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大腸がんの精密検査について解説します

大腸がんの精密検査について解説します

大腸がんは早期発見・早期治療が非常に重要ながんの一つです。この記事では、大腸がん検診の必要性や対象者、検診の流れについて解説します。また、精密検査が必要な人や、具体的な検査方法、費用、結果の出るタイミングなどについても詳しく説明します。

大腸がんの精密検査を受ける予定のある方や、人間ドックなどでがん検診を検討中の方は、早期発見のためにぜひ最後までお読みください。

大腸がん検診について

大腸がん検診は、具体的にどのような検査をおこない、何歳くらいから受診すべきなのでしょうか。ここでは、大腸がん検診について詳しく解説します。

大腸がん検診の必要性

大腸がんは近年、罹患率と死亡率が急激に増加しているがんの一つです。日本人の部位別がん罹患数を見ると、2019年のデータでは、大腸がんの罹患数は、男女ともに全がん中2位となっており、年間約14万人が新たに診断されています。また、大腸がんによる死亡者数は年間約5万人と、がんの部位別死亡率で男性3位、女性1位と上位を占めています。

大腸がんは早期発見・早期治療が可能ながんであり、症状が出る前のステージ01で発見された場合、5年生存率は90%以上と非常に高くなります。一方、進行してからでは生存率が大きく低下するため、定期的な検診を受けて早期発見に努めることが重要です。自覚症状が出にくいのも大腸がんの特徴であり、検診の必要性を裏付けています。

大腸がん検診の対象者

大腸がん検診の対象者は、原則として40歳以上の男女全てです。大腸がんの発症リスクは加齢とともに高くなるため、40歳を過ぎたら年1回の検診が推奨されているのです

特に、大腸がんの家族歴がある人、大腸ポリープの既往がある人、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)の患者さんは、ハイリスク群として位置づけられ、より積極的な検診が必要とされます。初回の検診開始年齢を早めたり、検診の間隔を短くしたりするなど、主治医と相談の上で適切な検診計画を立てましょう。

また、食生活の欧米化に伴い、若年層の大腸がん患者も増加傾向にあります。40歳未満でも、血便や下痢、便秘などの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

大腸がん検診の流れ

大腸がん検診は、大きく分けて一次検診と二次検診(精密検査)の2段階でおこなわれます。

一次検診では、便潜血検査(便中の血液を調べる検査)をおこないます。自宅で2日分の便を採取し、指定された方法で提出します。便潜血検査は、大腸がんやポリープからの出血を発見するための簡便で非侵襲的な検査法です。多くの自治体で、40歳以上の住民を対象に年1回の頻度で実施されています。

一次検診で便潜血陽性となった場合、二次検診(精密検査)が必要となります。二次検診では、主に全大腸内視鏡検査がおこなわれます。大腸カメラを肛門から挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。必要に応じて、組織の一部を採取して病理検査に提出します。

全大腸内視鏡検査が困難な場合や、他の疾患が疑われる場合は、注腸X線検査やCT検査などが代替として選択されることもあります。

以上が大腸がん検診の基本的な流れですが、精密検査の詳細については以降のパートで解説します。

大腸がん精密検査が必要な人

大腸がん精密検査が必要な人

大腸がんの二次検診(精密検査)が必要とされるのは、主に以下の3つのケースです。

便潜血検査で陽性反応が出た場合

一次検診の便潜血検査で陽性となった場合、大腸がんやポリープの可能性があるため、精密検査を受ける必要があります。便潜血検査の偽陽性(実際には異常がないのに陽性となる)や、痔などの良性疾患による出血の可能性もありますが、それらと区別するためにも確定診断のために精密検査は欠かせません。

大腸がんを疑う症状がある場合

血便、下痢や便秘の繰り返し、腹痛、体重減少などの症状が続く場合は、大腸がんの可能性を考慮する必要があります。症状の原因を特定し、早期発見・早期治療につなげるためにも、精密検査を受ける必要があります

大腸がんの家族歴がある場合

大腸がんは家族内発生のリスクが高いがんの一つです。血縁者に大腸がんの方がいる場合、一般の人と比べて23倍のリスクがあるとされています。そのため、定期的な検診に加えて、適切な間隔で精密検査を受けることが重要といえます

以上の3つのケースに該当する方は、躊躇せずに精密検査を受けることをおすすめします。早期発見がポイントである大腸がんでは、精密検査が重要な役割を果たします。

大腸がん精密検査を受ける病院や診療科の選び方

腸がん精密検査を受ける病院や診療科の選び方

大腸がんの精密検査を受ける際は、適切な医療機関を選ぶことが大切です。以下の点を参考に、自分に合った病院や診療科を探してみましょう。 

消化器内科・消化器外科・肛門科がある

大腸がんの精密検査は、主に消化器内科や消化器外科、肛門科が対象の診療科となります。これらの診療科がある病院を選びましょう。

精密検査を実施している

大腸がんの精密検査として、全大腸内視鏡検査や注腸X線検査などを実施している病院や診療所を探します。自治体のがん検診担当窓口や、がん関連の情報サイトなどが手がかりになります。かかりつけ医に相談するのもよいでしょう。

専門性の高い医師や設備を備えている

全大腸内視鏡検査は、検査の質が医師の技量に大きく左右されます。大腸がんの診断と治療に精通した医師が在籍し、高度な内視鏡設備を備えている医療機関が望ましいでしょう。日本消化器内視鏡学会の専門医や指導医が在籍しているかを確認するのも一つの方法です。

アクセスや費用面を考慮する

定期的な通院が必要になる可能性もあるため、自宅や職場から通いやすい立地か、費用面で自己負担が少ない医療機関を選ぶことも重要です。各施設の受診方法や費用については、直接問い合わせるとよいでしょう。

大腸がんの精密検査は、専門的な知識と技術を要する検査です。安心して検査を受けられる医療機関を探すことが何より大切です。

大腸がん精密検査にかかる費用

大腸がん精密検査にかかる費用

大腸がんの精密検査の費用は、検査方法や医療機関によって異なります。ここでは、主な検査方法ごとの一般的な費用相場と、公的助成制度や健康保険の適用範囲について解説します。

検査方法ごとの一般的な費用相場

大腸がんの精密検査に必要となる費用の相場は以下のとおりです。

・全大腸内視鏡検査:2万円程度
・大腸CT検査:23万円程度
・注腸X線検査:12万円程度

これらは目安であり、医療機関や地域によって差があります。なお、便潜血検査などで異常が見つかった場合は健康保険が適用となり、自己負担額は6,0009,000円程度となります。また、入院を伴う場合や、ポリープ切除などの治療を同時におこなう場合は、追加の費用がかかります。

公的助成制度や健康保険の適用範囲

多くの自治体では、がん検診の一環として大腸がん検診を実施しています。精密検査が必要と判定された場合、自治体独自の助成制度が利用できることがあります。その場合、自己負担額は数千円程度に抑えられることが多いでしょう

また、大腸がんの疑いがある場合健康保険が適用されるため、自己負担は3割程度になります。ただし、先進医療に該当する検査や、自費診療の場合は全額自己負担となります。

大腸がんの精密検査は、自己負担が少なからず発生します。しかし、早期発見のために必要不可欠な検査であることを理解し、前向きに捉えることが大切です。

大腸がん精密検査の方法

大腸がん精密検査の方法

大腸がんの精密検査には、主に以下の3つの方法があります。それぞれの特徴と対象について解説します。

全大腸内視鏡検査

大腸カメラを肛門から挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。病変部位の組織を採取することも可能で、精度と信頼性の高いことが特徴です。
便潜血検査陽性者、大腸がんが強く疑われる症状がある人、大腸がんの家族歴がある人などが対象となります

大腸CT検査

炭酸ガスを注入して大腸を膨張させ、CT装置を用いて大腸を立体的に撮影し、病変の有無を調べる検査です。被ばくがあるものの、比較的短時間で終了全身の検索も同時におこなえる点が特徴です
全大腸内視鏡検査が困難な人(高齢者など)、大腸以外の臓器の精査も必要な人が対象となります

注腸X線検査

バリウムと空気を肛門から注入し、レントゲン撮影をおこなう検査です。全大腸を一度に観察できる点が特徴です
全大腸内視鏡検査が困難な人、狭窄や癒着が疑われる人などが対象となります。ただし、近年は大腸CT検査に置き換わりつつあります

これらの検査法は、それぞれ長所と短所があります。症状や年齢、基礎疾患の有無などを総合的に評価し、医師と相談の上で最適な検査法を選択します。

いずれの検査法も、事前の腸管洗浄(下剤の服用など)が必要です。また、検査中の苦痛や合併症のリスクも少なからずあります。検査の必要性とリスクについて理解した上で検査に臨むことが重要です。

大腸がん精密検査当日の流れと所要時間

大腸がん精密検査当日の流れと所要時間

ここでは、最も一般的な精密検査法である全大腸内視鏡検査を例に、検査の流れと所要時間を解説します。

検査前日の過ごし方

・検査前日の夕食は軽めにし、就寝前から絶食します。
・医師の指示に従って下剤を服用し、腸管内を空にします。
・飲水は検査の数時間前まで可能な場合が多いですが、医療機関の指示に従ってください。

検査当日の流れ

・検査着に着替え、血圧や体温などのバイタルチェックを受けます。
・医師から検査の説明を受け、同意書にサインをします。
・鎮静剤や鎮痛剤を静脈注射で投与されることがあります。
・肛門から大腸カメラを挿入します。
・大腸カメラを進めながら、大腸全体を観察します。必要に応じて生検や写真撮影をおこないます。
・病変が見つかった場合は、ポリープ切除などの治療を同時におこなうこともあります。
・検査終了後、自宅で安静に過ごします。当日の飲酒や運転は控えましょう。

所要時間

・全大腸内視鏡検査の所要時間は1520分程度ですが、前処置が3時間程度、検査後の安静時間が1時間程度です。
・ポリープ切除などの治療をおこなった場合は、さらに時間がかかります。

大腸がん精密検査における注意事項

全大腸内視鏡検査をおこなっている間、腹部の張りや軽い痛み、便意などの不快感が生じることがあります。鎮静剤や鎮痛剤を使用することで、これらの不快感を和らげることができます。また、検査中は医師や看護師が常に状態を確認しているので、痛みや違和感があれば遠慮なく伝えましょう。 

検査後は、腹部の張りや軽い出血が見られることがありますが、多くの場合は一時的なものです。ただし、激しい腹痛や出血、発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。

大腸がんの精密検査は、事前の準備や検査自体に多少の苦痛を伴うことは事実です。しかし、大腸がんの早期発見・早期治療のためには欠かせない検査であることを理解し、前向きに臨むことが大切です。不安や疑問があれば、医療スタッフに遠慮なく相談しましょう。

大腸がん精密検査の結果はいつ出る?

大腸がん精密検査の結果はいつ出る?

大腸がんの精密検査を受けた後、気になるのは検査結果です。検査結果が出るタイミングは受ける検査によって異なります。一般的な目安は以下のとおりです。

<全大腸内視鏡検査>
検査終了直後に、医師から口頭で概要の説明を受けます。生検をおこなった場合は、病理検査の結果が出るまで12週間程度かかります。

<大腸CT検査>
検査終了後、画像の解析に数日から1週間程度を要します。

<注腸X線検査>
検査終了後、医師が画像を読影し、数日から1週間程度で結果が出ます。

いずれの検査法でも、結果の詳細については、後日改めて医師から説明を受ける機会が設けられます。

検査結果の説明は、医師との重要なコミュニケーションの機会です。結果の内容だけでなく、今後の方針や注意点なども含めて、十分な説明を受けることが大切です。

理解できない点や不安な点があれば、遠慮なく質問しましょう。医師は専門用語を使わずに、分かりやすく説明してくれるはずです。必要であれば、家族や友人と一緒に説明を受けるのもよいでしょう。

まとめ

大腸がんは、早期発見・早期治療が可能ながんです。大腸がん検診で要精密検査となった場合や、大腸がんを疑う症状がある場合は、迷わず精密検査を受けることが重要です。

精密検査には全大腸内視鏡検査、大腸CT検査、注腸X線検査などがあり、それぞれ特徴と適応条件が異なります。医師と相談の上、自分に合った検査方法を選択しましょう。

場合によっては、検査の費用が高額になることもありますが、公的助成制度や健康保険の活用で自己負担を抑えられる可能性があります。また、検査前の準備や当日の流れについても、事前に十分確認しておくことが大切です。

検査結果は12週間程度で判明します。結果説明の際は、医師とのコミュニケーションを大切にし、不明点は遠慮なく質問しましょう。

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