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【最新がん治療】進行がんの治療に効果が期待できる温熱療法や塞栓術を取り入れる

がんの治療法は近年目覚ましい進化を遂げていて、より効果の高い治療方法がつぎつぎに開発されています。

まずはそうした治療について知っていただき、その選択を誤らないでいただくことが、がんという厄介な強敵に打ち勝つための必須条件です。

今回は、そんな最新のがん治療の中から、進行がんに効果が高いとされる温熱療法の「オンコサーミア」と「塞栓術(TAE)」についてご紹介します。

最新がん治療 温熱療法

がんを熱で死滅させる腫瘍温熱療法「オンコサーミア」

進行がんの患者さんの治療には、高精度放射線治療の後に、免疫チェックポイント阻害薬や免疫療法の補完として、腫瘍温熱療法「オンコサーミア」も有効です。温熱療法の起源は、医学の父といわれる古代ギリシアの医学者ヒポクラテスの時代からあったといわれています。

腫瘍温熱療法「オンコサーミア」とは、低出力(最大150ワット)の特定ラジオ波を使用して、悪性腫瘍細胞のみを標的に照射して加温することで、本来の免疫機能を活性化させて悪性腫瘍を自死(アポトーシスとも言います)に導く治療法です。加温といっても42℃程度に温める方法なので、やけどなどの副作用の心配はありません。

当院で行っている次世代型の温熱療法「オンコサーミア」は、全ステージのあらゆる種類の固形がんに適した治療法です。

旧来の温熱療法では、悪性腫瘍だけでなく周囲の正常組織も含めて「ぼんやり」とラジオ波を照射していたため、治療効果が不安定でした。それに対して当院の次世代型のオンコサーミアでは、特定のラジオ波を悪性腫瘍の細胞膜をひとつひとつ狙って照射することでその効果は飛躍的に向上しました。

もし照射中に少し身体が動いてしまっても、ラジオ波は自動的にがん細胞の位置を追跡します。がん細胞だけに熱を送り込むことで、細胞の内側と外側に大きな温度差ができ、がんを自殺(アポトーシス)に誘導するのです。

オンコサーミアの効果はそれだけではありません。熱によって、細胞の修復や不要なものの分解を行うタンパク質「ヒートショックプロテイン(HSP)」が誘発されると、がんの増殖を抑えたり、がん細胞を攻撃する免疫細胞が活性化するので、免疫力アップにつながります。

それによって、手術や抗がん剤治療、放射線治療、免疫療法などの治療効果もアップします。

オンコサーミアを開発したのは、ハンガリーにあるセント・イシュトバーン大学のサース・アンドラーシュ教授。現在、世界35カ国でオンコサーミアが導入されており、その治療効果が広く確認されています。

旧来の温熱療法は、悪性腫瘍だけでなく周囲の正常組織にもラジオ波を照射していたのでリスクが高く、効果も不安定でした。けれど、オンコサーミアは、特定のラジオ波を悪性腫瘍のひとつひとつに照射するので、旧来の温熱療法よりも安全で治療効果も安定しています。

オンコサーミアの治療時間は時間ほどで、患部の近くに電極を当てて専用ベッドに横になっているだけです。ラジオ波による温度の感じ方には患者さんによって個人差がありますが、患部にほのかな温かさを感じる程度です。

治療回数は当院の場合、基本は1クール12回の照射を約1時間かけて行い、週2〜3日の通院が必要となります(症状によって異なる場合があります)。費用は健康保険の適用外なので、自費診療となります。

動脈を塞いでがん細胞を壊死させる「塞栓術(TAE)」

手術やオンコサーミアが不向きな進行がんの患者さんには、「塞栓術(TAE)」という方法もあります。

塞栓術はがん細胞が栄養を取り込むルートである血管を一時的に塞ぐことで、がん細胞の成長を抑制し、がん細胞を縮小させ、最終的に死滅させる治療法です。肝臓がんや、腎臓がん、肺がん、子宮がん、乳がん、膀胱がん、骨腫瘍などに用いられることが多い方法です。

治療の際は、まず局所麻酔をして太ももの付け根の動脈から細いチューブ(カーテル)を入れます。そこに抗がん剤(薬剤耐性遺伝子のPIK3CAが出現した腫瘍の場合は分子標的薬)と動脈を塞ぐ薬を注入することで、一時的にがん細胞の栄養補給ルートを断ちます。

あまり長時間にわたって動脈を塞いでしまうと、身体に悪影響が出るので、治療時間は1時間ほどで終了します。

治療後には、発熱や腹痛、吐き気などの副作用が一時的に出ることがありますが、抗がん剤の副作用よりは身体的負担が比較的軽い治療といえます。

塞栓術の際に免疫チェックポイント阻害薬を使うと、血管を塞ぐ塞栓物質として腫瘍内血管に長くとどまるので、放射線治療のひとつであるSBRT(体幹部定位放射線治療)を行う際の術前処置としても有効です。

また、アブスコパル効果を最大化できます。

まとめ

温熱療法「オンコサーミア」や「塞栓術(TAE)」という最新のがん治療をご紹介させていただいたことで、がん治療は抗がん剤だけではないことがご理解いただけたかと思います。 ご自身のため、ひいてはご家族のために、さまざまな最新のがん治療の情報に目を向けていただき、その中から正しい選択をしていただく助けになれば幸いです。

【監修】
佐藤俊彦 医師
医療法人 DIC
宇都宮セントラルクリニック 理事

出典:佐藤俊彦『ステージ4でもあきらめない 最新がん治療』(幻冬舎、2022/2/24)

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