「QOL」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。?
QOLとは英語の「Quality of life(クオリティーオブライフ)」の頭文字を取った略で、直訳すれば「生活の質」となります。
人として生まれたからには、ただ生きているというだけでなく、精神面を含めて喜びや楽しいなど人間らしいと思える生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということ感じてとらえる概念のことです。
このQOLという言葉は、現在よくがん治療とともに登場しています。
そこで、がん治療とQOLについてご説明します。
がん患者さんにとってのQOLとは?
がん患者にとって、がん細胞による直接的な身体的な痛みや苦痛は、患者さんのQOLを低くする大きな原因になってしまうこともあります。
がん患者さんのQOLは、がんになった時点で簡単に幸福度が低下しやすい傾向にあるわけです。
さらに、がんの治療に伴う痛みや不安、精神的な苦痛もQOLを低くしてしまう原因になります。
そもそもQOLが高く生活の質が高い状態というのは、私たちが心身ともに健康で穏やかで、痛みや苦痛がなく普通に生活している状態です。
では逆に身体の不調があることや、精神的にもダメージを受けた状態とではどうでしょうか?
それは生活の質が悪い状態、つまりQOLが低い状態に陥っていると言えます。
がん患者にとって、がん細胞による直接的な身体的な痛みは、もちろんQOLを低くする大きな要因になりえます。
つまり、がん患者のQOLはがんになった時点で簡単に低下しやすい傾向にあるわけです。
それに加えて、様々ながんの治療に伴う痛みや苦痛もQOLを低くしかねません。
がん患者さんのQOL向上を目指すには?
できるだけ痛みや苦痛を和らげていくほうが、がん患者が治療に専念でき、治療効果が高いことがわかっています。
そしてケアすべき患者さんの「苦痛」には、身体的な痛みだけでなく、精神的なストレスなども重要ポイントです。
治療中、また治療が終わって通常生活に戻ったときにも、幸せな気持ちや満足感を味わっていけるようにと、精神的、社会との繋がりを含めた総合的な活力、満足度を高めようという考え方がQOLを向上させることに繋がります。
特に高齢者のがん患者さんは、手術が体力的に難しいことも多いです。
そこでがん患者さんのQOL向上を目指すためには、治療方法も手術だけではなく幅広く選択されるようになってきました。
たとえば、がんの治療後やQOL向上を考えた上で、無理をしない処置の例として一つ挙げられるのが、切除範囲を小さくする手術法「縮小手術」です。
がん手術後の苦痛を和らげ、日常生活のQOLを高めるためにも有効な縮小手術ですが、症状や手術する部位によっては、縮小手術でも5年後生存率は変わらないことも結果に出ています。
また、早期がんの場合は、内視鏡や腹腔鏡を用いる手術も普及してきています。
これは大掛かりに回復する必要もなく、最小限の切開で終わる手術法であり患者さんへの負担も精神的ダメージも少なくて済みます。
近年は精度の高いロボット手術治療器「ダ・ヴィンチ」も登場しています。
激しい副作用が出る抗がん剤療法
がんの三大治療法の1つである抗がん剤療法は、激しい副作用が予測されるため、投与法を変えてみたり副作用を抑える薬剤が同時に使われたりします。
がん患者さんの人間らしい身体状態、精神状態を維持して、満足感の高い生活を続けていっていくためのQOLを維持することを目標に行われます。
抗がん剤治療は、効果があったとしても副作用が強くなってしまい、患者さんのQOLを保つことが困難な場合もあります。
抗がん剤治療では、がん細胞をだけでなく、正常な細胞も同時に叩かれてしまうことから副作用がひどくなってしまいます。
がんの放射線治療とQOL向上
放射線治療は、がんのできた臓器も治療中からほぼ機能を維持できます。
身体の機能や外見上の変化もほぼありませんし、麻酔や薬も使わないので副作用は最小限であり、後遺症を心配する必要もありません。
放射線治療のピンポイント照射による高度放射線治療は、治療中と治療後の患者さんのQOLを確保しながらも、がん治療を効率よく進めていく最も有効な方法だと言えます。
高度放射線治療のピンポイント照射は、手術や抗がん剤治療にはないメリットがあるのです。
しかも抗がん剤のような目立った副作用もありません。
そのため、治療中も、治療後も、今までと同じように日常生活を続けることができます。高度放射線治療はQOL(生活の質)の維持や向上ができるのです。
手術療法の後遺症
医学の進歩とともに手術療法も日々進歩しており、かつては手術が難しかったけれど現在は手術が可能になっているものもあります。
しかし、手術であれば臓器の一部を切り取るという体へのダメージは変わりません。
臓器は切り取られた分だけ機能が低下しますし、手術後の患者さんのQOLが低下するリスクも大きくなります。
ですから高齢者のがん治療では、手術療法は選択されないことも多いです。
がんの治療において、手術療法は開腹し臓器を切り取るため、体へのダメージと術後のダメージも残ってしまいます。
手術の後遺症は、臓器の変形や機能を失ったことから生じてしまいます。
このことを考えると、手術の後遺症は一生の間残ることが分かると思います。
手術では体にメスを入れて臓器や組織を切り取るため、どうしても術後に辛い日々が待っているのです。するとQOLの向上はなかなか難しくなります。
まとめ
がんは特別な人がかかる病気ではなく、全ての人に起こりうる可能性がある病気です。
放射線治療は、応用範囲が広いこと、早期がんから末期がんまで活躍できること、体への負担が小さいことが大きなメリットです。
また手術や抗がん剤治療に比べて副作用が少ないので、高いQOL(生活の質)が維持できることも魅力です。
このように、放射線治療にはたくさんのメリットがあり、手術や抗がん剤に負けない治療の可能性があります。
高度放射線治療は、高齢者にも優しいがんの治療法であり、がん治療中の患者さんの毎日の暮らし、また治療後の通常の生活に戻った際のQOL向上を高められる治療法なのです。