もっとほかの治療法はないの?」

「治療効果がなければ、転移を食い止められないの?」

もし受診した医療機関の医師から納得のいく治療方針を示してもらえなくても、決してそこであきらめないでください。

かつて、がんは不治の病といわれましたが、今の時代は治療の仕方次第でがんを根治できるのですから。

日本では、長らく「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」が「がんの標準治療の3本柱」とされてきました。その中でも、特に手術が優先される傾向があります。

そのため、がんになったら、手術をはじめとする標準治療しか受けることができないと思われている患者さんが少なくありません。

しかし、2人に1人ががんになり、4〜5人に1人ががんで亡くなられている時代に、標準治療だけに頼っていて本当にいいのでしょうか?

長年にわたりがん治療にかかわってきた当クリニックとしての率直な意見としては、標準治療だけでは多くのがん難民の方々を救うことができません。

がん難民の方々を救うには、抗がん剤治療の前に「遺伝子検査」を行ったり、標準治療の中でも「高精度放射線治療」を優先的に行ったり、第4のがん治療として注目されている「免疫療法」も併用するなど、患者さん個々に対応した医療をプラスした複合的ながん治療が必須です。

今の時代は、患者さんの年齢や症状に応じて、これらの治療を複合的に組み合わせていくことで、大きな治療効果を得ることができます。

がん難民を救う治療法① 遺伝子検査

がん遺伝子検査とは、血液中のがん遺伝子を解析することで、そのがんに有効な抗がん剤や治療を判定する検査です。転移したがんの遺伝子は原発巣の遺伝子から変異している可能性がありますが、がん遺伝子検査は網羅的に遺伝子解析することで、個々の患者さんに対して有効な治療を決めることができます。

がん難民を救う治療法② 高精度放射線治療

近年はテクノロジーの進歩により高精度の放射線治療機器「サイバーナイフ」や「トモセラピー」が登場しました。これらの放射線治療機器は、あらゆる方向から高い精度を持って病巣にのみ集中して放射線を照射しすることができ、周囲の臓器に放射線を当てることがないため、副作用の心配がなくより安全な放射線治療を実現しています。

がん難民を救う治療法③ 免疫療法

免疫療法は患者さんの身体にある免疫細胞を増やしてがん細胞を駆逐する治療です。 具体的には、患者さんから採血によって免疫細胞を取り出して、その後に培養・活性化して大量に増殖させ、点滴によって再び体内に戻すというものです。免疫力自体を強化することで、全身のがん細胞を減らす効果が期待できます。

このように最新のがん治療は日進月歩で進化しています。どの治療法を選ぶかは患者さん自身ですから、がんという厄介な強敵と闘うには、まずどんな戦法=治療法があるのかを心得ておくことが大切です。

がん難民にならないための第2の意見(セカンド・オピニオン)の選択

医療の進歩によってさまざまな治療法が開発されている現代では、医師によってがん治療に対する考え方が大きく異なります。

また、医師によってがんの知識量や技量、経験値にも差がありますし、医療機関によって、検査体制や治療設備も異なります。

厳密にいうと、ひとつの医療機関だけでがん検査から治療まですべて完結できないので、「どの医療機関を受診するか?」「どの医療機関で検査をするか?」「どの医師の治療方針を選択するか?」ということが、患者さんの余命を大きく左右します。

「標準治療をするしかないです」

「標準治療以外の治療なんて効果ないですよ」

もし主治医にそう言われても、治療方針に納得がいかなければ、あきらめずにほかの専門医師や医療施設の意見を聞くためにセカンド・オピニオン外来の受診をおすすめします。

それによって、まったく異なる治療方針が提示されて、その後の生存率やQOL(生活の質)が大きく変わってくることも少なくありません。がん難民にならないためにはセカンド・オピニオンを視野に入れておくことが必須です。

進行がんは治療の選択ひとつで命が左右される

どんなに健康な人であっても、紫外線、ストレス、ウイルス、食品添加物などによる障害を受けて、毎日3000以上もの「がん細胞」が発生しているといわれています。

もちろん、がん細胞がすべて「がん=悪性新生物」になるわけではありません。

通常は、体内に備わっている免疫機能ががん細胞を叩いて本格的にがん化するのを防いでくれています。

しかし、加齢による酸化やストレスなどで免疫機能が低下すると、がん細胞を叩ききれなくなります。免疫作用の網をすり抜けたがん細胞は、体内で密かに分裂を繰り返して大きくなり、やがてがん化した腫瘍を形成します。

それでも、腫瘍が小さな早期のうちに発見すれば、約9割は治すことができるのですが、がんは最初は目立つ兆候もなく静かに進行していくので、定期的に検診を受けていないと、早期に発見することが困難です。

体内で密かにがん化した細胞は、徐々に周囲の組織を破壊しながら正常な組織に染みこむにどんどん大きくなって広がっていきます。これを「浸潤(しんじゅん)」といいます。

最初にがんが発生した場所を「原発巣(げんぱつそう)」といいますが、そこから周囲に浸潤したがん細胞が、血管やリンパ節に入り込み、血液やリンパ節に流されて別の臓器や器官に移動して増殖することを「転移」といいます。

このように、最初にできた原発巣のがんが大きくなったり、リンパ節や他の臓器に転移したりしているがんを「進行がん」といいます。

がんには進行度合いによってステージが決められていますが、日本では国際対がん連合(UICC)のTNM分類とは違う独自のステージ分類も用いられています。厳密にはがんの種類により異なりますが、おおよその目安は図の通りです。

早期がん ステージ0〜2

転移のないステージ0〜2の早期がんであれば、進行する前にがんを根治することが可能です。

進行がん ステージ3〜4

しかし、症状のあるがんの場合は既にステージ3〜4の進行がんであることがほとんどです。進行がんの場合は時間経過とともにがん細胞がどんどん変性しながら増殖し続けるので、原発巣から離れた臓器や器官にも遠隔転移するリスクが高くなります。

末期がん

がんが遠隔転移して全身に多数広がってしまった状態を「末期がん」といいます。 もし、進行がんの患者さんが治療の選択を誤ると、がんの進行を食い止めることができず、末期がんに陥ってしまいます。

進行がんの患者さんが、どの治療法を選択するか?それによって、がんの進行を食い止めることができるか、末期がんになって命を落としてしまうかが決まるといっても過言ではありません。だからこそ、特に進行がんの患者さんやご家族の方々に、がん治療はひとつだけではなく、さまざまな治療の選択肢があることをよく知っておいていただきたいのです。

まとめ

がん治療は決してひとつでありません。

がんの最先端医療は日進月歩で進化しています。医療機関や治療法の選択に後悔する「がん難民」にならないためにも、最新のがんの治療に対する知識を得て、最新の医療を実践している医療機関を選ぶようにしましょう。

【監修】
佐藤俊彦 医師
医療法人 DIC
宇都宮セントラルクリニック 理事

出典:佐藤俊彦『ステージ4でもあきらめない 最新がん治療』(幻冬舎、2022/2/24)

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