トモセラピーとは?最新放射線治療について

がん治療のセカンドオピニオンNIDCのサイトメニュー

803

トモセラピーとは?最新放射線治療について

トモセラピーとは?最新放射線治療について

先端の放射線技術を利用した治療法のトモセラピー。「トモセラピーはどういった治療なのか」「ほかの放射線治療との違いを知りたい」という疑問をお持ちの人もいらっしゃることでしょう。
今回はトモセラピーについて、基本情報や利点・欠点、ほかの放射線治療との違いまでわかりやすく解説します。ぜひ最後までチェックしてください。

トモセラピーとは?

トモセラピーとは

トモセラピーとは、放射線治療とCTを集約化した装置です。主にがんの治療に使用されます。CT撮影と放射線治療を同じ装置でおこなうため、患者の負担が少なく済む点が特徴です。
また、病巣をピンポイントに狙って放射線を照射できるため、精度のよい治療ができます。

トモセラピーの治療は次のとおりに進めていきます。

治療開始前に固定具を用いて計画用CTを撮影します。計画用CTの撮影は、がんの照射位置や近隣の臓器の状況をきちんと把握し、線量や当て方を決めるためのものです。
トモセラピーではCT撮影を毎回の治療のたびにおこない、計画用CTで撮影した画像と照らし合わせ、照射位置を定めます。

放射線照射をおこなう際には、患者を乗せたベッドがリング状の装置のなかを少しずつ移動していきます。
照射機器が、装置のなかで放射線の強さを変えながら360度連続的に回転し、がんに狙いを定めて照射します。
そのため、近隣の健康な組織に対する線量を抑えつつ、がんへ着実にダメージを与えるのです。

トモセラピーの治療効果を上げている3つの機能

トモセラピーの治療効果を上げている機能

トモセラピーは従来の治療と比べて、副作用を最小限に抑えながら、高い治療効果を得られます。
治療効果を高めている3つの機能について順番にみていきましょう。

強度変調放射線治療(IMRT)

強度変調放射線治療(IMRT)は、照射するエリアの線量に強弱をつけて、放射線を当てたいところに十分当てて、避けたいところはできるだけ当てない方法です。

従来の放射線治療は、照射する強さが均一だったため、健康な組織への副作用が大きいことが問題でした。

IMRTでは、角度に応じて照射する強さを連続的に変えることができます。そのため、がんにだけ焦点を絞り放射線を当て、近隣の健康な組織へのダメージが極力少なくなります。

画像誘導放射線治療(IGRT)

画像誘導放射線治療(IGRT)は、実際の治療時に2方向以上のX線撮影またはCT撮影をして、がん組織や近隣の臓器の状態を確認し、治療計画にできるだけ近い照射をおこなう治療方法です。

従来の治療では、計画時に患者の皮膚にマーキングをして、治療時には皮膚のマークをもとに、リニアックグラフィーという2次元X線画像で確認していました。
しかしこの方法では、がんや近隣の臓器の形状・位置など体内の状態がわかりにくく誤差が大きかったのです。

トモセラピーでは、毎回の治療直前にCT撮影し、治療計画時に撮影したCT画像と照らしあわせます。がんや近隣の臓器の状態・位置を立体的に確認して、照射位置をミリ単位で補正したのち照射をおこなうため、がんの近くにある正常な組織への余計な照射を防げます。

2種類の照射モード

トモセラピーではヘリカル回転照射と固定多門照射の2種類の照射方法を選べます。

ヘリカル回転照射は、放射線機器がリング状の装置のなかで回転している間を、ベッドが平行移動していく方法です。放射線照射がつなぎ目なく一筆書きのらせん状になるため、複数の病巣や広がった病巣に対して治療ができます。

固定多門照射は、放射線機器の位置を固定して複数の方向より照射する方法です。がんの部位しだいでは、ヘリカル回転照射の方が心臓や肺など重要な臓器に対する線量が増えて副作用が生じるケースがあります。
固定多門照射では放射線機器の位置を固定し、重要な臓器をできるだけ避けて細かい放射線ビームをがん組織にフォーカスして照射できます。

トモセラピーの効果や欠点は?

トモセラピーのメリットやデメリット

トモセラピーを受ける際の効果や利点・欠点について確認しましょう。

トモセラピーの効果や利点

トモセラピーの効果や特徴は4つ挙げられます。ひとつずつ詳しく解説します。

1.がん組織へ精度の高い照射ができる

トモセラピーは治療のつどCTでがんの位置を確認して、計画時のCT画像と照らし合わせ、ミリ単位で照射位置を補正できます。
従来の放射線治療と比べて照射部位のズレが少なくなり、がんに焦点を絞り照射できるのです。

2.複数のがんを同時に治療できる

トモセラピーでは、ベッドがリング状の装置のなかを移動しながら放射線を照射します。
らせん状にひと続きで照射できるため、がんが複数あったり、頭尾側方向に広がっていたりする場合でも一度に治療可能です。
ほかの放射線治療では、照射エリアが40cmを超えるとIMRTの治療ができません。

3.副作用が少ない

トモセラピーではがんの形状にあわせて、360度どの方向からでも線量を連続的に変えて照射できます。
そのため、がんに焦点を絞り照射しながら、近隣の健康な臓器へのダメージを避けられるのです。

4.入院せずに治療ができる

トモセラピーの治療は、1回につき時間は15~20分程度で終わります。また副作用が少ないため、外来通院で治療できるのです。

また従来の治療では、健康な臓器へのダメージを減らすために線量を弱くして、治療回数を多くしていました。
トモセラピーでは照射の強さを細かく調節して、がんにのみ放射線を強く当てられるようになりました。
そのため短期間で治療をおこなえるようになり、患者の負担が軽くなりました。

トモセラピーの欠点

トモセラピーによる治療で気をつけたい点は2つあります。順番にみていきましょう。

軽度の副作用がある

トモセラピーは、従来の放射線治療と比べると副作用は少ないですが、ゼロではありません。
急性の副作用は皮膚炎(ヒリヒリ感・熱感・発赤・皮がめくれる)・脱毛です。一過性の副作用では、倦怠感・食欲不振・下痢がみられます。
副作用の発症には個人差があり、症状が現れない人もいます。

連日で治療をおこなう必要がある

トモセラピーの治療は1日1回、週5日おこないます。治療回数はがんの部位や病状で異なりますが、多くのケースで数回から30回程度です。
治療に通うのがおっくうに感じるかもしれませんが、連日照射するのには理由があります。

健康な細胞は、放射線のダメージを受けても修復力が高く、早い速度で回復できます。
一方で、がんは放射線のダメージを受けると、がん細胞の遺伝子に深刻な損傷を受けるため、回復までに時間がかかるのです。
がん細胞が回復してしまう前に連続で放射線を当てることで、がん細胞を減らしたり死滅させたりできます。
そのため、トモセラピーの治療は連日おこなう必要があります。

トモセラピーの適応は?保険適用できる?

トモセラピーの適応は?保険適用できる?

トモセラピーでは、「限局性固形悪性腫瘍」に対する治療が保険適用されます。
限局性固形悪性腫瘍とは、全身に転移していない、血液のがんを除いた固形のがんを指します。部位にかかわらず保険適用が可能です。

トモセラピーによる治療は、正常な臓器や組織が近くにあり、できるだけ精度の高い照射をしたいケースで頻繁におこなわれます。
トモセラピー治療をおこなうがんの種類と目的は以下のとおりです。

  • 前立腺がん
    前立腺の前後にある膀胱や直腸への線量を抑える
  • 肺がん
    がんに焦点を絞って放射線を当てるようにして、治療後の肺炎発症を抑える
  • 頭頸部がん
    中枢神経・眼球・口腔内への被ばくを抑え、認知機能低下・視力障害・口腔乾燥の副作用を少なくする
  • 膵臓がん
    肝臓・十二指腸・胃への線量を抑え、出血や穿孔を少なくする
  • 乳がん
    固定多門照射によって、肺や心臓への被ばくを最小限に抑える
  • 多発性転移
    ヘリカル回転照射により、1回の照射で複数のがんの治療ができる

トモセラピーの費用は?

トモセラピーを受ける場合、診療報酬におけるトモセラピー1回あたりの技術料は30,000円です。
保険適用をして、3割負担であれば9,000円になります。このほかに初診料・再診料・管理料などが算定されます。
合計30~35回程度の治療回数であれば、3割負担の人の費用は総額40万円前後です。

保険適応外にてトモセラピーをおこなうと、全額自己負担になります。保険適応外での費用は受診するクリニックによって異なります。
なかには総額200万円以上かかる医療機関があるため、治療効果や副作用について十分な説明を受けるようにしましょう。

トモセラピーとリニアックの違いは?

放射線治療において、機器や治療方法の名前がさまざま出てくるので、違いがわからない人もいらっしゃることでしょう。
ここではトモセラピーとリニアックの違いについて解説します。

リニアックとは

リニアックは、高エネルギーX線や電子線を作り出し外部照射する一般的な機器です。
高エネルギーのX線は、体の深部まで届き、2~10cmの深さにあるがんにもっとも力を発揮します。
電子線は、体の深部まで届かず浅いところで止まる性質があり、主に皮膚がんのような体の表面にあるがんや乳がん手術後の治療に使用されます。

トモセラピーとの違い

リニアックは放射線を作り出して照射する機器です。
リニアックには照射方法がいくつかあり、そのうちの1つがトモセラピーの特徴に挙げた強度変調放射線治療(IMRT)になります。トモセラピーの放射線を作り出す機器に、小型のリニアックが使用されています。
トモセラピーにおける照射では、がんの形状にあわせて線量の強弱と照射口の形を調節して、治療精度を高めているのです。

トモセラピーと陽子線治療の違いは?

トモセラピーと陽子線治療の違い

トモセラピーと陽子線治療のどちらも放射線治療ですが、使う放射線の種類が異なります。
陽子線は粒子線に分類され、高いエネルギーをもって空間を移動する粒子です。
一方、トモセラピーで使うX線は電磁波に分類され、光の仲間で質量をもたないものになります。

陽子線治療とは

陽子線治療は、陽子線を使った放射線治療です。
陽子線は、止まるときに大半のエネルギーを放出し、その前後のエネルギーは弱いという特性があります。
この特性を活かし、陽子線治療では、がんの深さにあわせて照射をコントロールしているのです。
陽子線はがんで止まり、ほぼすべてのエネルギーを放出するため、がんより後ろの組織にはそれほど影響しません。

陽子線治療は1日1回、週3~5回おこないます。1回あたりの治療時間は15~30分ほどです。
治療回数は人によって異なりますが、数回から40回程度繰り返します。
陽子線治療は、施設設置に広大な場所と費用がかかるため、治療を受けられる病院は全国で19か所のみです(2023年10月時点)。

陽子線治療の保険適用

陽子線は以下のがんで保険適用できる可能性があります。

• 小児固形がん • 一部の頭頸部がん • 進行性前立腺がん • 骨軟部腫瘍 • 進行性膵臓がん • 一部の肝細胞がん • 肝内胆管がん • 術後再発した局所大腸がん

ただし肝細胞がん・肝内胆管がん・進行性膵臓がん・骨軟部腫瘍・術後再発した局所大腸がんについて、保険適用となるのは手術による根治的治療が困難なものに限られています。

先進医療としての陽子線治療

上記以外のがんでも、先進医療として陽子線治療がおこなわれています。
日本放射線腫瘍学会からの見解にて、先進医療でおこなう場合に適用となるがんは以下のとおりです。

脳脊髄腫瘍 膠芽腫・神経膠腫・髄膜腫・その他の稀な脳腫瘍 頭頸部腫瘍 頭頸部扁平上皮がん 肺縦隔腫瘍 限局性肺がん・局所進行非小細胞肺がん・縦隔腫瘍 消化管腫瘍 局所進行食道がん 肝胆膵腫瘍 肝細胞がん(保険適応外のもの)・胆道がん 泌尿器腫瘍 膀胱がん・腎がん 転移性腫瘍 転移性肺腫瘍・転移性肝腫瘍・転移性リンパ節

先進医療で陽子線治療をおこなう場合、技術料は自己負担となります。
陽子線治療の技術料は約300万円です。ほかに診察・検査などの費用がかかりますが、こちらは保険適用されます。

トモセラピーとの違い

トモセラピーと陽子線治療の違いは次のとおりです。

トモセラピーは、あちこちに転移したがんや頭尾側方向に広がったがんの治療でも、一度の照射で治療できます。
また固形がんであれば、部位にかかわらず幅広い対応が可能です。根治照射のみならず、がんの痛みを和らげる緩和照射もできます。

陽子線治療は局所がんの治療を得意としています。しかし、あちこちに転移しているがんや、放射線による潰瘍が生じやすい胃や小腸のがんは治療できません。
実施できる施設がトモセラピーよりも圧倒的に少ないため、治療を受ける負担が大きくなる可能性があります。

まとめ

トモセラピーは、CTと放射線治療を集約化した装置です。
放射線の照射位置のズレを限りなく減らし、照射の強さを連続的に変えられる方法をあわせ持っています。
そのため、健康な組織へのダメージを抑えつつがん組織に焦点を絞って放射線を当てられ、従来の方法よりも治療成績が良好です。

さらにトモセラピーでは、患者を載せたベッドが移動しながら照射できるため、がんが複数あったり頭尾側方向に広がっていたりする場合でも一度に治療できます。

がんの勢いを抑える効果的な放射線治療は、照射方法の選び方が肝心です。選択肢のひとつとしてトモセラピーを検討する際に、今回の記事をお役立ていただければ幸いです。

がん治療一覧へ