がん診断に使用する画像診断機器・CTとMRIの違いとは?

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がん診断に使用する画像診断機器・CTとMRIの違いとは?

がんの診断には色々な画像診断機器が使われています。今回はその中からCTとMRIを取り上げます。
どちらもがん診断にかかわらず有名な画像診断機器ですが、その仕組みや違いをしっかりと知っている人は意外と少ないものです。
両者の違いを見ていきましょう。

MRIとCTの違い

CT検査とは

CTというのは、英語のComputed Tomographyの頭文字をとった略称で、日本語では、コンピュータ断層撮影と言います。
本来のCTと言うのは広い範囲の機器を指す言葉ですが、日本でCTと言って指されるのは、ほぼ間違いなくX線を使ったCT装置です。
今回も、このX線を使ったCT装置についてお話します。

CT検査

CTは、体の周りを回転するようにしながらX線を照射します。そうして身体を透過したX線の量を検出器で測定します。
この測定値をコンピュータで計算することで、体を輪切りにしたかのような「断層写真」を撮影するのです。
検査には、造影剤を使わない単純CTと造影剤を用いる造影CTがあります。
造影剤は主に小さな病変や、周囲とX線の透過率がほぼ変わらない病変の検査をするときに使われる薬剤で、もっぱらヨード造影剤が用いられます。

X線と言えば、レントゲン撮影も同じX線を使いますね。
脳や肝臓、すい臓、腎臓、副腎と言った臓器は、レントゲンには写りません。一方CTではこれらの臓器も断層像としてとらえることができます。
それに加えて、胸壁、肺の血管、気管、膀胱、子宮、直腸などの病変や位置関係も、立体的にとらえることができるCTはがんの画像診断において大変活躍するのです。

MRI検査とは

次はMRIです。MRIは、Magnetic Resonance Imagingの頭文字をとった略語で、日本名は核磁気共鳴画像法となります。
核磁気共鳴という現象を使って、体内を撮影する画像診断方法です。
MRIはX線を使いません。強力な磁場を利用して、体の断面画像を得ます。

MRI検査

私たちの体内の脂肪や水分には、無数の水素が含まれています。この水素原子核の陽子には、強い磁場の元で先に述べた「核磁気共鳴」を起こす性質があります。
MRIは、体内の水分子の結合状態をコンピュータ解析することで、臓器やがんを画像化しているのです。水分量の多い組織、具体的には脳や血管などの撮影を得意としています。

がんの分野で言えば、脳腫瘍、卵巣がん、子宮体がん、前立腺がん、肝臓がん、すい臓がんなどの発見・診断時に威力を発揮する画像診断機器です。

CTとMRIの違い

医療に従事していると、CTとMRIの違いを訪ねられることは少なくありません。
確かに、大きなドーナツ状の機械は見た目がそっくりですし、得られる画像が断面写真というのも同じです。細かい違いが分かりにくいのも無理はないのかもしれません。
以下に、CTとMRIそれぞれの特長を表にまとめました。一目でCTとMRIの違いをわかってもらえると思います。

  CT MRI
英語名 Computed Tomography Magnetic Resonance Imaging
日本語名 コンピュータ断層撮影 核磁気共鳴画像法
原理 X線を当てて透過率を調べる 磁気によって核磁気共鳴を起こす
撮影の仕組み 身体を透過したX線を解析
三次元撮影した後、任意の横断面を抽出
体内の水分子の結合状態を解析
一つの断面を複数の撮影方法で撮影して比べる
身体へのダメージ 放射線被ばくあり 磁気による体へのダメージは未知
撮影時間 主に10分以下 15~30分程度
メリット きれいな三次元データが得られる
撮影時間が短い
骨と空気がはっきりわかる 
放射線被ばくがない
造影剤を使わなくても血管を撮影できる
デメリット 放射線被ばくがある 撮影時間が長い
音が大きい
体内の金属や酸素ボンベの持ち込みなど、金属に注意が必要

CTとMRIはどちらが優秀ということはありません。原理も全く異なりますし、あくまでも患者さんの状況によって使い分けられる画像診断機器です。

たとえば、CTとMRIはどちらも「脳」の撮影を得意としています。しかし、診察されているのが脳出血であればCTの方がよく写りますし、脳梗塞であればMRIの方に軍配が上がります。
このように、ある程度疾患の状態を予想して医師はCTとMRIどちらが適しているかを決めることになります。

とは言え、実際の所、まずCTで検査、問題が見つかればMRIでさらに詳しく見る……、という流れが日本では一般的です。
よほど大きな病院でなければそもそもMRIの機械を備えていない、ということもおおいにあるのです。

CTにするか、MRIにするか、患者さん自身が選ぶことはまずありません(もちろん希望するのは自由です)。
ですが、何も知らずに受ける検査は不安で仕方がないはずです。CTとMRIそれぞれの違いを知ることで、より安心して診察や治療に挑んでいただければ幸いです。

安心の治療

まとめ

いかがでしたか?
X線の透過率を調べて画像に変換するCTと、磁気を当てて体内の水分子の状況を解析するMRI。似ているようで全く仕組みが異なることを、わかってもらえたと思います。
CTやMRIにかかわらず、どんな小さな疑問もぜひ担当医にぶつけて見て下さい。治療も検査も納得して受けることが何よりも大切ですよ。

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