腎臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

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腎臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

腎臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

「腎臓がんを早期発見できなかった」「再発してしまった」などの状況で、末期やステージ4と宣告された場合、不安や戸惑いを感じる方は多いでしょう。

腎臓がんは初期の症状が乏しく、気付いたときには進行しているケースも少なくありません。しかし、そのような状況でも治療の選択肢は残されています。

大切なのは、現状を正しく理解したうえで、どのような治療が考えられるのか・何を優先していくのかを整理しながら、自分に合った選択をしていくことです。

この記事では、腎臓がんの末期における症状や余命、治療方法などについてわかりやすく解説します。

腎臓がんの末期とは

腎臓がんの末期とは

腎臓がんの末期・ステージ4について、診断基準や進行スピードについて確認しましょう。さらに、腎臓がんにおける転移の特徴も解説します。

腎臓がんのステージ分類とステージ4の診断基準

腎臓がんの進行度は、ステージ1〜ステージ4の4段階で分類されます。数字が大きくなるほどがんの進行度が高いことを意味し、ステージ4はもっとも進んだ状態を指します。

ステージ4は、がんが腎臓の外まで大きく広がっている場合や、肺・骨・脳など腎臓から離れた臓器に転移している場合に診断されます。一方で、リンパ節に転移がみられても、ほかの臓器への転移がなければ、ステージ3に分類されることがあります。

適切な治療方針を立てるために、ステージを正確に診断することが欠かせません。

腎臓がんの進行スピード

腎臓がんは、ほかのがんと比べて成長のスピードがゆっくりであるという特徴があります。進行スピードには個人差がありますが、一般的には1年間で3mmから5mm程度の速さで大きくなるとされています。

急激に進行することが比較的少ないため、高齢者や持病がある人の場合は、体に負担のかかる手術を急がず、定期的な検査で様子を見守る選択肢がとられることもあるのです。

腎臓がん末期における転移の特徴

腎臓がんの初期は自覚症状がほとんどなく、転移による症状が出て初めてがんが発見されるケースがあります。転移が起こりやすい部位は肺で、そのほかにも骨、肝臓、脳、副腎など、全身のさまざまな場所へ広がる可能性があります。

あらわれる症状は転移先によって異なり、肺なら咳、骨なら痛みや骨折、脳なら頭痛といった多様な症状が見られるのが特徴です。がんが進行すると、発熱や倦怠感、体重減少などの全身症状も伴うようになります。

腎臓がん末期であらわれる症状

腎臓がん末期であらわれる症状

腎臓がんは、初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、がんが末期まで進行すると、体にさまざまな変化があらわれ始めます。具体的な症状について解説しましょう。

末期特有の三大症状

腎臓がんが大きくなるにつれてあらわれる三大症状は「血尿」「背中や腰の痛み」「お腹のしこり」です。

尿に血が混じる「血尿」は、がんが進行し腎臓の組織が壊れることで起こります。はっきりわかるほど赤い尿になる場合もあるでしょう。

背中や腰の痛みは、大きくなったがんが周囲の神経や臓器を圧迫したり、刺激したりすることによって生じます。

お腹のしこりは、がんが成長して外側から触れるほど大きくなった状態です。

これらの三大症状は、腎臓がんそのものによって直接的に引き起こされます。

全身症状

がんの影響が全身に及ぶと、腎臓以外の場所にも症状があらわれます。急激な体重減少や発熱は、がん細胞が放出する物質によって引き起こされるものです。

また、腎臓には血液を作るホルモンを出す働きがあるため、がんの進行により腎機能が低下すると貧血が起こりやすくなります。

がん細胞が大量のエネルギーを消費することや貧血によって、強い倦怠感があらわれ、日常生活に支障をきたすこともあります。

転移部位による症状

ステージ4では、がんが腎臓の外へ大きく広がっていたり、ほかの臓器に転移していたりして、転移した場所ごとに特有の症状があらわれます。

肺に転移すると、長引く咳や血の混じった痰、呼吸困難がみられます。骨に転移した場合は、激しい痛みや手足のしびれのほか、骨がもろくなって少しの衝撃で折れてしまう「病的骨折」を招くことがあるのです。

また、脳に転移すると頭痛やけいれん発作、肝臓に転移すると腹水や黄疸が生じます。

腎臓がん末期の余命

腎臓がん末期の余命

腎臓がん末期・ステージ4における5年生存率をみていきましょう。リスク分類やがん組織型など、予後に影響を与える条件についても解説します。

ステージ4における5年生存率

腎臓がん末期・ステージ4の5年生存率は約20%です。

2014〜2015年に腎臓がんと診断された人の5年生存率は18.7%でしたが、近年は薬物療法の進歩により治療成績の改善が期待されています。

腎臓がんは進行が緩やかなケースもあり、10年以上経ってから再発・転移することもあるため、長期的な視点での治療や定期的な検査が大切です。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」腎がん(腎癌)

リスク分類による予後の違い

腎臓がんの予後を予測する際に、リスク分類という指標を参考にします。代表的な「MSKCCリスク分類」では、全身の状態や血液検査の結果など5つの項目を確認し、低・中・高の3つのグループに分けます。

それぞれの生存期間の目安は、低リスク群が30ヶ月、中リスク群が14ヶ月、高リスク群が5ヶ月と報告されていますが、 近年は新薬の登場により生存期間の改善が見込まれているのです。

このリスク分類は、予後の予測だけではなく、一人ひとりに合った治療方針を決める際にも活用されています。

組織型による予後の違い

腎臓がんは、組織型と呼ばれるがん細胞の性質によって、予後は大きく異なります。

がんの性質としては、全体では「淡明細胞がん」が最も多く、そのほかに「乳頭状腎細胞がん」や「嫌色素腎細胞がん」などがあります。

比較的良好な経過をたどるものがある一方で、集合管がんのように厳しい経過をたどるまれなタイプもあります。また、腎臓がんに肉腫様変化がみられる場合は、予後が厳しくなる傾向が知られています。なお、実際の予後は組織型だけでなく、ステージや治療への反応なども含めて総合的に判断されます。

腎臓がん末期における治療の選択肢:①薬物治療

腎臓がん末期における治療の選択肢:①薬物治療

腎臓がんの末期では、がんが離れた臓器に転移していることが多いため、全身に効果が及ぶ薬物療法が治療の柱となります。腎臓がんで用いられる薬の種類や選択肢について解説しましょう。

分子標的薬

分子標的薬とは、がん細胞の増殖にかかわるタンパク質や遺伝子など特定の分子に働きかけ、がんの成長を抑える薬剤です。

腎臓がんで用いられる主な薬剤には、チロシンキナーゼ阻害薬とmTOR阻害薬があります。チロシンキナーゼ阻害薬は、がん細胞が増えるための指令を出す「酵素」の働きをブロックして、がんの増殖を抑えます。mTOR阻害薬は、がんの成長に必要な物質の働きを止める薬剤です。これにより、がん細胞が増えたり、がんに栄養を送る血管が作られるのを防ぎ、がんの成長を抑えます。

副作用は薬剤の種類によって異なります。チロシンキナーゼ阻害薬の主な副作用は、高血圧と手足症候群です。mTOR阻害薬の副作用には、口内炎や間質性肺炎があります。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外し、患者さん自身の免疫細胞を再び活性化させてがんを攻撃する薬剤です。

腎臓がんでは、ニボルマブ、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブが使用されます。副作用として、免疫が活発になりすぎて、自分の正常な細胞にも影響が出ることがあります。皮膚の発疹・下痢・肺炎・甲状腺機能障害など、治療中は体調の変化に気を配りましょう。

免疫チェックポイント阻害薬についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。
>>免疫チェックポイント阻害薬とは?わかりやすく解説

サイトカイン療法

サイトカイン療法は、免疫細胞が分泌するサイトカインというタンパク質を投与し、患者さんの免疫細胞の働きを高めてがん細胞への攻撃をする、従来からある治療法です。

腎臓がんでは、インターフェロンαやインターロイキン2が用いられますが、近年は新しい薬の普及により使用機会は少なくなっています。副作用は、高熱・倦怠感・食欲不振・吐き気・白血球減少などがあります。

薬物療法の選択

薬物治療において、最初におこなう一次治療では、2種類の免疫チェックポイント阻害薬や、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を組み合わせて使う方法が一般的です。 がんのタイプや患者さんの状態に応じて適切な薬剤を決めます。

二次治療以降は、一次治療で用いた薬剤の種類、がんや患者さんの全身状態を考慮して治療薬を選びます。

腎臓がん末期における治療の選択肢:②そのほかの療法

腎臓がん末期における治療の選択肢:②そのほかの療法

腎臓がん末期・ステージ4で、薬物療法以外に選択できる可能性のある治療方法について解説しましょう。

手術

ステージ4であっても、全身の状態が良ければ腎臓にある元々のがん(原発巣)を取り除く手術が検討されます。

主な目的は、がんによって起こる出血や痛み、発熱などのつらい症状を抑えることです。一般には、がんの発生した側の腎臓をすべて摘出する「腎摘除術」がおこなわれます。

また、肺などに転移した場所が少なく、手術で完全に取り除けると判断された場合には、その転移先のがんを取り除く手術をおこなうこともあるのです。

最近では、お腹に小さな穴を開けておこなう腹腔鏡下手術やロボット支援手術など、できるだけ体への負担を減らすための方法が取り入れられています。

放射線治療

腎臓がんでは、放射線治療が根治を目的とした標準治療として選ばれることは一般的ではありません。一方で、転移した部位の痛みや症状を抑えるために、放射線治療が検討される場合があります。

骨転移した場所に放射線をあてると、痛みが軽くなったり骨折を予防したりする効果が得られます。また、脳転移に対しては、特定の場所に集中して放射線をあてるガンマナイフ治療がおこなわれ、麻痺などの神経症状を緩和したり進行を抑えたりするのに役立ちます。

薬物療法と一緒におこなうことで、より良い生活の維持を目指します。

免疫放射線治療

免疫放射線治療は、がんに放射線をあてる治療と、免疫の力を引き出す薬剤を組み合わせた治療方法です。

放射線でがん細胞を壊すと、その破片が「敵の目印」となり、それを学習した免疫細胞が全身を巡ってがんに攻撃を始めます。その結果、直接放射線をあてていない遠くのがん組織まで小さくなることがあり、これを「アブスコパル効果」と呼びます。

放射線治療によるアブスコパル効果と、免疫を力を引き出す免疫療法をあわせるこの方法は、ステージ4の進行した状態でも全身のがん病変を抑え込める新しい選択肢として、研究が進められています。

免疫放射線治療についてよりくわしく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。
>>免疫放射線療法とは?最新がん治療について

緩和ケア・支持療法

緩和ケアは、がんと診断されたときから始められる大切な治療のひとつです。がんによる心身のつらさや将来への不安を和らげ、自分らしい生活を保つことを目指します。

また、がんそのものによる症状や治療による副作用・合併症を予防したり軽くしたりするためのケアとして、支持療法も検討されます。具体的には、治療薬による吐き気を抑えたり、口内炎や皮膚のトラブルに対処したりすることが挙げられます。

腎臓がん末期に関するよくある質問

腎臓がん末期に関するよくある質問

治療方針はどのように決められるのですか?

治療方針は、がんの進行度や性質に加えて、年齢や持病、腎機能など全身状態を総合的に見て決定します。特に転移があるステージ4の場合は「リスク分類」という指標を使い、患者さん一人ひとりに適した治療薬を選びます。

医師からの提案だけでなく、患者さんの希望や生活環境も大切な判断材料です。標準治療を基本としながら、一人ひとりの状況に合わせて納得できるまで担当医と話し合い、最終的な方針を決めましょう。

セカンドオピニオンを受けた方が良いですか?

納得して治療を受けるために、セカンドオピニオンを受けることは有効な手段です。主治医とは別の専門医の意見を聞くことで、現在の治療法への理解が深まったり、治療の選択肢が増えたりして、より良い選択を検討できます。受ける際には、まず現在の主治医からの説明をよく理解し、自分の状況を整理しておくことが重要です。何のために相談するのか目的を明確にしておきましょう。不安があるときは「がん相談支援センター」などの窓口で、セカンドオピニオンに関するアドバイスをもらえます。

手術で腎臓を摘出し、片方だけになっても問題ないのですか?

手術で片方の腎臓を摘出しても、残っている腎臓が健康であれば日常生活に支障はありません。ただし、残された腎臓に負担をかけないようにするため、血圧の管理や塩分・カロリーを控えるなど、医師・管理栄養士の指示に従いましょう。

また、再発リスクを高めるタバコは控え、適度な運動や十分な水分摂取をおこなうことも重要です。健康を維持するために、定期的な通院と検査を継続しましょう。

まとめ

腎臓がん末期と診断されてもさまざまな治療の選択肢がある

腎臓がん末期・ステージ4と診断されても、薬物療法、手術、緩和ケアなど、さまざまな治療の選択肢があります。また、病状によっては放射線治療と免疫療法を組み合わせた「免疫放射線治療」などの新しい治療法が検討される場合もあります。

近年は新しい治療の登場により、生存率も以前と比べて向上してきています。

大切なのは、がんの状態や患者さんの全身状態に合わせて、適切な治療方法を選ぶことです。まずは担当医としっかり話し合い、わからないことや不安なことは遠慮なく相談することをおすすめします。

必要に応じてセカンドオピニオンも活用しながら、納得のいく治療を選択できるようにしましょう。

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