健康診断で「見つけやすいがん」と「見つけにくいがんとは」

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健康診断で「見つけやすいがん」と「見つけにくいがんとは」

健康診断で「見つけやすいがん」と「見つけにくいがんとは」

がんを早期発見するためには、健康診断やがん検診の受診が欠かせません。自治体でおこなわれるがん検診は胃がん・子宮頸がん・肺がん・乳がん・大腸がんの5種類のみであるため、これ以外のがんを調べるためには、人間ドックなどの健康診断でカバーする必要があります。

しかし、健康診断でがん検査を受ける場合も、検査方法によっては「見つけやすいがん」と「見つけにくいがん」があることをご存知でしょうか。今回は、健康診断でがんを早期発見するために、効果的な受診の仕方について詳しく解説します。

健康診断で見つけやすいがんとは

健康診断で見つけやすいがんとは

企業健診や人間ドックなどの健康診断では、さまざまな検査がおこなわれます。健康診断で見つけやすいがんの種類や、がんの早期発見に役立つ検査方法について解説します。

健康診断で見つけやすいがんの種類

健康診断において、がんを早期発見する目的で主におこなわれているのは、PET-CT検査です。PET-CT検査で見つけやすいがんの種類は、以下のものが挙げられます。

頭頚部がん・甲状腺がん・肺がん・食道がん・大腸がん・膵臓がん・子宮体がん・卵巣がん・悪性リンパ腫など

健康診断で発見されるがんの特徴

健康診断でおこなわれるPET-CT検査で発見しやすいがんの特徴は以下の3つです。

  • がん細胞内にブドウ糖を多く取り込む
  • 薄く広がらず、塊を作る
  • がんの大きさが1cm以上

活発で悪性度の高いがん細胞は、エネルギー源にブドウ糖を取り込む性質があり、PET-CT検査ではこの性質を利用しています。ブドウ糖をより多く取り込み、塊を作るタイプのがんであるほど、PET-CT検査画像に映りやすくなるのです。

がんの早期発見に有効な検査方法

がんの早期発見に有効な検査は、PET-CT検査です。 PET-CT検査は、病変部の活動度を調べるPET検査と、病変部の形や位置を調べるCT検査を同時におこなえます。ほかの検査と異なり、1度で全身のがんについて検査が可能です。

PET-CT検査は、がんの大きさが1cm以上あれば画像に捉えられるため、進行がんになる前に発見できます。 PET-CT検査と一緒に、MRI検査や超音波検査、内視鏡検査を組み合わせると検査の精度が高くなります。

健康診断で見つけにくいがんとは

健康診断で見つけにくいがんとは

健康診断で見つけにくいがんの種類や理由について確認しましょう。健康診断で見落としが少なくなるような対策についても解説します。

健康診断で見つけにくいがんの種類

がんの早期発見を目的としておこなうPET-CT検査は、以下のがんの発見を苦手としています。

膀胱がん・腎臓がん・肝細胞がん・胃がん・前立腺がん・子宮頸がんなど

ほかにも、大きさが数mm程度の小さながんや悪性度の低いがんは、PET-CT検査で捉えにくいです。

発見が難しい理由

健康診断でおこなわれるPET-CT検査で見つけにくいがんには、次のような特徴があります。

  • ブドウ糖を取り込みにくいタイプのがん
  • 検査薬の排泄経路にある臓器
  • 正常でもブドウ糖が集まりやすい臓器

PET-CT検査に用いる検査薬は、ブドウ糖に放射性物質を組み込んだ薬剤を使用しているため、ブドウ糖の取り込みが少ないタイプのがん組織では、正しい検査結果が得られない可能性があります。

また、PET-CT検査の検査薬は尿中に排泄されるため、尿の通り道となる腎臓や膀胱は、検査薬が集まりやすく、がん組織があっても判別しにくいことがあるのです。肝臓や脳のように、健康な状態でもブドウ糖を多く消費する臓器では、検査薬が蓄積しやすく、がんの検出が困難になります。

健康診断で見つかりにくいがんの対策

健康診断でPET-CT検査をおこなう場合、臓器やがんのタイプによっては検出が難しいこともあります。見落としを防ぐためには、ほかの検査を組み合わせると、より正確な診断ができます。PET-CT検査で見つけにくいがんについて、組み合わせると有効な検査は以下のとおりです。

  • 膀胱がん:超音波検査・尿細胞診
  • 腎臓がん:超音波検査
  • 肝細胞がん:超音波検査・MRI検査
  • 胃がん:内視鏡検査
  • 前立腺がん:PSA検査
  • 子宮頸がん:子宮細胞診検査

健康診断とがん検診の違いとは

健康診断とがん検診の違いとは

がんを早期発見する方法には、健康診断のほかにがん検診もあります。目的や対象となる人など、どのような違いがあるのかみていきましょう。

目的の違い

健康診断とがん検診は、がんの検査の目的に違いがあります。健康診断でおこなうがんの検査は「任意型検診」と呼ばれ、個人のがんによる死亡率を下げることが目的です。

通常の健康診断に追加するオプション検査や人間ドックが当てはまります。受診できる検査方法は、医療機関によって異なり、個々の希望に合わせて選ぶことができます。

一方、がん検診は「対策型検診」と呼ばれ、地域や職場など対象となる集団の、がんによる死亡率を下げることが目的です。市町村や健康保険組合でおこなわれるがん検診が該当します。健康診断と異なり、がん死亡率が低下することが認められた検査方法が採用されています。

対象者の違い

健康診断とがん検診では、検査を受診できる対象者も異なります。健康診断のオプション検査や人間ドックでがんの検査をおこなう場合、個人の希望が優先されるため、受診できる年齢に制限はありません。

若年層の人でも、生活習慣によるがんリスクが高いと考えられるときは受診可能です。市町村でおこなわれるがん検診は、公的な予防対策であり、不利益をもっとも少なくするため、検査を受診できる年齢ががんの種類ごとに定められています。

検査できるがんの種類の違い

検査できるがんの種類も、健康診断とがん検診で差があります。市町村でおこなわれるがん検診(対策型検診)は、科学的根拠に基づいて、がん死亡率が低下すると認められた検査がおこなわれています。2024年6月時点において、対策型検診で検査できるがんの種類は、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの5つです。

オプション検査や人間ドックなどの健康診断(任意型検診)では、対策型検診でおこなわれている5つのがん以外に、頭頚部がん・甲状腺がん・食道がん・膵臓がん・子宮体がん・卵巣がん・悪性リンパ腫など、さまざまながん種の検査ができます。

健康診断でオプション検査を選ぶ3つのポイント

健康診断でオプション検査を選ぶ3つのポイント

健康診断のオプション検査や人間ドックのコースを選ぶとき、がんの早期発見につなげるためにどのような点に着目すればよいか、3つのポイントで解説します。

年齢や性別を考慮する

対策型のがん検診では、検査を受診できる年齢やがんの種類が決められています。女性の乳がんの対策型検診は40歳以上が対象となっていますが、30代の若年層でも乳がんを発症することがしばしばあるのです。女性は30歳を超えたら、乳がんのオプション検査を追加することをおすすめします。

また、男性は50歳以上になったら、対策型検診には含まれていない前立腺がんのオプション検査を追加するとよいでしょう。

家族歴からリスクを考慮する

両親や兄弟などの血縁者が発症したことのあるがんについて、オプション検査の追加をおすすめします。家族内にがんを発症した人が複数いる場合、生活環境や遺伝が要因となることがあるためです。たとえば、血縁者に大腸がんを発症した人がいる場合は、便潜血検査に加えて、大腸内視鏡検査をオプションとして追加するとよいでしょう。

生活習慣を考慮する

飲酒や喫煙などの生活習慣に応じて、気になる臓器のオプション検査を追加しましょう。アルコールは、頭頸部がん・食道がん・肝臓がんなどの発症リスクを上昇させるため、PET-CT検査や超音波検査などを追加することをおすすめします。また、喫煙は肺がんリスクを上昇させるため、胸部X線検査よりも精度の高い画像が得られる胸部CT検査を選択すると良いでしょう。

健康診断でがんを早期発見するメリット・デメリット

健康診断でがんを早期発見するメリット・デメリット

健康診断でがんを早期発見するとメリットがありますが、健診によるデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を正しく理解して、検査を受けるようにしましょう。

メリット①救命できる確率が上がる

健康診断でがんを早期発見できると、がんによる死亡率を下げることができます。自覚症状があらわれてから医療機関を受診すると、がんのステージが進行しているケースが多いです。

たとえば、胃がんをステージ1で発見・治療できると、5年生存率は92.8%あるものの、進行がんになるとステージ2では67.2%、ステージ3では41.3%と大きく下がり、遠隔転移のあるステージ4では5年生存率が6.3%まで下がります。信頼性のある検査を受けて、がんが大きくなる前に発見することが大切です。

出典:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 胃がん5年生存率」

メリット②治療や費用の負担が少ない

がんを早期発見できると、体への負担が少ない治療で済むことが多いです。また、早期がんは治せる確率が高いため、治療にかかる費用の負担も軽くなります。

一方、進行がんになってから治療を開始すると、改善までに時間がかかったり、体への負担が大きくなったりします。進行度によっては、根治を目指した治療がおこなえないこともあるのです。

デメリット①過剰診断の可能性がある

健康診断で早期発見できたがんのなかには、その後進行がんにならなかったり、増殖が非常に緩やかだったりして、治療をしなくても生存率に影響のないものがあります。このようながんを発見することを「過剰診断」と呼びます。

現在の医療技術では、発見されたがんが生命にかかわるかどうかを判別できません。そのため、すべてのがんに対して治療がおこなわれ、本来であれば不要な治療がおこなわれている可能性があるのです。

デメリット②健診による偶発症を招くこともある

検査をおこなうことで、まれですが体にダメージを受けることがあります。たとえば内視鏡検査では、消化管に穴を開けたり、傷をつけて出血したりすることがあります。

また、胃部X線検査では、造影剤のバリウムによる便秘や腸閉塞の副作用がおこることもあるのです。検査ごとに、どのようなリスクがあるのか十分理解した上で受診しましょう。

健康診断でがんを発見するために注意すること

健康診断でがんを発見するために注意すること

がんを早期発見するためには、健康診断を正しく受診することが大切です。健康診断を受診するにあたって、注意することを3つ解説します。

健康診断を定期的に受ける

健康診断は、1年に1回受診するようにしましょう。毎年同じ時期に受診した方が、体調の変化がわかりやすくなります。

がんは、早期発見できる大きさの1cmになるまでには10年~15年かかりますが、1cmを超えると増殖するスピードが速くなります。1cmの大きさのがんが2cmになるのは、1年~2年しかかからないのです。できるだけ早くがんを発見するためには、1年に1回の健康診断が必要になります。

再検査や精密検査は必ず受診する

健康診断の結果で、再検査や精密検査のお知らせが届いたら、放置せずに必ず受診しましょう。なかには「過去に精密検査を受けなくても大丈夫だった」という人もいるかもしれませんが、健康診断でおこなうがんの検査は、がんの疑いがある人を見つけることが目的です。

精密検査は、見つかった病変が「本当にがんであるのかどうか」を確認するためにおこないます。精密検査の結果で、がんであることが判明すればすぐに治療が開始され、良性の病変であったり異常がなかったりした場合は次の健診まで経過観察するなど、適切な対応がとられます。精密検査の指示を無視してしまうと、がんを早期発見できる機会を失い、気づいたときには病状が進行している可能性があるのです。

健康診断を受けっぱなしにしない

健康診断は「結果を聞いて終わり」ではありません。健康診断は、がんなどの病気の早期発見や予防につなげることが目的です。

異常が見つかれば、精密検査や治療について医師に相談したり、今回の健診で問題がなくても、生活習慣を見直したりするなど、これからの健康を保つために行動に移しましょう。現在、かかりつけ医がいない場合は、健康診断後のサポートが充実している医療機関を選ぶと良いです。

まとめ

健康診断では、オプション検査や人間ドックを活用して、自治体でおこなうがん検診以外のがんについて調べることができます。全身のがんについて調べるにはPET-CT検査が有効ですが、検出が苦手ながんもあるため、MRI検査や超音波検査などいくつかの検査を組み合わせて、検査の正確性を上げることが大切です。健康診断のオプション検査や人間ドックのコースは、年齢・家族歴・生活習慣などを考慮して選ぶことをおすすめします。

また、健康診断は受診した後の行動も大切です。精密検査をきちんと受診したり、検査結果について医師や栄養士に相談したりするなど、これからの健康の維持や増進に役立てましょう。

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