肝臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

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肝臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

肝臓がんの末期・ステージ4における治療の選択肢について

肝臓がんの末期・ステージ4と診断されると、患者さんやご家族は大きな不安を抱えることでしょう。治療が難しいとされる段階ではありますが、現在では薬物療法をはじめ、さまざまな選択肢があります。

今回は、肝臓がん末期における治療の可能性や、生活の質を保つためのケアまで幅広く解説します。治療について正しい知識を持ち、納得のいく選択につなげましょう。

肝臓がん末期・ステージ4の基本知識

肝臓がん末期・ステージ4の基本知識

肝臓がん末期・ステージ4について、定義や余命などを解説しましょう。

肝臓がん末期・ステージ4の定義

肝臓がん末期と呼ばれるステージ4は、がんが肝臓内にとどまらず、しばしば肝臓から離れた臓器やリンパ節にまで転移がみられる状態です。

がんがもっとも進行した段階であり、多くの場合手術で切除することが難しくなります。肝臓内にあるがんの影響により、肝臓の機能が大きく損なわれ、黄疸・腹水・全身のむくみ・疲労感などの症状が強くみられます。

肝臓がんのステージを分類する基準には、日本肝癌研究会の基準と、国際的に用いられているUICCの基準があります。そのため、採用した分類法によって、同じステージ4でもがんの広がりや転移の状況が異なることがあるのです。

肝臓がんでは、ステージ分類に加え、治療法を決める際には肝臓の機能の状態も考慮して判断されます。

肝臓がん末期の余命

国立がん研究センターがん情報サービスの院内がん登録生存率集計(2014〜2015年診断症例、5年相対生存率)によると、肝臓がんのステージ4における5年生存率は4.4%と報告されています。

肝臓がんの末期の状態とされるステージ4は、一般的に治療成績が厳しいことが分かっています。肝臓がんはほかのがんに比べて治療が難しく、末期においては、治療の選択肢が限られるケースもあるのです。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」肝細胞がん

肝臓がんにおける検査・診断

肝臓がんにおける診断は、がんの進行度や広がりを確認するため、主に画像検査と血液検査を組み合わせておこないます。

超音波検査・体の表面から超音波をあてて、がんの大きさや個数、広がりを調べる
・がんが血管のどの位置にあるか、肝臓の形や状態を確認する
・腹水の有無を確認する
CT検査・MRI検査・転移や周囲の臓器への広がり具合を詳しく調べる
・造影剤を使うことで、より正確ながんの状態を診断できる。
血液検査・がんの進行度を測る腫瘍マーカー(AFP・PIVKA-II)や肝機能の状態を確認する
・画像診断の補助としておこなわれる

肝臓がん末期でみられる症状

肝臓がん末期でみられる症状

肝臓がん末期ではどのような症状がみられるか解説しましょう。

主な症状

肝臓がん末期では、肝臓の処理能力が限界を迎え、さまざまな症状がみられます。

主な症状としては、肝機能の低下により、著しい体重減少や疲労感、むくみ、食欲不振が見られます。さらに、お腹の中に水分がたまる腹水や、皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸、全身のかゆみ、腹痛も現れることもあるのです。

末期でみられる肝性脳症

肝臓がん末期では、肝臓が有害物質を分解する働きが著しく低下します。その結果、通常肝臓で分解されるアンモニアなどの有害物質が脳に流れ込み、脳の働きを妨げます。これが「肝性脳症」と呼ばれる状態です。

肝性脳症の症状は多岐にわたり、もの忘れ、会話がかみ合わない、怒りっぽくなるといった認知症やうつ病に似た軽い変化から始まります。また、腕を伸ばして手を広げたときに、不規則に振るえる「羽ばたき振戦」がみられることもあるのです。

さらに進行すると、意識が混乱し、呼びかけにも反応しない昏睡状態に陥り、命に関わることもあります。

転移した臓器によってみられる症状

肝臓がんの場合、主に骨や肺へ転移することがあります。

骨に転移した場合、その部位に激しい痛みを感じたり、骨がもろくなって病的骨折を起こしたりします。肺に転移した場合は、腫瘍が大きくなるまで自覚症状がないことが多いですが、進行すると息切れや血の混ざった痰などが出るようになるのです。

肝臓がん末期における標準治療

肝臓がん末期における標準治療

肝臓がんのステージ4における標準治療は、薬物療法や症状を和らげるための放射線治療です。手術は条件によっておこなわれることがあります。それぞれの治療法について解説しましょう。

手術

一般的に全身にがんの転移が見られる場合、手術はおこなわれません。ただし、肝臓の機能が比較的良好(Child-Pugh分類AまたはB)であれば、 肝臓内の太い血管(門脈)にがんが広がっていても、切除によってがんを取りきれると判断される場合は手術が推奨されることがあります。

薬物療法

遠隔転移があり手術の対象にならない患者さんで、全身の状態と肝機能が良好な場合に薬物療法がおこなわれます。

一次治療

初回の薬物治療では、免疫チェックポイント阻害薬を含む治療が推奨されています。

アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法、デュルバルマブとトレメリムマブの併用(STRIDE療法)、デュルバルマブ単剤療法などが代表例です。

これらの治療は、がん細胞の増殖を抑えるとともに、免疫細胞ががんを攻撃する働きを活性化させることを目的としています。

自己免疫疾患などの理由で免疫チェックポイント阻害薬の使用が難しい場合には、ソラフェニブまたはレンバチニブといった分子標的薬の単独治療が選択されることがあります。

二次治療

一次治療を続けた結果、がんが進行した、あるいは副作用が強くて治療が続けられなくなった場合に、治療薬が切り替えられます。

二次治療で用いる主な薬剤も分子標的薬です。一次治療で用いた薬剤に基づいて、レゴラフェニブ、ラムシルマブ、カボザンチニブを使用します。特に、腫瘍マーカーのAFP値が高いケースには、ラムシルマブが推奨されています。

放射線治療

肝臓がん末期・ステージ4における放射線治療は、がんによる症状を抑える緩和的な治療としておこなわれます。骨転移の痛みや脳転移に対する治療として推奨されています。

また、手術や穿刺局所療法が難しい肝臓がんに対して、陽子線や重粒子線などの粒子線治療が選択肢となることもあるのです。

肝臓がん末期の緩和ケア

肝臓がん末期の緩和ケア

肝臓がん末期と診断され、病状がかなり進行した状態にある場合、つらい症状を和らげ、生活の質を保つための緩和ケアが重要となります。症状ごとにどのようなケアをおこなうか確認しましょう。

疼痛コントロール

肝臓がんの痛みに対しては、WHO方式がん疼痛治療法という方法に基づき、痛みの強さや種類に応じて鎮痛剤を調整していきます。ただし、肝臓がん末期患者さんでは、肝臓や腎臓の機能が低下していることがあるため、状況に応じて体への負担が少ない別の鎮痛剤に切り替えることも考えられます。

専門の医師や薬剤師が副作用の発現に注意しながら、鎮痛剤の管理・調整をおこないます。また、特定の神経の働きを抑えて痛みを遮断する神経ブロック療法も、患者さんの状態によっては選択肢のひとつです。

がんの進行による症状への治療

肝臓がんが末期まで進行すると、肝臓の機能が低下するため、さまざまな症状が現れます。末期でみられる主な症状に対する緩和ケアについて解説しましょう。

食欲不振

食欲不振は、進行がんの患者さんの約70%に生じます。がんや免疫反応で生じる炎症性物質が脳の食欲中枢の働きを抑えることが主な原因です。

緩和ケアでは、医師や栄養士からの食事指導を受け、食べられるものを探してつらさを和らげるようにしましょう。アイスなどの冷たいものや、麺類やゼリーなどのど越しの良いものを選ぶなど食事の工夫を心がけると良いです。

食欲不振の原因が、がん自体や治療による吐き気・痛み・口の渇きなどにある場合は、薬や口腔ケアでこれらの症状を和らげることが推奨されています。

腹水

腹水がたまるとお腹が張り、食欲不振や吐き気が起こりやすくなります。

主な治療は利尿剤の投与です。尿として腹水を排泄させて、たまった腹水を減らします。お腹の張りが強く早急に苦痛を和らげる必要がある場合は、お腹に細い管を挿入して直接腹水を抜き取ります。

また、 体内の水分バランスを整えるため、塩分制限など食事指導をおこなうこともあります。輸液の量が多いと腹水が増える可能性があるため、症状に応じて点滴の量を調整することもあるのです。

肝性脳症

肝性脳症の治療の基本は、腸内でアンモニアが作られたり吸収されたりするのを抑え、血中のアンモニア濃度を下げることです。

便秘は肝性脳症を招きやすいため、アンモニアの産生・吸収を抑える合成二糖類製剤や食物繊維の摂取でお通じを改善します。腸内でのアンモニア発生を抑えるため、腸内細菌の働きを抑える難吸収性抗菌薬が用いられることもあります。

また、肝機能の低下で崩れたアミノ酸のバランスを整えるために、分岐鎖アミノ酸製剤を投与することもあるのです。

せん妄

せん妄は、終末期のがん患者さんの約70%が経験するといわれています。症状は数時間から数日で変動し、夜間に悪化しやすいのが特徴です。

緩和ケアでは、薬物療法以上に環境整備が非常に重要です。昼夜の区別がつきやすいように照明を調整したり、生活リズムを整えたりします。

また、患者さんが慣れた物や写真をそばに置き、不安を減らす環境を作ります。興奮や不穏がみられる場合、主に抗精神病薬が使用されます。

肝臓がん末期で実施できる可能性のある免疫放射線治療

肝臓がん末期で実施できる可能性のある免疫放射線治療

肝臓がん末期・ステージ4においても、積極的ながん治療として実施できる可能性のある免疫放射線治療について解説しましょう。

免疫放射線治療の概要

免疫放射線治療は、がんを直接攻撃する放射線治療と、身体が持つ免疫の力を利用する免疫療法を組み合わせた治療法です。

放射線でがん細胞を壊すと、体の免疫システムががんを認識しやすくなります。そこに免疫療法を加えることで、治療効果を高める相乗効果が期待されています。

特に、免疫の攻撃から逃れるがんの隠れ蓑を剥がすような働きを持つ免疫チェックポイント阻害剤と放射線を併用すると、放射線があたっていない遠くのがん病巣まで縮小する現象が注目されているのです。

免疫放射線療法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
>>免疫放射線療法とは?最新がん治療について

アブスコパル効果とは

アブスコパル効果は「遠くを狙う」という意味を持ち、がん病巣の一部に放射線を当てると、放射線があたっていない遠くの別のがん病巣まで小さくなる現象です。

放射線が局所のがん細胞を壊すことで、がん細胞の成分を免疫細胞がキャッチし、その情報を元に全身のがんを攻撃する免疫システムが働くためだと考えられています。

アブスコパル効果は、放射線治療単独では非常にまれでしたが、近年、免疫の働きを強める薬と放射線治療を併用することで、その効果が高まることが期待され注目されています。

免疫放射線治療で用いる照射の種類

免疫放射線治療では、がん病巣だけに集中して放射線を当てられる高精度な装置を用いて放射線治療をおこないます。主な放射線照射装置について解説しましょう。

サイバーナイフ

サイバーナイフは、がん病巣に対してピンポイント照射を得意とするのが特徴です。ロボットアームを使い、さまざまな方向から放射線を集中的に照射します。呼吸などでがん病巣が動いても、装置ががんの位置を自動で見つけ出し、正確に放射線を当てることが可能です。病巣に強いエネルギーの放射線を集中照射できるため、治療回数が少なく短期間で済みます。肝臓がんのように体の中心にあるがんの治療にも対応できます。

サイバーナイフについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
>>サイバーナイフとは?最新放射線治療について

トモセラピー

トモセラピーは、放射線治療装置とCTスキャナーが一体となった構造を持つ高精度な治療装置です。治療するがんの形に合わせて、放射線の強さや角度を細かく調整しながら照射できます。これにより、がんに高い線量を集中させつつ、周りの正常な組織への影響を最小限に抑えることが可能です。

また、治療直前にCT画像を撮影し、がんの位置を正確に確認・補正してから照射する機能があるため、高い精度での治療が可能です。広範囲のがんに対しても、らせん状に途切れなく連続して放射線を当てられる優れた特徴を持っています。

トモセラピーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
>>トモセラピーとは?最新放射線治療について

肝臓がん末期でセカンドオピニオンを受ける際に注意する3つのポイント

肝臓がん末期でセカンドオピニオンを受ける際に注意する3つのポイント

肝臓がん末期・ステージ4において治療選択に迷いがある場合、ほかの医師の意見を聞くことは選択肢を広げ、理解を深める助けになります。セカンドオピニオンを有効に活用するために、事前に注意しておくべきポイントを解説しましょう。

①受診の目的をはっきりさせる

セカンドオピニオンを効果的に活用するためには、まず主治医の「ファーストオピニオン」を十分に理解したうえで、自分が「なぜセカンドオピニオンを受けたいのか」「何を聞きたいのか」をはっきりさせておくことが重要です。

目的があいまいなまま受診すると、医師によって考えが異なる場合にかえって混乱してしまう可能性があります。目的を明確にすることで、病気や治療への理解が深まり、納得して治療に臨むことにつながるのです。

ただし、病状によっては早く治療を始めた方が良いため、セカンドオピニオンの受診にかけられる時間的な制約を確認すると良いでしょう。

②相談したい内容をまとめる

セカンドオピニオンは限られた相談時間の中でおこなわれるため、聞きたいことや伝えたいことを事前にメモに整理しておくことが極めて重要です。もし質問内容をどう整理すればよいか分からない場合は、がん相談支援センターに相談し、情報を整理してもらうことも推奨されています。相談内容を明確にすることで、セカンドオピニオンで適切な意見が得られ、納得して治療に臨むことにつながります。

また、セカンドオピニオンでは原則診察や検査はおこなわれないことを理解しておきましょう。

③どの医療機関に相談するか慎重に選ぶ

セカンドオピニオンで、どの医師に意見を求めるかによって、得られる情報が大きく異なるため、依頼先は慎重に選ぶようにしましょう。現在の担当医とは違う考え方や肝臓がん末期の治療に詳しい医師を探すことをおすすめします。

特に「他の治療法を検討したい」といった具体的な希望がある場合は、その治療法を専門とする医師がいる病院を選ぶのが有効です。

どの病院を選べば良いか迷ったときは、がん相談支援センターに相談すると良いでしょう。住まいの地域でセカンドオピニオン受診が可能な病院や、各病院の専門領域に関する情報を得ることができます。

まとめ

肝臓がんの末期・ステージ4と診断されても、さまざまな治療の選択肢があります。

肝臓がんの末期・ステージ4と診断されても、薬物療法を中心に、条件によっては手術や放射線治療など、さまざまな治療の選択肢があります。また、免疫放射線治療のような新しい治療法も実施できる可能性もあります。つらい症状を和らげる緩和ケアは、生活の質を保つために非常に重要です。

治療法の選択に迷いや不安がある場合は、セカンドオピニオンを活用することで、より納得のいく治療方針を見つけることができます。まずは主治医と十分に話し合い、必要に応じてがん相談支援センターなどの専門機関に相談しながら、自分にとって適切な選択を見つけていきましょう。

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