第4のがん治療法・免疫細胞療法~BAK療法とは?

がん治療のセカンドオピニオンNIDCのサイトメニュー

58

第4のがん治療法・免疫細胞療法~BAK療法とは?

がんの治療法はこれまで手術療法、抗がん剤療法、放射線療法の三大治療法が適用されることが多かったのですが、近年がんの新しい治療法として注目されているのががんの免疫細胞療法であるBAK療法です。

がん治療の可能性を広げる、免疫細胞療法とBAK療法についてご紹介します。

免疫細胞療法 BAK療法

免疫療法とは

私たちの体にあるもともと備わっている免疫は、体外から入ってくる異物やウイルスなどと戦ってくれる抵抗力があり、体を守る役割をしています。

たとえばインフルエンザの予防接種は、この免疫の仕組みを利用して体に耐性をつけています。
また、免疫は体内の病原体に取りつかれてしまった細胞と戦ってくれています。

がんと免疫も大きく関係しています。
免疫力が高い人は、病気にかかりにくいと言われますが、免疫力が高い人は、がん細胞と戦う力も強いのです。

私たちの体は37兆億個の細胞があり、その中でも毎日3,000~5,000個ものがん細胞が生まれています。
しかし全員が、がんにかかるわけではありません。

これは免疫ががん細胞と日々戦ってくれているからです。
ただし、免疫力が低下してしまうと、がんの発症やがんの進行度にも大きく影響してしまうのです。

免疫療法とは、この免疫の能力を高めてがんの治療をしていく新しい治療法です。
手術療法、抗がん剤療法、放射線療法の三大治療法は、体外からの力を借りて治療をしていきますが、免疫療法は体内に備わる免疫を活用するので、副作用も少ないのがメリットです。

免疫細胞療法とは

がんの治療には、患者さんの免疫力を高めることが重要として、免疫に対する研究は1960年代後半から始まってはいたのですが、なかなか期待するような効果は出ませんでした。

そこで発想を変えた時に、患者さんの体内から免疫細胞を取り出して、体外で免疫細胞を活性化させて、再び患者さんの体内に戻してみようと言う療法が考案されました。
これが免疫細胞療法です。

がん治療 免疫細胞

免疫細胞は多種多様ですが、その分免疫細胞療法の種類も多く開発されています。
BAK療法、DCハイブリッド療法、LAK療法、CD3-LAK(αβT細胞)療法、TIL療法などがあります。

この中でもBAK療法について解説します。

BAK療法とは

BAK療法とは、BRM Activated Killer(生物製剤活性化キラー)療法の略です。
一般的に免疫細胞療法といえば、BAK療法のことを言います。

BAK療法は、私たちの体にもともと存在する免疫細胞を取り出し、体外で培養し増殖・活性化して、再び患者さんへ点滴等によって体内に戻す治療法です。

パワーアップされた免疫細胞は、がん細胞を認識する精度もアップし、正常細胞を攻撃せず、がん細胞を攻撃しないようになっています。
そのため、副作用もほとんどないのが特徴です。

BAK療法 免疫細胞

パワフルなガンマ・デルタT細胞とナチュラルキラー細胞

免疫細胞療法の中でも、リンパ球を用いたがん免疫細胞療法で、γδ(ガンマ・デルタ)T細胞、ナチュラルキラー細胞といった免疫細胞を用います。

BAK療法では、患者さんから採取したガンマ・デルタT細胞、ナチュラルキラー細胞といった免疫細胞を増殖・活性化させて体内に戻します。
これらは、がん細胞を攻撃することができる頼もしい存在です。

ガンマ・デルタT細胞とナチュラルキラー細胞を合わせて、ガンマ・デルタT細胞と総称することもあります。

BAK療法の具体的な方法

まず、患者さんから20mlの血液を採取します。
血液20mlに含まれるリンパ球の数はおよそ3,000個、ガンマ・デルタT細胞とナチュラルキラー細胞もリンパ球に含まれています。

がん細胞に対して攻撃をするリンパ球、リンパ球にがん細胞の特徴を伝達する樹状細胞を血液から取り出します。

このリンパ球3,000個を、2週間かけて体外で培養します。リンパ球は100億個まで培養され、その中の7割強がBAK細胞となります。
こうやって培養した細胞を、患者さんの体内に点滴や注射等で戻していきます。

BAK療法 免疫細胞 注射 点滴

このサイクルを月に1~2度実施して、12回を1クールとします。

BAK療法は、採血と点滴のみの治療になるので、外来の治療で可能になります。
入院する必要はありません。

BAK療法は、放射線療法など他の治療法と併用可能な治療法であり、幅広く適応されるようになってきました。

手術後の再発防止にも活用される免疫細胞療法

がん治療だけでなく、手術後の再発防止のためにもBAK療法が適用されることもあります。

手術によりがんの病巣を切除出来たとしても、目には見えないほどの小さながん細胞が生き残っていることがあります。
この残ってしまった目に見えない小さながん細胞が、成長してがんが再発する可能性もあるのです。

免疫細胞療法のBAK療法は、もともと体内に存在している免疫細胞を取り出し、体外で培養し増殖・活性化してから再び患者さんの体内へ戻し、がん細胞と戦います。
パワーアップした免疫細胞は、目には見えない小さながん細胞もしっかり攻撃します。
1cm未満のがん細胞も攻撃し、消滅させることが可能です。

まとめ

がん患者さんの体内から取り出した免疫細胞を体外で培養・強化して、患者さんの体内に戻すという免疫細胞療法のBAK療法についてご説明しました。

BAK療法は日々研究が進められて、多くの実績を増やし続けています。

免疫療法 BAK療法

BAK療法は、放射線療法とともに、体力がなく手術療法や抗がん剤療法を受けられない人や、手術が難しい高齢者のがん患者さんでも、安心して受けることができる治療法です。

BAK療法は自己免疫を利用するため副作用もほとんどなく体に優しい治療として、近年最も注目されている「第4のがん治療法」とも言われており、今後の研究にも大きく期待されています。

がん治療一覧へ