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免疫細胞療法・放射線治療・温熱療法の違いとそれぞれのメリット
がんにおいて「手術」「放射線治療」「抗がん剤」は、がんの三大治療と呼ばれています。
最近では、手術、放射線治療、抗がん剤以外の治療法も多く登場し、がん治療は選択肢が増えてきました。
そこで免疫細胞療法、放射線治療、そして温熱治療のメリット・デメリットをご紹介します。
目次
免疫細胞療法
DCハイブリッド療法
全身に作用するDCハイブリッド療法は、患者さんから取り出した免疫細胞を体外で増殖・活性化させて再び患者さんに戻すことで、免疫力を上げがんへの攻撃力アップを狙った治療方法です。 自然免疫応答と特異的獲得免疫応答という二つの免疫システムを使っています。 使われる免疫細胞はガンマ・デルタT細胞とNK細胞、ナイーブT細胞、樹状(DC)細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、NKT細胞の合計7種類です。メリット
採血と点滴のみの治療なので、患者さんへの負担が軽いことがメリットです。BAK療法
全身に作用するBAK療法は、主にDCハイブリッド療法と特徴は同じです。 使われる免疫細胞はガンマ・デルタT細胞とNK細胞の2種類になります。免疫チェックポイント阻害薬
適用が限定的な免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫にブレーキをかけてしまう仕組みを阻害するための薬の総称です。 ブレーキをかける方法によって、薬にもいくつかの種類があります。 現在日本で承認が通っているのは、PD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤の2つになります。具体的な適用例
- PD-1:悪性黒色腫、非小細胞肺がん、胃がん、腎細胞がん、ホジキリンパ腫、頭頚部がん
- CTLA-4:悪性黒色腫
免疫細胞療法に共通するメリット
免疫療法はがん細胞のみを攻撃することができるので、身体的リスクや、治療後の副作用のリスクがなく、安心して使うことができます。 また、進行がんや全身に転移したがんにも利用することができます。免疫細胞療法に共通するデメリット
免疫細胞療法については、治療効果に関するデータが乏しい面がありました。 理論的には有効であっても、それを裏付け、証明するだけの治療実績が少ないとされていたのです。 しかし2018年10月、日本の京都大学特別教授・本庶佑氏が、この免疫療法の研究が評価され、ノーベル医学・生理学賞に輝いたことで、今後注目を集めることでしょう。放射線治療
がん治療で、患者さんに痛みや体の負担が少ない治療法として、放射線治療があります。 以下、医療機器別にご紹介します。サイバーナイフ
主に早期がんに適用されるサイバーナイフは、定位放射線治療装置です。 サイバーナイフに搭載されたロボットアームは、自由自在な角度からピンポイントにがんを狙って放射線を照射することができます。メリット
動体追尾システムが搭載されていて、肺や胃など患者さんの意思とは関係なく動き続ける臓器への照射も可能になりました。デメリット
費用が高額になってしまうことがデメリットですが、高額医療費として払い戻し請求をすれば、自己負担の差額が払い戻しされます。トモセラピー
主に進行がんに適用されるトモセラピーは、CTと一体になった装置が一般的です。 強度変調放射線治療と画像誘導放射線治療を併せ持つ特徴があります。 放射線を照射前後にCTを撮影することで、高い精度でがんを狙って放射線を照射することが可能になりました。トモセラピーの具体的な適用例
- 脳腫瘍
- 直腸がん
- 皮膚腫瘍
- 前立腺がん
- 頭頚部がん(咽頭がんや喉頭がん)