膵臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について自動下書き

膵臓がんは早期発見が難しく、見つかった時点でステージ4や末期と診断されるケースも少なくありません。
しかし、患者さん一人ひとりの状況に応じて選択できる治療法は複数存在します。薬物療法や緩和ケアなどの標準治療はもちろん、それ以外にも検討可能な選択肢があることをご存知でしょうか。
この記事では、膵臓がん末期の基本知識から治療の選択肢、適切な治療法を見つけるための検査や制度まで詳しく解説します。
目次
膵臓がん末期・ステージ4の基本知識

膵臓がん末期(ステージ4)とはどのような状態を指すのか、定義や余命について解説しましょう。
膵臓がん末期・ステージ4の定義
膵臓がんのステージ4は、がんの進行度がもっとも進んだ段階です。がんが肝臓・肺・腹膜など膵臓から離れた臓器や、がんが発生した場所から遠く離れたリンパ節まで転移している状態を指します。
ステージ4では、がんを手術で切除したり、根治目的で放射線治療をおこなったりすることは難しいため、がんの進行を抑えつつ、痛みやつらさを和らげる緩和的な治療が中心となります。
膵臓がん末期・ステージ4の余命
膵臓がんは、早期発見が難しく、一般的に予後が悪いとされています。発見された時点でステージ4の末期状態にあることも多く、余命宣告を受けるケースもあるのです。
ステージ4の患者さんの5年生存率は、1.6%と非常に低い数値となっています。ただし、報告された数値は平均的なものであり、個々の病状や体力などによって余命は異なります。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」膵臓がん
膵臓がんが転移しやすい場所
膵臓は動脈やリンパ節に囲まれています。そのため膵臓がんでは、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗ってほかの臓器へ広がる「転移」が起こりやすくなっています。
特に転移が多い場所は、肝臓・腹膜・肺・大動脈周囲のリンパ節・骨です。なかでも肝臓への転移がもっとも多いとされています。
膵臓がんが転移して、その臓器でがんが進行すると、転移した臓器に特有の症状が現れることがあります。
膵臓がん末期・ステージ4における症状の経過

膵臓がん末期でよくみられる症状や、時間の経過とともに起こりやすい症状などについて解説します。
膵臓がん末期・ステージ4の主な症状
膵臓がんは早期の段階で自覚症状が少なく、がんの進行に伴ってさまざまな症状が現れます。ステージ4における主な症状は、持続的な腹痛や背中の痛みです。時間の経過とともに痛みは強くなります。
そのほか黄疸・かゆみ・倦怠感もよくみられます。膵臓の機能が低下することによって、食欲不振、消化不良、著しい体重減少も伴うようになるのです。
余命3ヶ月以内に現れる変化
膵臓がんで余命3ヶ月以内になると、ひどい疲労感や強い倦怠感が日ごとに強くなり、長時間寝て過ごすようになります。がんが神経まで広がって生じる腹痛や背中の痛みも増し、鎮痛薬による痛みの管理が不可欠となるのです。
がんの進行に伴い、食欲不振や嚥下障害が起こり、飲食がだんだん難しくなり、全身の衰弱が著しく進みます。肺や肝臓への転移があると、息切れや呼吸困難、黄疸の悪化などの症状も現れるようになるのです。
転移した場所によってみられる症状
膵臓がん末期(ステージ4)では、ほかの臓器に転移することで、転移した臓器に特有の症状が現れます。転移しやすい臓器と転移したときにみられる主な症状は以下のとおりです。
| 場所 | 症状 |
|---|---|
| 肝臓 | 黄疸・全身の倦怠感 |
| 腹膜 | 腹痛・腹水の増加・食欲不振・体重減少 |
| 肺 | 咳・息切れ・胸部の痛み・呼吸困難 |
| 骨 | 激しい痛み・骨折 |
膵臓がん末期・ステージ4における標準治療

膵臓がんのステージ4でおこなわれる標準治療について解説しましょう。
薬物療法
遠隔転移のあるステージ4では、手術や根治目的の放射線照射はおこなわれず、薬物治療が中心となることが多いです。薬物治療は一次治療、二次治療と段階を追っておこなわれるのが一般的です。
一次治療
一次治療は、初めておこなう抗がん剤治療で、年齢や体力によって使用する薬剤が決められます。
膵臓がんのステージ4で、全身状態が良好で体力のある場合は、5-FU・イリノテカン・オキサリプラチン・レボホリナートの4剤を併用するFOLFIRINOX療法、またはゲムシタビンとナブパクリタキセルを併用するGnP療法が、標準的な選択肢として推奨されています。
これらの併用療法は高い効果が期待できるものの、感染症やしびれなどの副作用も多いため、十分な体調管理が必要です。体力に不安がある場合や高齢者の場合は、比較的副作用の少ないゲムシタビン単独療法や、内服薬であるS-1単独療法が検討されます。
二次治療
一次治療の効果が薄れてきた際、薬を変更して治療を継続することを二次治療といいます。二次治療では、基本的に一次治療で使わなかった種類の薬剤を選択します。
一次治療がFOLFIRINOX療法だった場合は、ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用療法などが選択肢となるのです。一次治療でゲムシタビンを含む治療をおこなっていた場合は、イリノテカンリポソーム製剤などを含むフルオロウラシル系薬剤の治療が標準となります。
また、がん遺伝子検査の結果、特定の遺伝子変異が見つかった場合、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使われることもあります。
遺伝子検査についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
>>がん遺伝子パネル検査「ガーダント360」について
放射線治療
ステージ4の膵臓がんにおいて、放射線治療はがんを根治させることよりも、患者さんのつらい症状を和らげるため緩和目的におこなわれる場合が多くあります。特に、がんが骨に転移し、強い痛みが生じている場合、その部位に放射線を照射することで、痛みを軽減することが可能です。
ただし、治療部位や放射線量によって、吐き気や食欲不振、皮膚の色素沈着などの副作用があらわれることがあります。
緩和ケア・支持療法
膵臓がん末期では、薬物療法と並行して、生活の質(QOL)を保つための緩和ケアや支持療法が非常に重要となります。緩和ケアで実施される主な治療について解説しましょう。
疼痛コントロール
膵臓がんが進行すると、背中や腹部に強い痛みを伴うことが多いため、痛みの管理は緩和ケアの中心となります。
激しい痛みがある場合、鎮痛薬の投与や神経ブロック治療がおこなわれます。がんの痛みで用いる鎮痛薬には、非ステロイド性抗炎症薬・アセトアミノフェン・オピオイド鎮痛薬があり、症状に応じて選択するのです。
さらに、がんが骨に転移して生じた強い痛みに対しては、放射線治療をおこなうことで、痛みを和らげることも推奨されています。
胆道ドレナージ
膵頭部にがんが生じると、胆汁の通り道である胆管が狭くなったり、ふさがったりすることがあります。胆管の閉塞が続くと、胆汁が正常に流れなくなり、皮膚や目が黄色くなる黄疸や、細菌感染による胆管炎を引き起こしやすくなります。
これらの症状を改善するため、胆道ドレナージというたまった胆汁を排泄する処置がおこなわれるのです。
通常は体への負担が少ない内視鏡的胆道ドレナージ(ERBD)が推奨されており、内視鏡を使って管(ステント)を挿入し、胆管を広げます。
十二指腸ステント療法
がんが進行し、膵臓と隣り合う十二指腸まで広がると、胃の出口や十二指腸が狭くなって食べ物が通らなくなり、食欲低下が起こることがあります。この症状を改善するためにおこなわれるのが十二指腸ステント療法です。
十二指腸ステント療法では、内視鏡を用いて、金属でできた管(ステント)を狭くなった部分に入れて広げることで、食べ物の通り道を確保します。
膵臓がん末期・ステージ4における標準治療以外の選択肢

膵臓がん末期・ステージ4と診断されたり、標準治療が終了した・あるいは効果が期待できなかったりする場合でも、検討できる治療法が存在します。
以下より、標準治療以外で検討できる3つの方法を紹介します。
治験に参加する
標準治療で効果がみられない場合、新しい治療法や薬剤の治験に参加する方法があります。
メリットは、新たな治療を受けられる機会が増えることです。治験に参加すると、薬剤費や検査費用が製薬会社により負担されるため、医療費の負担が少なくなることがあります。なかには、交通費などの自己負担軽減のために負担軽減費が支払われることもあるのです。
治験では、専門医による細やかな診察や検査を受けられる特長もあります。ただし、未知の副作用が出る可能性や、通院や検査回数が増えるといった日常生活の制限が生じるデメリットもあります。
治験には厳格な参加条件があるため、参加を検討する際は現在の担当医と十分に相談し、納得した上で進めることが重要です。
患者申出療養制度を利用する
膵臓がんの末期・ステージ4において、標準治療が終了になった場合でも「患者申出療養制度」を通じて先進的な治療を受けられる可能性があります。
この制度は、未承認の薬剤や適応外の治療法を使いたいという患者さんの申し出を受けて、国がその治療法の安全性や有効性を確認した上で、保険診療と併用できるようにする仕組みです。特に、がん遺伝子パネル検査などで推奨された薬があっても、治験や先進医療の対象とならない患者さんに、新たな治療の機会を提供できる可能性があります。
患者申出療養制度を希望する際は、主治医に相談し、制度の対象となるか確認しましょう。患者申出療養にかかる薬剤料や技術料などは原則として自己負担となりますが、通常の診察料や検査料は保険適用されます。
免疫細胞療法を受ける
免疫細胞療法は、患者さん自身の血液から免疫細胞を取り出し、培養・活性化させてから再び体内に戻すことで、人間が本来持っているがんを攻撃する力を強化することを目指す治療です。
免疫細胞療法は、ほぼすべての固形がんに適応し、進行度を問わず実施できます。
特長は、自分の免疫細胞を使うため、大きな副作用の報告が少ない点です。また、化学療法や放射線治療と併用すると、これらの治療によって弱くなった免疫機能をサポートして、相乗効果が期待できます。
免疫細胞療法は、保険適用外であるため、治療にかかる費用は全額自己負担となります。また、効果には個人差があることも知っておきましょう。
免疫細胞療法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
>>NK療法(細胞免疫療法)とは?効果や費用、治療の流れなどを解説
>>免疫細胞BAK療法の効果や費用、治療の流れなどを解説
膵臓がん末期・ステージ4で自分に合った治療を見つける手段

自分に合った治療を見つける手段として、病状をより詳しく把握するための検査や制度がいくつか存在します。実際に活用できる検査や制度について解説していきましょう。
PET-CT検査を受ける
PET-CT検査は、全身のがんの広がり具合と、がん組織がどれくらい活発に活動しているかを一度に調べられる検査です。
PET-CT検査では、放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を体内に注射します。がん細胞は健康な細胞よりも多くのブドウ糖を取り込む性質があるため、FDGがたくさん集まる場所を画像化し、がん病巣を見つけ出すのです。
膵臓がんの場合、ほかの臓器への転移や病期の進行度を正確に確認する目的で実施されます。
がん遺伝子パネル検査をおこなう
膵臓がん末期で、自分にあった治療を見つけるために有効な手段の1つが、がん遺伝子パネル検査です。
がん遺伝子パネル検査とは、がん組織や血液などを用いて多数の遺伝子を一度に調べる検査です。がん細胞特有の遺伝子の変化を詳しく解析し、がんの性質を明らかにします。
検査の目的は、遺伝子の変化に対して効果が期待できる薬があるかどうかを見つけることです。保険診療では、ステージ4で標準治療が終了した、もしくは終了する見込みのある固形がんの患者さんが、次の薬物治療を探す場合におこなうことがあります。
遺伝子変異が見つかれば、それに基づいた治療(治験を含む)を検討できますが、実際に自分に合う薬の使用に結びつくのは、全体の約10%程度であることも理解しておくことが大切です。
セカンドオピニオンを受ける
セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に、診断や治療選択について意見を求める制度です。
治療の選択肢が複数ある場合や、主治医から提示された内容に疑問を感じたときなどに検討します。主治医と異なる視点からの意見を聞くことで、病状や治療への理解が深まり、より効果的な選択肢が見つかる可能性があります。主治医の説明をよく理解した上で、セカンドオピニオンを希望する際は受けたい旨を主治医に伝えましょう。
膵臓がん末期・ステージ4でセカンドオピニオンを受ける意義

膵臓がん末期・ステージ4では、治療の選択に悩むこともあるでしょう。セカンドオピニオン制度を利用すると、納得して治療を受けるための助言を得ることが期待できます。
以下よりセカンドオピニオンを受ける3つの意義を解説します。
診断内容について再確認できる
セカンドオピニオンは、現在の主治医から診断名や病状、治療方針の説明を受けた際に、その内容を再確認するために活用できます。別の専門医の意見を聞くことで、下された診断や病状の進行度を客観的に見直す機会が得られます。
膵臓がん末期(ステージ4)では、転移している場所や数など病状の判断が重要です。たとえば、セカンドオピニオンを放射線診断専門医に依頼すると、検査画像を改めて確認して、病状を再評価してもらえます。
再評価の結果によっては、別の治療の選択肢が見つかる可能性もあるのです。
新しい治療法や治験の情報を得られる
がん治療の進歩は目覚ましく、新しい診断技術や治療法、治療薬が日々開発されています。セカンドオピニオンを受けるメリットの1つは、主治医とは異なる治療方法を提案してもらえる可能性があることです。
ステージ4のように、医師間で意見が分かれやすい進行がんの治療においては、膵臓がんの治療経験が豊富な医師に意見を求めると良いでしょう。また、治験参加などの可能性について情報を集め、治療の選択肢として検討する機会にもなります。
病状や治療への理解が深まる
病状や治療への理解が深まることも、セカンドオピニオンを受ける意義の1つです。
別の医師から異なる角度で説明を受けることで、なぜその治療が必要なのか・どのような効果が期待できるのかが、より明確になります。同じ内容でも、医師によって説明の仕方や強調するポイントが異なるため、患者さんの疑問が解消されやすくなるのです。
また、複数の専門医から治療のメリット・デメリットを聞くことで、一度の説明では理解しきれなかった部分が補われます。多角的な情報を得ることで、治療に対する不安が和らぎ、納得して治療を進められるようになるでしょう。
まとめ

膵臓がん末期・ステージ4では、薬物療法や緩和ケアなどの標準治療に加え、治験参加、患者申出療養制度、免疫細胞療法など複数の選択肢があります。がん遺伝子パネル検査により個々に適した治療法が見つかる可能性もあり、セカンドオピニオンを通じて新たな治療情報を得ることも可能です。
大切なことは、現在の病状を正確に把握し、体力や年齢、転移の状況に応じて適切な治療選択をすることです。主治医と相談しながら利用できる検査や制度を確認し、納得のいく治療法を見つけていきましょう。

