がん画像診断機器「トモシンセシス」とは?~マンモグラフィとの比較

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がん画像診断機器「トモシンセシス」とは?~マンモグラフィとの比較

女性がかかるがんの第1位は乳がんです。
乳がんは女性の11人に1人がかかると言われるほど多いがんであり、30~60代前半の女性の死因第1位でもあります。

近年では、芸能人や著名人が乳がんであることを告白し、乳がんは身近な病気となりました。
乳がんは早期発見で9割が治ると言われていますが、日本の乳がん罹患率と死亡率は増加し続けています。

これは、乳がん検診率の低さが原因です。

乳がん検診を避ける理由として、検診時の痛みがあります。
多くの女性は、「乳がん検診は乳房を板で挟んで圧迫するマンモグラフィが痛いから行きたくない」と言います。

しかし、最新画像診断機器の「トモシンセシス」の登場で、乳房を圧迫しない検査で痛みの少ない乳がん検診が可能になりました。
そこで、乳がんの画像診断について、そしてマンモグラフィやトモシンセシスについてご紹介します。

がん 画像診断 マンモグラフィ トモシンセシス

がんにおける画像診断とは?

がんの検査において、画像診断とは、がんを早期発見するためや、がんの特徴を調べるためにも欠かせない検査です。

 

画像診断から、がんの診断や適切な治療法を判断していきます。

画像検査としては、レントゲン、超音波検査、CT、 MRI、PET検査などがありますが、がんの画像診断機器の中には、乳がんなど特定の部位のがんに特化したものがあります。

マンモグラフィとは

乳がんの検査において一般的なマンモグラフィは、乳房を板でつぶすように挟んで撮影するX線装置(レントゲン装置)です。

乳がん マンモグラフィ

マンモグラフィはレントゲンなので、得られる画像は平面(2D)のものになります。
人によっては強い痛みを感じることもありますが、ほんのわずかな石灰化もしっかりととらえることができる画像診断機器です。

なかでもマンモグラフィは乳がんの早期発見を得意としており、初期症状や触診ではわかりにくいしこりを画像診断することができます。
自治体等の乳がん検診でもマンモグラフィ検査が多く行われています。

マンモグラフィの弱点

マンモグラフィは、若い女性(10~30代)は乳腺が発達し、高濃度乳腺となったものが石灰化と同じように白く映ってしまうというデメリットがあります。

閉経後は乳腺が次第に委縮して脂肪に変わるため、白く写るがんとの区別がつきやすくなり、マンモグラフィはとても有効な診断方法になります。

トモシンセシスとは

乳がん 診断 トモシンセシス

新しい画像診断技術のトモシンセシスは、トモグラフィー(Tomography/断層)とシンセシス(Synthesis/合成)を合わせて作られた造語で、医療現場では「トモシン」と呼ばれることもあります。

トモシンセシスは、マンモグラフィの3D版と呼ばれている検査で、優れた画像品質を可能にします。
トモシンセシスは、乳房画像診断における感度と特異度を大いに改善させました。
結果、高い診断能力を実現することができています。

トモシンセシスの画像診断

乳がんの検査においてトモシンセシスの最大のメリットは、CT撮影の画像と同じような断層画像を撮影して組み合わせることができる点です。
これによって、立体(3D)として検査部位をとらえることができます。

さらにトモシンセシスは、角度を変えながら断層的に撮影するので、より正確な画像診断ができるようになりました。

高濃度乳腺の場合も有効

マンモグラフィの画像診断では、乳腺も腫瘍も同じく白く写ってしまいます。

若い女性に多い乳腺濃度の高い高濃度乳腺であるデンスブレストの場合は、2D的マンモグラフィで撮影すると、乳腺組織も腫瘤も真っ白に写ってしまうため、正確な画像診断ができなくなる恐れがあり、主要の発見がしづらいというデメリットがありました。

しかし、トモシンセシスは1回の撮影により得られた画像を再構成し、1ミリ感覚で表示することができるので、高密度乳腺にも有効な画像診断なのです。

乳がん トモシンセシス 高濃度乳腺

マンモグラフィに比べて痛みが少ない

トモシンセシスは乳房をフワッと押さえて断層画像を撮影する仕組みになっており、従来のマンモグラフィと比べて強く圧迫する必要がないので、かなり痛みが軽減されています。
この点も、トモシンセシスのメリットです。

まとめ

乳がんの検査で使用されるマンモグラフィとトモシンセシスの画像診断装置について、ご紹介しました。

トモシンセシスは、マンモグラフィの3D版とも言われ、乳がん治療の未来を大きく変える画像診断装置と言われています。
しかし、トモシンセシスがあれば、従来のレントゲン・マンモグラフィ・MRI、CTは必要ないというわけではありません。

がんの診断では、一つの診断方法に頼り過ぎないということも重要なのです。

乳がん 画像診断

がん検診に行くと複数の画像診断をするのは、がん診断を間違いなくより正確に行うために、いくつかの画像診断装置の結果から判断する必要があります。
現在の診断に不安のある方は、セカンドオピニオンで画像診断に力を入れている医療機関で診断してもらうこともおすすめです。

遺伝や家族歴などから乳がんの心配があるという人も、画像診断装置が充実した医療機関で検査を受けてくださいね。

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