免疫細胞療法・放射線治療・温熱療法の違いとそれぞれのメリット

がん治療のセカンドオピニオンNIDCのサイトメニュー

256

免疫細胞療法・放射線治療・温熱療法の違いとそれぞれのメリット

がんにおいて「手術」「放射線治療」「抗がん剤」は、がんの三大治療と呼ばれています。

最近では、手術、放射線治療、抗がん剤以外の治療法も多く登場し、がん治療は選択肢が増えてきました。
そこで免疫細胞療法、放射線治療、そして温熱治療のメリット・デメリットをご紹介します。

免疫細胞療法 放射線治療 温熱療法

免疫細胞療法

DCハイブリッド療法

全身に作用するDCハイブリッド療法は、患者さんから取り出した免疫細胞を体外で増殖・活性化させて再び患者さんに戻すことで、免疫力を上げがんへの攻撃力アップを狙った治療方法です。
自然免疫応答と特異的獲得免疫応答という二つの免疫システムを使っています。

使われる免疫細胞はガンマ・デルタT細胞とNK細胞、ナイーブT細胞、樹状(DC)細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、NKT細胞の合計7種類です。

メリット

採血と点滴のみの治療なので、患者さんへの負担が軽いことがメリットです。

BAK療法

全身に作用するBAK療法は、主にDCハイブリッド療法と特徴は同じです。
使われる免疫細胞はガンマ・デルタT細胞とNK細胞の2種類になります。

免疫チェックポイント阻害薬

適用が限定的な免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫にブレーキをかけてしまう仕組みを阻害するための薬の総称です。
ブレーキをかける方法によって、薬にもいくつかの種類があります。

現在日本で承認が通っているのは、PD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤の2つになります。

具体的な適用例

  • PD-1:悪性黒色腫、非小細胞肺がん、胃がん、腎細胞がん、ホジキリンパ腫、頭頚部がん
  • CTLA-4:悪性黒色腫

免疫細胞療法に共通するメリット

免疫療法はがん細胞のみを攻撃することができるので、身体的リスクや、治療後の副作用のリスクがなく、安心して使うことができます。
また、進行がんや全身に転移したがんにも利用することができます。

免疫細胞療法 免疫チェックポイント阻害薬

免疫細胞療法に共通するデメリット

免疫細胞療法については、治療効果に関するデータが乏しい面がありました。
理論的には有効であっても、それを裏付け、証明するだけの治療実績が少ないとされていたのです。

しかし2018年10月、日本の京都大学特別教授・本庶佑氏が、この免疫療法の研究が評価され、ノーベル医学・生理学賞に輝いたことで、今後注目を集めることでしょう。

放射線治療

がん治療で、患者さんに痛みや体の負担が少ない治療法として、放射線治療があります。
以下、医療機器別にご紹介します。

サイバーナイフ

主に早期がんに適用されるサイバーナイフは、定位放射線治療装置です。
サイバーナイフに搭載されたロボットアームは、自由自在な角度からピンポイントにがんを狙って放射線を照射することができます。

放射線治療 サイバーナイフ

メリット

動体追尾システムが搭載されていて、肺や胃など患者さんの意思とは関係なく動き続ける臓器への照射も可能になりました。

デメリット

費用が高額になってしまうことがデメリットですが、高額医療費として払い戻し請求をすれば、自己負担の差額が払い戻しされます。

トモセラピー

主に進行がんに適用されるトモセラピーは、CTと一体になった装置が一般的です。
強度変調放射線治療と画像誘導放射線治療を併せ持つ特徴があります。
放射線を照射前後にCTを撮影することで、高い精度でがんを狙って放射線を照射することが可能になりました。

放射線治療 トモセラピー

トモセラピーの具体的な適用例

  • 脳腫瘍
  • 直腸がん
  • 皮膚腫瘍
  • 前立腺がん
  • 頭頚部がん(咽頭がんや喉頭がん)

メリット

放射線照射において、ヘリカル回転照射モードと固定多門照射モードの二種類を使い分けることによって、幅広いがん治療に対応することができます。

デメリット

トモセラピーはとても高価な医療機器であるため、導入している病院が限られているということがデメリットです。

ガンマナイフ

主に脳に適用されるガンマナイフは、サイバーナイフの全身とも言える定位放射線治療装置です。

頭部にヘルメット状の器具を固定してビーム状の放射線照射を行うガンマナイフは、だんだんとサイバーナイフやトモセラピーと置き換わっていくと考えられています。

デメリット

ガンマナイフの治療は、フレームで固定する定位放射線治療なので、患者さんが苦痛に感じてしまうことでした。

温熱療法

ハイパーサーミア

体に広く適用されるハイパーサーミアは、がんのある部分を2枚の電極板ではさみ、8メガヘルツの電磁波を電極間に流すことで、がん細胞を42~43度に加温してネクローシス(破壊)する治療法です。

メリット

がん細胞を破滅することができます。

デメリット

同時に温められた正常な細胞を冷やす体の働きによって、治療効果が損なわれることと、温熱による血流増加で、がんの転移や拡散が不安要素として残ります。
また、熱傷のリスクもゼロではありません。

オンコサーミア

体に広く適用されるオンコサーミアは、がんの細胞の内外に温度差を作ることで、がん細胞をアポトーシス(自死)に追い込む温熱療法の一種です。
最大出力は150ワットと出力が小さいため、熱傷のリスクはハイパーサーミアに比べて低下しています。

温熱療法 オンコサーミア 高齢者

メリット

がん細胞にブドウ糖が集まるという性質を利用するので、がん細胞だけに熱を送ることが可能となり、正常細胞への影響は最小限ですむので副作用が少ないことがメリットです。

まとめ

免疫細胞療法や温熱療法は、放射線療法とも相性が良いのが特徴です。

温熱療法を併用することによって、放射線治療、がん免疫療法の治療効果を高めることが出来、抗がん剤の使用量を減らして副作用の少ない治療を行うことも可能になります。

放射線療法などの医療機器は高額であるため、治療を受けたいと思った場合は、導入している医療機関にお問い合わせください。

がん治療一覧へ