食道がんの症状とは?生存率・ステージなど解説

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食道がんの症状とは?生存率・ステージなど解説

食道がんの症状とは?生存率・ステージなど解説

食道がんは治療技術の進歩により生存率は向上してきましたが、進行するまで無症状であるため早期発見が難しく、早い段階で治療が始められないケースの多いがんの一つです。

食道がんを疑われている方の中には「食道がんの症状を知りたい」「食道がんの治る確率はどの程度なのか」といったさまざまな疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

今回は食道がんについて、よくみられる症状・発症の原因・ステージ別の5年生存率などについてわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までチェックしてください。

食道がんとは

食道がんとは

食道がんはどのような特徴があるのか、基本情報や種類を詳しく解説します。

食道がんの基本情報

2019年に食道がんと診断された人は26,382人と報告され、年々増加傾向にあります。食道がんの死亡者数については、2020年に10,981人と厚生労働省より発表があり、すべてのがん死亡者の約2.9%にあたります。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

性別で比較すると、食道がんは男性の方が罹患者数も死亡者数も多く、女性の4倍以上の人数です。罹患者数について、女性の場合は50歳代から少しずつ増加し、60歳代後半からほぼ横ばいになります。男性の場合は50歳代から人数が急増し、ピークは70歳代後半です。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)

食道がんの種類

組織学的にみると食道がんは、食道の粘膜から発生する扁平上皮がんと、食道の下部に発生する腺がんに分けられます。日本人では、約9割が扁平上皮がんです。腺がんは欧米人に多いタイプとされてきましたが、生活習慣の変化にともない、日本でも罹患者数が少しずつ増えてきています。

食道がんは発生部位により、頸部食道がん・胸部食道がん・腹部食道がんの3つに区分されます。発生部位で最も多いのは胸部食道がんで約87%、腹部食道がんが約6%、頸部食道がんが約5%です。

食道がんの特徴

食道がんには、ほかのがんと異なる特徴が3つあります。

1つ目は、食道の周りにはリンパ管や血管が多いため、ほかの消化管のがんと比べて転移しやすいことです。

2つ目は、食道には胃や大腸のように一番外側の漿膜(しょうまく:内蔵器官の表面をおおう薄い膜)がなく、周辺臓器と非常に近いため、がんが大きくなると簡単に浸潤してしまうことが挙げられます。

3つ目は、食道がんの約2割が重複がんであることです。重複がんとは、食道以外の臓器にもがんが発生している状態で、同時期に起こることもあれば、異なる時期に起こることもあります。食道がんの重複がんには、胃がん・咽頭がん・喉頭がん・肺がんなど、いくつかあります。

食道がんの症状

食道がんの症状

食道がんは進行の程度により、自覚する症状が異なります。がんの広がり具合によって、どのような症状がみられるのか確認していきましょう。

初期症状

食道がんの早期では、自覚症状はほとんどみられません。検診や人間ドックを受診して、偶然発見されることが2割ほどあります。自覚症状が現れるのは、がんがある程度大きくなったころです。

胸の違和感

食道がんでは、比較的早いうちから胸の違和感が生じることがあるため、症状がある場合は早めの内視鏡検査をおすすめします。

具体的な症状は以下の通りです。

  • 胸やけがする
  • 何かを飲んだり食べたりしたときに、喉の奥がチクチクする
  • 熱いものや辛いものを飲みこんだときにしみる感じがする

胸の違和感は一過性で消えてしまうこともあるため、油断しないようにしましょう。

喉のつかえ

食道がんが増殖して大きくなると食道が狭くなるため、飲み物が通りにくくなったり、食べ物がつかえたりします。

喉がつかえる症状は、食道の内側が小指程度の細さになってから自覚することが多いです。がんがより一層大きくなると食道をふさいでしまい、水分も通らなくなってしまいます。それによって食べたり飲み込んだりしたものを嘔吐してしまい、体重減少にもつながります。

胸や背中の痛み

食道は、胸部にある臓器のなかでは背中側にあります。がんが進んで食道の外膜を超え、近くにある肺・背骨・大動脈まで広がると、胸や背中に痛みを生じるようになります。

咳や声のかすれ

食道がんが進んで気管や肺まで達すると、刺激によって咳や痰の症状が現れます。また、食道がんが声帯の近くにあるリンパ節に転移して、声帯をコントロールする神経にがんがおよぶと、声がかすれる症状も現れるようになります。

食道がんの原因

食道がんの原因

食道がんでは、がんの種類によって原因が異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。

扁平上皮がん

扁平上皮がんの原因には、主に飲酒や喫煙が挙げられます。

飲酒

飲酒については、1日あたりのアルコール量が20gを超えると食道がんを発症するリスクが上昇し、1日につき20~40gのアルコール摂取で発症リスクが約2.6倍になります。

飲酒の習慣がある人のなかでも、お酒で顔が赤くなりやすい人は高リスクです。体内でアルコールが分解されると、発がん性物質のアセトアルデヒドが発生しますが、お酒で顔が赤くなる人はアセトアルデヒドを分解する力が弱いため、食道がんを発症しやすいといわれています。

喫煙

タバコの煙には、発がん性のある物質が数十種類含まれていることが判明しており、リスクが高いです。喫煙によって、煙が食道を通過するたびに細胞や組織が傷つくため、がんを発症すると考えられています。非喫煙者と比べると、喫煙者のリスクは約3.7倍で、喫煙本数や年数に比例してリスクが上昇します。

喫煙と飲酒の両方があると、食道がんにかかるリスクがさらに高くなるため注意が必要です。

腺がん

腺がんの主な原因は、逆流性食道炎です。

逆流性食道炎が続くと、食道下部の粘膜が変化するバレット食道を発症します。バレット食道そのものは生命をおびやかす存在ではありませんが、バレット食道の長さが3cm以上になると、食道がんを発生するリスクが高いです。

逆流性食道炎を予防するには、肥満・欧米型の食事・喫煙を避けることが挙げられます。

食道がんのステージ

食道がんのステージ

ステージは病期とも呼ばれ、食道がんの進行度合いを表しています。食道がんではステージ0からステージ4bに分類されています。

ステージを決めるTNM分類

食道がんのステージを決定するのにTNM分類が用いられ、それぞれの項目は以下の通りです。

  • T因子:がんの深さ・進展の程度
  • N因子:食道周辺のリンパ節転移の状態
  • M因子:ほかの臓器への転移
T因子 T1a がんが粘膜内におさまっている
T1b がんが粘膜下層におさまっている
T2 がんが固有筋層におさまっている
T3r がんが食道の外膜まで達しているが、隣り合う臓器に広がりはなく、切除可能
T3br がんが食道の外膜まで広がり、隣り合う臓器まで達している可能性があり、切除できるか境界線上にある
T4 がんが食道外膜を超えて隣り合う臓器に達していている
N因子 N0 リンパ節転移はみられない
N1 食道周辺のリンパ節に1~2個の転移がある
N2 食道周辺のリンパ節に3~6個の転移がある
N3 食道周辺のリンパ節に7個以上の転移がある
M因子 M0 ほかの臓器への転移は認められない
M1a 食道から遠いリンパ節に転移が認められるが、切除によって根治できる見込みがある
M1b M1aの範囲を超えた遠くのリンパ節やほかの臓器へ転移が認められる

食道がんのステージ分類

上記で解説したTNM分類にもとづいて、ステージは下表の通りに判定されます。

N0N1N2・N3・M1aM1b
T1a023a4b
T1b123a4b
T223a3a4b
T3r23a3a4b
T3br3b3b3b4b
T44a4a4a4b

食道がんの5年生存率

食道がんの5年生存率

食道がん全体の5年生存率は47.8%で、消化管におけるがんのなかでは低い値になります。ステージ別の5年生存率は下表の通りです。

ステージ178.4%
ステージ248.9%
ステージ327.4%
ステージ48.4%

早い段階で治療開始できるほど5年生存率は高いものの、進行がんになると予後は厳しくなります。先に解説した自覚症状やリスク因子がある場合は、早めの診察・定期的な検診を受けるようにしましょう。

食道がんの治療方法

食道がんの治療方法

食道がんの治療方法には次の5種類があります。

  • 内視鏡的切除
  • 手術
  • 放射線治療
  • 化学療法
  • 免疫療法

どの治療方法を選択するかは、患者さんのステージ・既往歴や全身状態・治療への希望などを総合的に判断して決定します。

内視鏡的切除

内視鏡的切除は、食道の内側からがんを取り除く方法です。

がんをワイヤーで引っかけて取り除くEMR(内視鏡的粘膜切除術)と、電気ナイフでがんを切り取るESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。

適応となるのはステージ0で、がんが食道の全周に達していないケース、または全周に達していても長さが5cm以下のケースです。

手術

手術は、がん病巣と周囲のリンパ節や組織を一緒に取り除き根治を目指す方法です。食道がんが発生した場所によって手術の方法が異なります。食道がんを取り除いた後は、胃や腸を使って飲食物の新しい通り道を作る食道再建手術もおこないます。

手術が第一選択となるのはステージ1~3で、手術に耐えられる全身状態にあるケースです。

頸部食道がん

がんが小さく、咽頭・喉頭・気管に浸潤を認めない場合は、頸部食道のみ取り除きます。食道再建には腸の一部を利用するのが一般的です。

進行度によっては喉頭も取り除く必要があり、その際は呼吸をするための孔を作ります。喉頭を取り除くと声帯を失ってしまいますが、リハビリで発声の訓練をしたり、機械を使ったりして会話ができるようになります。

喉頭を温存する手段もありますが、病状にもよるため、主治医と十分相談することが大切です。喉頭を温存するには、化学放射線療法を先におこない、がんを小さくすることで、手術で取り除く範囲を縮小する方法があります。

胸部食道がん

胸部食道がんでは、胸部から腹部までの広範囲の食道と周辺のリンパ節を取り除きます。

通常の食道再建は、胃を持ち上げて、残った頸部食道とつなぐ方法です。胃にもがんがあって利用できないケースでは、大腸や小腸を利用して食道を再建することがあります。

腹部食道がん

腹部食道がんは、胃とつながる部分に近いため「食道胃接合部がん」とも呼ばれています。

手術では、食道の上部を残して食道下部・胃の上半分・周囲のリンパ節を取り除きます。食道再建の方法は、胸部食道がんと同じです。がんの広がり具合によっては、胃を全摘することもあります。

放射線治療

放射線治療には、食道がんを消失させる目的の根治照射と、がんで起こるさまざまな症状を和らげる目的の緩和照射があります。

根治照射は、手術で切除できる範囲を超えているが遠隔転移はないケース、手術の適応ではあるが体力がないケースでおこなわれます。根治照射では治療率向上のために、化学療法を併用した化学放射線療法がおこなわれるのが一般的です。

緩和照射には、がんの進行や転移で苦痛をともなう症状を和らげる効果があります。具体的には以下のような症状です。

  • 食道の狭窄
  • がんによる出血
  • 骨に転移したときの痛み
  • 肺や気管へ浸潤したときの呼吸困難

化学療法

食道がんの化学療法で用いられるのは細胞障害性抗がん剤で、がん細胞が増殖するメカニズムに働きかけて、がん細胞を減らす薬です。食道がんで使用する抗がん剤には、白金製剤・代謝拮抗剤・微小管阻害薬があり、多くの場合2~3種類の抗がん剤を組み合わせて使用します。

化学療法は治療効果を高めるために、ステージやがんの性状によっては、手術や放射線治療と組み合わせておこなわれることがあります。

免疫療法

食道がんの免疫療法で保険適用されているものに、免疫チェックポイント阻害薬があります。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞から攻撃されるのを回避するシステムに働きかけて、免疫機能を回復させるものです。

免疫療法は、手術で完全に病巣を取り除くことができない進行・再発の食道がんに対して適応されます。免疫チェックポイント阻害薬は、2種類併用したり、細胞障害性抗がん剤と組み合わせて使用したりします。

まとめ

食道がんは、胸の違和感や喉のつかえなど特徴的な症状はみられるものの、早いステージのうちはほぼ無症状で進む

食道がんは、胸の違和感や喉のつかえなど特徴的な症状はみられるものの、早いステージのうちはほぼ無症状で進むため、気が付いたときには進行がんになっているケースが多くみられます。5年生存率は消化管のがんのなかで最も低く、食道がんは早期に治療開始するのが難しいがんの一つです。

正確な診断と納得できる治療を受けるためには、患者さんも正しい知識と適切な情報を得ることが必要となります。今回の記事を参考にして、主治医と十分相談するようにしましょう。

疑問が解決しなかったり判断がつかなかったりした場合は、主治医以外の医師から意見を聞けるセカンドオピニオン制度を活用してください。病状や治療への理解が深まったり、治療方法の選択肢が広がったりするメリットがあります。

食道がんへの疑問や不安があるときに、今回の記事を役立てていただければ幸いです。

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