放射線治療装置トモセラピーがCTと一体化しているメリットとは?

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放射線治療装置トモセラピーがCTと一体化しているメリットとは?

トモセラピーはCTと一体化した放射線治療装置です。
なぜ、トモセラピーとCTを一体化する必要があったのか、従来の装置に比べてどういうメリットがあるのか。
今回は、トモセラピーとCTの関係についてのお話です。

放射線治療におけるトモセラピーとCTの関係とは?

CTとの一体化こそトモセラピーの強み

トモセラピーのピンポイント照射を実現するために欠かせないのが、「治療計画」です。

治療計画では、照射する放射線のビームの強弱や、最適な線量分布を決定します。
がんの大きさや形はもちろん、周辺の臓器の位置や形についても正確に測定します。
治療効果が高く、周辺への悪影響が無い治療計画が理想です。

トモセラピーの治療計画では、CT画像が使われます。

と言っても、普通の検査のように、ただ撮影するわけではありません。
トモセラピーの治療計画時のCT撮影では、本番の治療と同じ「固定具」を装着して行います。

固定具とは、患者さんの身体の動きを制限するための道具です。患者さん一人一人の身体やがんの位置、大きさ、形に合わせてオーダーメイドで作られます。

放射線治療機器トモセラピー

固定具を装着し、本番と限りなく同じ姿勢をとった状態でCTをもとに、専用の計算ソフトを搭載した高性能コンピュータによって必要な情報が求められます。

なぜ固定具を装着して撮影するのでしょうか?
それは、トモセラピーが得意とする「位置合わせ」という作業に関係しています。

トモセラピーの「位置合わせ」

トモセラピーを使って実際に治療をする直前、固定具を装着した状態でもう一度CT撮影をします。

治療計画時に撮影されたCT画像と、治療時に撮影されたCT画像。
この二つの画像は同じ固定具を装着しているおかげで、全く同じ体勢で撮影されています。

実はトモセラピーは、この二つのCT画像を照合することで、位置の微調整を行うのです。照合や位置合わせはコンピュータによって自動的に行われます。

トモセラピーとCTが一体化しているメリット

CT撮影用のビームと治療用のビームには、同じX線が使われています。
CT撮影用のX線も治療用のX線も、同じX線源から出ています(強さは撮影用はX線用の二百分の一程度)。

一つのX線源で位置合わせと照射を行えること、これこそがトモセラピーの強みです。

治療のたびにCT撮影して行う位置合わせの精度が高まれば、照射の誤差も軽減し、正常な組織への照射も最小限に抑えられます。
従来の機器に比べて精度の高いピンポイント照射が可能になった秘密はここにあるのです。

CTとトモセラピーを行ったり来たりする必要がないのも、患者さんにとって大きなメリットですね。
わずらわしさは軽減しますし、時間の節約にもなります。

トモセラピー治療の仕組みとは?

トモセラピーを用いた治療では、一本一本に異なる強弱のつけられた放射線が、多方向から照射されます。
各ビームは、周辺へのダメージは避けつつ、がんに大きな効果を与えられるように照射されます。

トモセラピーのビーム照射イメージ

しかしこの精巧な調整は、人間が簡単に計算できるものではありません。
そのため、トモセラピーには高性能のコンピュータが搭載されています。

専用の計算ソフトを搭載した高性能のコンピュータは、数万通りもある照射の組み合わせの中から最適な方法を導き出すのです。

計算だけでなく、照射自体もすべてコンピュータの制御化で行われています。操作する者は見守るだけ――。人為的なミスは最小限に抑えられます。

一方、患者さんはというと、カウチの上で寝ているだけで治療が終わります。
痛みも、もちろん熱も感じることはありません。

まとめ

多くの研究者が、少しでもピンポイントで、少しでもがん治療の効果が高く、少しでも患者さんへの負担が小さい放射線治療装置を開発するために日々頑張っています。
CTを利用したトモセラピーはその集大成の一つです。
がん患者の高齢化が進む中、きっとこれから、もっと進化した装置も生まれてくることでしょう。

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