新型コロナウイルス後遺症の解説
目次
ごあいさつ
新型コロナウイルス感染症は2019年末の発生以来、世界規模で猛威をふるってきました。
そして、新型コロナウイルスに感染した後、発熱などの症状から回復したにもかかわらず、倦怠感や味覚・嗅覚障害、呼吸困難など、様々な症状で長らく苦しまれている方が増えてきています。これらの症状は、「新型コロナウイルス後遺症」と考えられています。
そんな「新型コロナウイルス後遺症」にお悩みの方のために、症状が生じるメカニズムを推察し、症状緩和をめざし、「新型コロナウイルス後遺症」について解説いたします。
以下に示すような症状がある場合は、お気軽に宇都宮セントラルクリニックの佐藤までお問い合わせください。
新型コロナウイルス後遺症・症状について
新型コロナウイルス後遺症として認められる症状は様々ですが、「だるい・疲れやすい(倦怠感)、においが分からない(嗅覚障害)、味が分からない(味覚障害)、髪の毛が抜けやすい(脱毛)」などは、代表的な自覚症状です。これらの症状に対する統一的な対処方法は、現時点では存在していません。
厚生労働省による報告
457人の回復者を対象にしたアンケートによる追跡調査(急性期において、84.4%が軽症、12.7%が中等症、2.9%が重症)において、発症または診断から6カ月後では、73.7%が無症状、26.3%に何らかの症状を認めた。また、12カ月後では、91.2%が無症状であり、8.8%に何らかの症状を認めた。
12カ月後に残っていた症状およびその頻度は記憶障害(5.5 %)、集中力低下(4.8 %)、抑うつ状態(3.3 %)、疲労感(3.1 %)、息切れ(1.5 %)、嗅覚障害(1.1 %)、咳(1.1 %)、味覚障害(0.4 %)、脱毛(0.4 %)であった。
また全体の8.8 %の回復者で、12カ月後も少なくとも1つ以上の症状が残っており、特に女性、急性期に重症度が高かった患者で遷延しやすかった。
参考:新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引き 第7.0版(厚生労働省)
新型コロナウイルス後遺症の推察メカニズム
新型コロナウイルス後遺症は、全身の様々な部分で多彩な症状を示します。今日までの報告から推察されるメカニズムについて、以下に整理・説明しています。
新型コロナウイルスの侵入~体内で生じる変化
●新型コロナウイルス感染症の病態生理(メカニズム)
参考:Gupta A et al., Nature Medicine, 2020.
【メカニズム】
①ウイルスによる直接的な細胞障害
(SARS-CoV-2は、細胞表面に存在するACE2受容体に生着する)
②RAASの調節障害による組織損傷、炎症、血管収縮、血管透過性の亢進
③内皮細胞の傷害と血栓誘発する炎症の発生
④免疫平衡の乱れ
→微生物叢の乱れを引き起こし、普段抑制されているウイルスの活性化をもたらす(ヘルペスウイルスなど)
一般的な感染症との相違点として、新型コロナウイルスは体内へ侵入しやすいといった特徴があります。新型コロナウイルスはACE2受容体を介して体内へ取り込まれますが、このACE2受容体は全身に広く存在しています。いわば、新型コロナウイルスにとっては、体内へ入るための扉が全身に存在するような状況ということになります。
●新型コロナウイルス感染症・後遺症による全身症状
参考:Crook H et al., BMJ, 2021.
侵入後に、呼吸にかかわる部位(喉や肺など)を中心に、新型コロナウイルスは炎症を起こします。
本来、炎症は、身体を外敵から守るために節度を保って活躍するのですが、新型コロナウイルスは、この免疫の節度を、しばしば失わせてしまいます。
その結果、身体に余分な炎症をもたらし、血管内に血栓(心筋梗塞、脳梗塞等の原因となる)が生成されてしまう場合があります。
これが上述した①〜③の段階です。
そして④の通り、余分な炎症が慢性的に続くと、免疫のバランスを取る機能が衰えてきます。
その結果、元々身体に存在するものの悪さをしないウイルス・細菌(ヘルペスウイルス等)が活動を開始し、症状の原因のひとつとなって表れてくる可能性も考えられています。
新型コロナウイルス後遺症におけるアプローチ戦略
【アプローチ戦略】
①ウイルスによる直接的な細胞障害
(SARS-CoV-2は、細胞表面に存在するACE2受容体に生着する)
②RAASの調節障害による組織損傷、炎症、血管収縮、血管透過性の亢進
③内皮細胞の傷害と血栓誘発する炎症の発生
④免疫平衡の乱れ
これら①~④に対して、「余分な炎症を抑え、壊れた組織の再生を促すこと」を主方針として、宇都宮セントラルクリニックの私の外来では、患者さんの各種状況に合わせた様々なアプローチを提供しています。
新型コロナウイルス後遺症におけるアプローチ例
私が新型コロナウイルス後遺症に対して有効だと考えているアプローチについてご紹介します。ここにご紹介している以外にも、高濃度ビタミンC点滴・水素サプリメント・CBDオイルによる対策も有効です。
MSC-CM(※間葉系幹細胞培養上清液)点滴・点鼻
MSC- CM(間葉系幹細胞培養上清液)は、含有サイトカインによる免疫調整作用があるため、新型コロナウイルス後遺症による慢性炎症状態を緩和する効果が期待できます。 また、含有成長因子により代謝が高まり、新しい血管の形成等が促進されることから、新型コロナウイルス後遺症の推察メカニズムの1つである「余分な炎症」により損傷を受けた身体の組織修復を早める効果が期待されます。
※MSC-CM(間葉系幹細胞培養上清液)とは?間葉系幹細胞(MSC)を培養した際に分離される培養液(MSC-CM)のこと。MSC-CMの中には、各種成長因子、サイトカイン、エクソソームが含まれる。これらが互いに協調しあうことで、身体の組織修復等にとって効果が期待されている。
新型コロナウイルス後遺症・MSC-CM(間葉系幹細胞培養上清液)によるアプローチ例
宇都宮セントラルクリニックの私の外来では、点滴/点鼻の2つの方法で、効果的なMSC-CM投与を行っています。
参考:Chouw A et al., Regen. Eng. Transl. Med., 2020.
参考:Gurunathan S et al., Front. immunol., 2021.
宇都宮セントラルクリニックの私の外来では、MSC-CMによるアプローチの他にも、各種点滴・サプリメントの中から、新型コロナウイルス後遺症の症状緩和にとって効果が期待されるアプローチを提案いたします。
新型コロナウイルス後遺症でお困りの方は、お気軽に宇都宮セントラルクリニックの佐藤までお問い合わせください。