オプジーボなど胃がんに効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬

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オプジーボなど胃がんに効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬

2016年の日本人の胃がんの罹患数は約13万人(男性9万人、女性4万人)です。
日本は超高齢化社会と言われ、今後も高齢化が進むにつれて、「長寿がん」と呼ばれる高齢者のがん患者さんが増えるのは深刻な問題です。

そんななか、がんの治療薬は日々研究が進んでおり、最先端のがん治療「免疫チェックポイント阻害薬」という画期的な治療薬も出てきました。
そこで「免疫チェックポイント阻害薬」についてご紹介します。

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免疫チェックポイントとは

私たちの体の免疫は、外部からの細菌や異物に対して攻撃・排除する作用がありますが、代表的な免疫細胞であるT細胞には『免疫反応に自らブレーキをかける仕組み』があります。
そのブレーキ役こそ、「免疫チェックポイント」です。

しかし、がん細胞もこの免疫チェックポイントを作動させることができるのです。
がん細胞は免疫からの攻撃を免れるために、T細胞に向けて免疫チェックポイントのブレーキを始動する指令を出すことができるため厄介です。

そこで、がん細胞が、T細胞に向けて免疫チェックポイントを作動しないために、がん細胞が免疫の攻撃をどうやって逃れているのかという研究が進み、「免疫チェックポイント阻害薬」と言う新しい薬の開発が行われました。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫細胞にブレーキをかけないようにし、免疫細胞が十分に働けるように作用する薬です。
がん免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬から、新たな可能性が広がりました。

免疫チェックポイント阻害薬には以下の3つがあります。

  • 抗PD-1抗体
  • 抗CTLA-4抗体
  • 抗PD-L1抗体

今まさに免疫チェックポイント阻害薬の世界は、研究がどんどん進められている分野です。
このうち胃がんに有効なのは、抗PD-1抗体です。

抗PD-1抗体について

免疫チェックポイント阻害薬の代表格の「抗PD-1抗体」は、代表的な免疫細胞であるT細胞の表面にあるPD-1に働きかけます。
T細胞は、自分の表面にあるPD-1から、相手を攻撃すべきかどうかを見分けます。

がん細胞は、T細胞からの攻撃を避けるために、自分を攻撃するT細胞を見つけると、がん細胞の表面に「PD-L1」という物質を作り出します。
がん細胞が作り出したPD-L1はT細胞のPD-1と結合すると、T細胞にブレーキがかかり、がん細胞を攻撃しなくなります。

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さらに、T細胞ががん細胞を攻撃しなくなるだけでなく、T細胞自体がアポトーシス(自殺)状態になってしまう可能性もあるのです。
すると、T細胞ががん細胞を攻撃する力はどんどん弱くなってしまいます。

そこで、抗PD-1抗体を取り込むことで、T細胞のPD-1とがん細胞が作り出したPD-L1は結合できなくなり、T細胞は本来の力でがん細胞を攻撃できるようになります。

日本で使用される免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、多くの種類のがんへの効果が期待されており、国内外の製薬会社で新薬開発プログラムが進行しています。

現在、日本で進行がんに対して使用されている免疫チェックポイント阻害薬は4つです。
抗PD-1抗体はオプジーボ・キイトルーダの2種類、抗CTLA-4抗体はヤーボイ、抗PD-L1抗体がテセントリクの合計4種類となります。

抗PD-1抗体の免疫チェックポイント阻害薬

オプジーボ

免疫チェックポイント阻害薬である「オプジーボ」は、2014年に小野薬品工業から発売されました。
一般名は「ニボルマブ」、抗PD-1抗体と言われる種類の免疫チェックポイント阻害薬です。

がん細胞が出すPD-L1というタンパク質が、免疫細胞側の表面にあるカギ穴に差し込まれて結合すると、免疫細胞の働きにブレーキがかかり、がん細胞を攻撃しなくなります。
そのため、がん細胞は免疫細胞からの攻撃を免れるのです。

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抗PD-1抗体と言われる免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が発するPD-L1が免疫細胞に入り込まないように、先回りして免疫細胞の穴に入り込むため、がん細胞と免疫細胞が結合することを防ぎます。

オプジーボはこれまでに、以下のがんの治療で使用が承認されています。

  • 悪性黒色腫
  • 非小細胞肺がん
  • 腎細胞がん
  • ホジキンリンパ腫
  • 頭頸部がん
  • 胃がん

で使用が承認されており、悪性胸膜中皮腫と悪性黒色腫の術後補助療法の2つの適応拡大が申請中です。
現在は、食道がん、胃食道接合部がん・食道がん、肝細胞がんなどで臨床試験を実施中です。

以前は、オプジーボは非常に高価ながん治療薬でしたが、2017年2月に厚生労働省がオプジーボの価格を50%引き下げることを決定しています。

キイトルーダ

アメリカのメルク社から2017年に国内発売された「キイトルーダ」も、PD-1抗体と言われる種類の免疫チェックポイント阻害薬で、一般名称は「ペムブロリズマブ」です。

日本ではキイトルーダは、以下のがん治療で臨床試験が進行中です。

  • メラノーマ
  • 非小細胞肺がん(PD-L1陽性)
  • 膀胱がん
  • 乳がん
  • 胃がん
  • 頭頸部がん
  • 食道がん
  • 腎細胞がん

など

まとめ

胃がん 治療 最先端

がん最新治療法として研究が進んでいる免疫チェックポイント阻害薬、胃がん治療でも大きく貢献すると期待されています。
今後も免疫細胞療法とともに、免疫チェックポイント阻害薬を併用するなど、ますます胃がん治療の選択肢が広がっていくでしょう。

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